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RFID Worldとは離れますが、DHLが最近行ったRFIDによる温度管理の試験例をご紹介しましょう。これにはIBMも協力しています。DHLは、主に航空機で貨物を運びますが、航空コンテナの場合は、船のように冷蔵機能の高いコンテナが無いため温度が適切に保たれたかどうか不安です。また、厳しい温度管理が必要な薬品や生体物のようなものは、コンテナ内の温度ではなく、個品の温度をきちんと管理する必要があります。
そこで、DHLが試験を始めているのが、温度センサー付きのRFIDタグです。帯のような形状で、個品をパッケージした箱内に帯の温度センサー側の端を入れ、もう一方のRFIDタグのある側の端を箱の外に出しておきます。温度センサーのログはRFIDタグからいつでも読み出せる仕組みですから、DHLは荷主に対して、輸送中の温度に異常がなかったことを証明することができるというわけです。



また航空業界ではフィンランド航空(Finnair)が、ノキア製のRFIDリーダーが付いた携帯電話を地上作業を行う作業員に持たせ、作業指示や作業開始・終了報告を簡単かつ速やかに行えるようにしています。それにより、例えばこれまでは急な天候変化などに伴う運航スケジュールやゲートの変更が発生した場合、連絡や作業指示が電話やトランシーバーによるバタバタとした対応になっていたのですが、この仕組みの導入後は作業変更指示や作業進捗状況の可視化が大幅にはかれるようになったというわけです。
その結果、作業品質向上や作業員の最適配置、手順(コンプライアンス)に則った作業等が可能となり、より安全で定時な運航が実現されています。現場の作業員にとっても、使い慣れた携帯電話に作業指示受信、作業開始・終了報告機能が提供されることにより、PDAなど新たな機材なしで自分たちの作業が定着できるというメリットを享受することができました。
業務への拡張性の観点で言えば、チェックポイントとなる作業指示受け場所にキオスク端末を設置し、作業ポイントには作業開始・終了報告用RFIDタグを貼り付けるのみで作業管理対象を広げることができます。さらには、この携帯をRFIDタグが付いた対象物にタッチするだけで、機器や機材のトレーサビリティーを実現することもできるのです。
ここまで、海外のイベントや事例をご紹介してきましたが、日本の運輸業界は大変作業クオリティが高く、RFIDは効率化の面でのメリットが大きく取り上げられることが多いので、効率化だけを期待するとその効果もじつはあまり大きくはないのかもしれません。
しかし、これは今回のRFID Worldのセッションの中でも提議されたのですが、氷山にたとえれば効率化といったようなものはRFIDがもたらす効果のうち水面に出ている3%にしかすぎず、じつは先ほどご紹介したDHLの事例のように、新しいチャンスが水面下にまだ眠っているのです。効率化ではなく、カスタマーサービスのためにRFIDを導入する、コンプライアンスのために役立てるというように、RFIDをイノベーションのツールとしてとらえ、水面下の97%をも自分のものとすることが、今後RFIDを導入し上手に活用するためには絶対に必要なことだと考えられます。

図.氷山の一角:RFIDの本当の価値は、水面下に眠っている



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