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テキストマイニング技術を使った問題の早期発見

食の安全性を確保し緊急時にも適切な対応をするためには、日頃から情報を収集・分析する必要があります。とくにコールセンターなどに届く「お客様の声」は、数値データ以上に詳細に、的確に、また生々しく商品・サービスの実情を示しますから、そこから的確に問題を発見することは、きわめて重要となります。ここでは、「お客様の声」から人の力では発見できないさまざまな問題を検出する、テキストマイニング技術を利用したソリューションをご紹介します。

食の安全・安心に関する最近の状況

消費・賞味期限の改ざんや産地・原材料の偽装表示などのニュースを目にすることが増え、食の安全・安心に関する問題に対する消費者の関心が高まっています。食品メーカーの立場で考えると問題を起こさないことがもっとも重要なのはもちろんですが、問題が起きたときに、それにいかに早く気付いて対応するか、気付くことのできる仕組みを持っているか、という点が問題になってきます。

国民生活センターの「回収・無償修理のお知らせ」によると、2007年4月から2008年3月の1年間で以下のような商品回収事故が報告されており、件数は増加傾向にあります。

図1. 2007年4月から2008年3月の商品回収事故発生件数
1.表示不良25% 内訳:賞味期限の間違い23件、原料表示間違え8件、アレルギー表示の記載漏れ19件、商品説明内容1件。2.異物混入18% 内訳:金属片7件、金属片(針状)4件、ガラス片・アルミ片3件、プラスチック5件、殺虫剤9件、農薬2件、その他7件。3.衛星管理13% 内訳:菌検出11件、カビ6件。4.コンプライアンス19% 内訳:産地偽装5件、賞味期限切れ原材料使用4件、賞味期限切れ商品販売10件、成分偽装17件、その他3件。5.製造・梱包不良21%。その他4%。

問題が起きていないかを知るためには、コールセンターなどに届くお客様の声や社員アンケート、お客様アンケートのような情報を収集し、適切に分析することが必要です。しかしデータの量が多すぎるために、問題を見逃してしまっている、見つけるのに時間がかかっている、あるいは見つけてもすぐにアクションが取れていないというのが現状ではないでしょうか。

テキストマイニング技術を使った解決策

コールセンターなどに届く「お客様の声」のような不定型の、しかも大量の情報を有効に活用することで、業務や製品の改善・改革につながる知見を得ることを目指すのが、ここでご紹介するテキストマイニング技術を使ったソリューションです。このソリューションは、大量のデータを対象にしながらも定型的な作業は自動化し、大局的で柔軟な分析を実現することを目的としており、

— リアルタイムに1件でも注目に値するお客様の声があれば、警告をする
— お客様の声の傾向を分析し、事象が増加する前に警告をする

という機能を実現します。警告はリアルタイムに近い形で、その時間帯に起きた問題件数や問題文書を、リアルタイム・アラートとして送信します。また、傾向分析では、キーワードの増加傾向をグラフで評価したり、製品名と嫌悪表現のような複数のキーワードの相関性を一覧で評価したりすることが可能です。

実際の取り組み事例

ここからは、テキストマイニング技術を使ったソリューションの実際の例をいくつかご紹介しましょう。

最初のソリューションは、お客様センターに集まるデータを有効活用して、もし異変があればなるべく早く気付くようなシステムです。このシステムは、お客様の声の分析、アラート、レポートの業務を支援します。

図2. テキストマイニング技術を利用したシステムの例

このソリューションによりアラート情報のリアルタイム表示や相関を利用したアラート検知が可能となり、お客様の声の変化を経営層や関連部門に迅速に伝えることを支援できるようになります。

次は、IBM PCヘルプセンターの事例です。ここでは、お客様のコールログが多くてすべてに対応できないという課題解決のためにテキストマイニング技術を導入し、製品・サービスの問題点の早期発見と対応の実現に成功しました。

図のように、ピンク色の線がアラートの発信時点を示していますが、その後に急激に事象が増加しており、大量発生の前にアラートが発信されていることがわかります。このように、監視対象の事象の頻度が急増しそうなものを自動検知し、頻度が急増する前に警告を発することで、問題の早期発見が可能になります。

図3. 警告による問題の早期発見

アメリカIBMのPCヘルプセンターでは、一つの例として、実際にある特定のモデルに問題があることを早期発見し、すばやい対応につながった例が報告されています。この例だけでコスト削減効果が約340万ドル相当(当社調査に基づく)と算出されています。

3つ目のソリューションは、重要なアラートを担当者にメールで通知するようなシステムの例です。テキストマイニング・ツールは、API(Application Programming Interface)を提供しますので、カスタマイズされたツールを追加するのが比較的簡単であるという特長があります。重大なアラート内容を自動的にメール通知することにより、すばやく事象を把握することを支援できるようになります。

「IBM Content Analyzer」とは

このソリューションの基盤となっているのは、テキストマイニング・ツールである、「IBM® Content Analyzer」という製品です。これは従来IBM TAKMI(タクミ)と呼ばれていたもので、IBMが研究開発した独自色の強い高度な分析機能を備えています。ここでは、食の安心・安全のためのソリューションに限定してご紹介してきましたが、業務に合わせたカスタマイズが容易で汎用性が高いことから、さまざまな用途で、海外を含む多くの企業に採用されています。

このツールの特長は、まず長年の機械翻訳技術で裏打ちされた構文解析エンジンを搭載しているので、高い精度の構文解析を実現していることです。形態素解析、キーワード抽出に加え、係り受け解析や意図抽出、カテゴリ付与などの言語処理をすることで、単なるキーワード抽出だけでなく意図や評判なども、係り受け情報とともに抽出でき、有用な分析の基礎とできます。
2つ目が、ユニークで便利な分析機能を搭載していること。とくに相関関係を2Dマップに表示する機能や相対頻度からその文書集合を特長付ける項目を発見する機能は、IBMが研究開発したオリジナリティの高い独自の技術です。
そして、3つ目は、数百万件のデータにも対応するスケーラビリティです。データを細切れにする必要もなく、大量データに対しても高い応答速度を実現しています。

一般的に定型情報(構造化情報)は、今何が起きているか、あるいは現状の評価はどうか、といったことを把握するのには有効ですが、なぜそうなっているのか、今後どうなっていくのか、変えるためには何をしたらいいのか、といったことを知るのには不十分である場合もあります。その点、お客様の声のようなデータ(非構造化情報)には、将来何が起きるのか、事象がなぜ起きているのかを読み解く鍵が隠されています。その意味で、お客様の声の分析の重要性は、ますます高まっていくでしょう。

図4. テキストマイニング・ツールの多用なお客様の声活用への展開

IBMのテキストマイニング・ツール「IBM Content Analyzer」は、食の分野だけでなく、多様なお客様の声活用への展開が可能です。お客様の声、お客様のアイディア、お客様の体験などを、取り込み、分析し、さらに、気付きを得ることができるようにすることにより、皆さまの企業活動を支援いたします。

※ 「IBM OmniFind Analytics Edition」は、「IBM Content Analyzer」に製品名称を変更いたしました。(2008年8月)

筆者紹介

井川 憲幸の顔写真 日本アイ・ビー・エム株式会社
大和開発研究所
情報マネジメントテクノロジー・サービス 課長
井川 憲幸

本記事中に記載の数値や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
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