掲載日:2007年8月20日
将来に備えて、今、有能な人材を集める必要があります
団塊世代の定年退職、平均寿命の伸び、出生率低下という3つの大きな潮流が、この先数年間で労働力に重大な影響を与えます。この少子高齢化の状況について、あなたの会社または政府機関ではどのように対処されますか? 有能な人材を新規確保するためにどのような方策をお持ちでしょうか? これから数年のうちに退職するあなたの会社の社員が最善のソリューションかもしれません。まず、少子高齢化が企業の人材確保にどのような影響を及ぼすかを考えてみましょう。
60歳は新しく50歳に
昨今は退職後、新しいキャリアをスタートさせるシニア労働者が増えており、「退職者」が「新入社員」を意味することが多くなりました。団塊世代 (1946年から1964年までに生まれた数百万人) の高齢化は、2025年までの社会を形づくる唯一最大のトレンドとなります。
企業は危機感を持ち始めています。団塊世代の多数の労働者が、退職を迎えようとしている今、貴重な50歳代の労働者の雇用を継続することが、企業のトップ課題であることが明らかになってきました。企業はシニア世代のスキル、企業知識、そして、お客様やパートナーおよびベンダーとの長期的なリレーションシップによる固有の資産を失うことになります。
さらに悲惨なのは、企業への忠誠が高いと知られているこのグループは企業の管理職レベルに多いので、リーダーシップが失われることです。このグループの人たちが、マーケット変動、文化の転換、M&A(合併と買収)、不祥事と成功をくぐり抜け、企業を導いてきた経営幹部なのです。つまり彼らは「次の大きなこと」への曲がり角を見通すことができる先見者です。誰が彼らの代わりをするのでしょうか?
問題をより複雑にしているのは、多くの企業にとって団塊世代のグループそのものが、最大規模で、最も価値のある顧客であるという事実です。企業にはこの層に配慮して、顧客との結びつきを強めることができる能力のある社員が必要になります。
少子高齢化が、現在、なぜ危機となっているのでしょうか?
少子高齢化傾向は、ほぼすべての産業に波及している重要な問題です。団塊世代の差し迫った退職に加えて、医薬と公共医療の進歩によって、人々が長寿になっています。2000年に生まれたアメリカの女性の平均寿命は80歳であり、男性は74歳です。長寿が2番目の大きな潮流です。
3番目の傾向としては、出生率が史上最低であることです。例えば、イタリアでは、1家族当たりの子供は1.2人、日本では1.3人、そしてヨーロッパ (EU) のほとんどの国は2.0未満であり、人口置換水準を下回っています。これらの傾向は高齢者の人口が急増し、それに続く世代の人口が少なくなっている実態を表しています。
このような少子高齢化は職場にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
多数の主要な社員が退職するにつれて、企業の「強固な屋台骨」に衰えの兆しが見え始めています。同時に、退職する社員が担当していた仕事について、有能な人材の減少に直面しています。AARP(American Association of Retired Persons: 米国退職者協会。全米の高齢者擁護団体) の調査によると、人事マネージャーの58%が、適材の求職者を見つけることが5年前よりも困難であると回答しています。*1
このことは、世界中の産業界および公共セクターに人材確保の危機を引き起こしています。米国のトラック運送業では、20,000人の運転手が不足した影響で、2005年の離職率は131%*2でした。カナダの公共部門では450を超える業務で人員を充足することができず、数カ月もの間この状態が続きました。スキル・ギャップが政府機関では深刻な状態であり、現在の労働力の60%、経営幹部の90%がこの先10年間に退職することが見込まれています。*3石油/ガス、航空機、製造、医療および教育などの成熟した産業では苦しい状態にあり、銀行、保険および情報の各産業でも、近い将来同様の状態になるでしょう。
2007年問題は既に始まっています
多くの企業は、この人材確保の危機を認めています。最近の調査に回答した経営幹部のうちの90%が、何らかの方法で、この高齢者をつなぎ留める方策を計画していると回答していますが、企業が公式に対策を講じたと回答したのはわずか14%のみです。*4 企業は、新規のコール・センターや製品の立ち上げといった緊急の課題に気を取られている状態です。2000年問題では、全員が特定の1日に集中しましたが、この人材流出については数年先だと考えているようです。しかし、実施を開始したイニシアチブは全て結果が出るまでに数年を要すること、そして、最初の団塊世代の退職が始まったことを考えると、今もう既に緊急課題として認識し取り組まなければいけないときなのです。
*1 "The Business Case for Workers Age 50+", 2005, Towers Perrin for AARP
*2 usatoday.com, 2006年5月1日
*3 washingtonpost.com, 2006年5月2日
*4 "Making the Most of your Human Capital", Ernst & Young, 2006
