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プロダクト・ライフサイクル・マネージメント(PLM)

導入事例

ソニー株式会社 様

CATIA V5の解析ソリューションにより設計プロセスの効率化と設計品質の向上を実現

田中壮彦氏CATIA V5は、解析データをCATIAモデルに組み込むことができるため、モデリングと解析のサイクルを短時間で回すことができ、設計プロセスの短縮化と製品品質の向上に貢献しました。

(ソニー株式会社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーeビークルカンパニー ASC事業部 田中壮彦氏)

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ハイライト

ソニー様事例画面【課題/問題点】
従来は、設計(モデリング)→試作・組み立て→評価という設計サイクルにおける実試作の評価段階で不具合をチェックするという工程を踏んでいたため、不具合の改善は同工程を繰り返すこととなり、設計完了までに多大な時間と工数を要していた。

【ソリューション】
CATIA V5の解析ソリューションを利用し、解析シミュレーションを設計サイクルに組み入れる手法を確立。解析の計算速度と精度が両立するような解析設定のデータ収集を行い、誰もが利用できるよう指標化した。また、実試作による実験結果と解析結果との相関を取り、材料物性値を補正した基礎データを整備して実測値に近い解析精度を確保した。

【利益/恩恵】
設計から金型手配までの期間を大幅に短縮。従来、2?3回行っていた実試作を1回で完了し、金型手配から量産まで行う製品づくりも実現した。また、内部応力をビジュアル表示可能なCATIA V5の解析ソリューションにより、問題点の把握、検討、改善を迅速に行い、安全率の高い設計が実現可能となり、さらなる製品品質の向上につながった。

設計プロセスに解析プロセスを組み込み、設計期間の短縮を目指す

  ソニー株式会社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー eビークルカンパニー(以下、eビークルカンパニー)は、カーオーディオシステムを主要製品とし、その開発・設計を行っている部門です。FM/AMチューナー付きMP3対応CDプレーヤーおよびMDプレーヤーを始めとして、CDチェンジャーやMDチェンジャーのほか、ハードディスクを搭載したオーディオライブラリーシステム、車載用スピーカー、アンプなど、先進の技術と独創的なデザインをあわせ持つ、高品質なカーオーディオシステム製品を手がけています。

  eビークルカンパニーでは、2000年1月にCATIA V5R2を導入しました。導入後もCATIA V5の新リリースごとに追加された新機能や、強化された機能を実際の製品設計プロセスの中で積極的に利用し、設計業務の効率化につながる機能を選択しながら、製品設計への適用性の検証とインプリメンテーションを進めています。現在もCATIA V5R11を活用し、シートメタルワークベンチの品質改善活動をはじめ、さまざまなトライアルをしています。

  これまで、eビークルカンパニーでは設計プロセスにおける設計期間の短縮の実現が大きな課題のひとつとなっていました。従来は設計(モデリング)後、試作品の製作・組み立てを行い評価、用件を満たしていれば設計が完了し、金型手配などの製造関連プロセスに進む、という設計プロセスサイクルでした。この中で、試作後の評価段階において不具合が確認された場合は、修正を繰り返すたびにこの設計プロセスサイクルを最初から繰り返し行い、必要であれば解析を行うという、非常に長い時間を要するものとなっていました。

解析データ(静解析)を組み込んだCATIAモデルによる設計変更の効率化

  先述のような設計プロセスサイクルの短縮を実現するため、eビークルカンパニーではCATIA V5の解析ワークベンチを活用して設計者が設計フェーズの中で解析を行い、試作前に設計→解析→評価→設計改善を行うという手法を確立しました。この手法により、解析→評価のプロセスサイクルは数時間で完了、設計段階で短時間に不具合を洗い出して改善することができ、製品によっては試作1回で評価クリアを実現しました。さらに、CATIAモデルに解析関連のデータを組み込むことにより、設計変更にともなう干渉チェック作業などにおいても効率が上がりました。

  一例のご紹介として、CDプレーヤー製品のCD挿入口を構成する部品のひとつで、弾力を必要とする『板ばね』が組み込まれていますが、この『板ばね』の設計をCATIA V5のシートメタルワークベンチを使ってモデリングし、CATIA V5ジェネレーティブ・パート・ストラクチャル・アナリシス2(GPS)を使用してメッシュを作成、CATIAモデルに強制変位を与えて応力を計算しました。CATIA V5の解析ソリューションでは、作成した解析データをアセンブリに直接組み込めるため、これを利用して解析結果と設定データをCATIAモデルに組み込んだ結果、変形後の形状と他のパーツとの干渉チェックが非常に簡単に短時間で行えるようになりました。干渉が生じている場合は、シートメタルワークベンチでパラメータを変更し、即干渉チェックを再実行することができます。

  また、力量が大きい場合は強制変位に対する反力も求め、最大変位での内部応力が基準内であるか確認し、もしも最適な値になっていない場合は、形状や板厚を変更して最適化を行います。ここでは、CATIA V5 プロダクト・エンジニアリング・オプティマイザー2(PEO:解析最適化ツール)を用いて反力、形状、内部応力を考慮した最適化を行っています。

CATIA 5の活用による効果

<試作回数とコストの削減>
  『板ばね』の解析では、内部応力がビジュアルに表現されることで、どの部分がウィークポイントなのかを予測でき、内部応力の集中を回避した設計を実現できました。その結果、従来は試作品による耐久試験で問題が発生してから改善していた不具合を設計段階で吸収し、試作の製作・修正回数を削減、量産までの期間を大幅短縮しました。さらに、試作に費やしていたコストの削減も実現しました。「解析設定や解析結果のデータをモデルの中に組み込むことにより、従来よりもさらに複雑な形状の板ばねを容易に設計できるようになり、設計の自由度が向上しました。また、ジェネレーティブ・アセンブリー・ストラクチャル・アナリシス2(GAS)のユーザーフレンドリーな操作性によって、設計者が干渉チェックや内部応力計算を容易にシミュレーションすることができます。結果もビジュアルに確認できるため、問題が発生しそうな箇所を予測して設計プロセスの中であらかじめ対策を講じることができるようになりました」。(ソニー株式会社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー eビークルカンパニー ASC事業部 田中壮彦氏)

<他部門への波及>
  eビークルカンパニーでは従来、解析プロセスは専門の部署が担当しており、解析結果が出るまでに約一週間を要していたため、修正が発生するたび週単位に進捗が遅れが生ずる、という状況にありました。

  解析データをCATIAモデルに組み込むという手法は、現在eビークルカンパニー内の他部門にも展開され、広く活用されています。「CATIA V5の解析ソリューションにより、『解析もできる設計者』が増え、設計者が扱える解析分野が今後さらに広がっていくと予測されます。そうなると全社的にも設計プロセス自体を見直す必要が生じ、そのための取り組みに力を入れているところです。」(田中氏)。

  「解析結果の精度も以前に比べてかなり向上しており、CATIAの解析結果と実測値に大幅なズレが生じることがなくなってきていることも、今回の成果を上げた要因の1つと考えます。以前は解析結果と実測値を照合しながら設計していました。現在は静解析に関しては、シミュレーションだけで設計し、試作は1回で済むパターンが増えてきています。」(ソニー株式会社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー eビークルカンパニー ASC事業部 チーフメカニカルエンジニア 千ヶ崎 浩行氏)。

  この成果が上がったベースとして、解析のための基礎データ整備があげられます。まず、解析精度と解析時間の精査を行いました。さまざまな設定(メッシュサイズなど)で解析を実行して多くのデータを収集し、計算時間と精度が両立するような解析設定の見極めを行い、それを設計者の誰もが利用できるように指標化しました。

  さらに、設計段階で頻繁に使用される材料について、実物を試作して実験を行い、材料物性値を検証しました。検証結果と解析シミュレーション結果をもとに両者の相関を分析し、実験とシミュレーションとの誤差を吸収できるように、材料物性値に補正をかけたデータを作成しました。この材料物性値データは、ある程度正確な相関が取れることが確認され、実際のシミュレーションに適用されています。

このような基礎データを整備したことにより、初期段階で精度の高い解析サイクルを回すことができるようになり、設計の評価と不具合改善をフロントローディングし、試作評価プロセスでの不具合削減とトータルな設計期間短縮を実現しました。

今後もCATIA V5を用いてさまざまな手法やアプローチの導入と確立を

  eビークルカンパニーでは、2次元では不可能な解析を行ったり、3次元データからのダイレクト金型成形などを活用して、設計に係わる工数全般をより削減することが重要と考えています。また、3次元設計プロセスそのものについても、CATIA V5によるフレームワーク手法やマスタースケッチモデリングを活用した設計プロセスを取り入れることよる効率化についても取り組みを開始しています。今後もCATIA V5を活用したいろいろな手法、有効な手段、機能を取り入れながら、さらなる設計の効率化を目指しています。

企業概要

商号 :ソニー株式会社

設立 : 1946年5月7日
代表者 : 会長兼 グループCEO 出井伸之、
社長兼 グループCOO 安藤国威
売上高 : 7兆4,736億円 (連結、2002年度)
従業員 : 161,100人 (連結、平成15年3月31日現在)
本社所在地 : 東京都品川区北品川6-7-35
 URL http://www.sony.co.jp/

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