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連載背景、登場人物、イノベーション25概要は下記をご覧ください。
Dr.カトーに聞く
- A子:昨日タクシーに乗ってたら、隣の車が急に車線変更して、あやうくぶつかるところだったのよ。
- B子:相手の車、若葉マークかなんか付いていた。
- A子:運転手がクラクション鳴らしたので気が付いたけど、私は寝ていたので良くみてないの。
- B子:そういえば、あなたは会議でも何でも良く寝ているわよね。
ハル:「衝突できない車」って、もう売られているし走っていますよ。
Dr:そうだね、何社からか販売されているし、他の会社も同じ技術は開発済みのようだな。ただ、感知するのは前後方向だけで、一定の速度以下での走行に限るので、まだ絶対にぶつからないというレベルではないがね。
自動車に関する技術には、国としても力を入れており、高度道路交通システムITS(Intelligent Transport Systems)として、着々と実証実験が行なわれているぞ。テレビ・アナログ放送の終了に伴い、利用可能となった700MHz帯を使った安全運転支援通信システムも、79GHz帯のミリ波を使った高分解能レーダーによる事故防止システムも、ITS無線システム委員会で検討されている項目だ。長期的な目標としては、交通事故死を限りなくゼロにし、渋滞をなくすことでCO2発生を半減させることなどが盛り込まれているのだ。
ハル::CO2半減って、環境分野では「走れば走るほど空気を綺麗にする自動車」っていうのもありますよね。
Dr:人工光合成技術だが、これは私の時代でもまだ車を動かすには至っていないな。ただ、水分解に効果のある添加元素については、実験が進んでいるので、2025年には植物の光合成レベルには到達している。これを各種の動力源にするには、もうひとつイノベーションが必要のようだ。
それはさておき、安全に、ぶつからず、楽に走行できる自動車は、高齢化社会を支えるための喫緊の課題だ。都会では自動車離れが顕著でも、地方に行けば生活必需品で、車がなければ生活できない状況はそのままだ。そこで、超小型モビリティや自動運行システムなどが開発され、自動車側と道路側双方において高度な情報ネットワーク化が進展する。
ハル:自動車側と道路側のネットワークって具体的には何なのですか。
Dr:自動車というのは、すでに、動くコンピューターなのだぞ。エンジンもブレーキも、ねじの締め付け具合ではなく、プログラムで制御されているのだ。このプログラムの機能を自動車同士の通信や、自動車と道路との通信にまで広げることで、カーブの先の状況や、わき道の状況を事前に把握し、事故を防ぐことができる。700MHz帯は基地局から自動車に対する情報提供や自動車同士の通信に利用し、79GHz帯は、数cm程度の誤差で数百mまでの距離において障害物を検知し、事故防止に利用する予定だ。
ハル:友達のカーナビにはVICSって言うのが付いていて、渋滞情報などが分かるようですよ。
Dr:VICSはITSの一部で、ナビゲーションの高度化プロジェクトが担当している。VICS対応の機器は、平成8年度から22年度までで、累計3000万台以上出荷されているのだ。一般道では道路上に取り付けられた装置から放射する光ビーコンなどで、高速道では電波ビーコンなどで、VICSセンターが前方の道路状況をカーナビに送信する。元になる道路情報は、道路わきに設置されたセンサーで収集しているが、タクシーやバスなどが時刻と位置情報を発信することで、センサーが設置されていないわき道の情報なども集められ、使われだしている。メーカー毎に行なっているマイカー・プローブ・サービスでは、ワイパーの作動状態を元に降雨情報が、ABSの動作を元に路面凍結情報が、そのほかにも様々な情報が関係ある車に提供されている。ただ、メーカー毎のサービスになるため母数が少ないので、有効活用するには、ITSによる情報の一元管理が鍵になる。モデル都市を選んで実証実験が行なわれているので、標準化も粛々と進んでおるぞ。高速道路の自動料金収受システムETCも、ITSの一部なんだぞ。
ハル:自動車の機能は、走る以外にもどんどん増えているのですね。
Dr:今年4月にトヨタは、マイクロソフトとソフトウェアの開発で提携したし、5月にはセールスフォースとも提携した。日本の自動車メーカーは公表していないが、米GMのボルトに乗せられているプログラムのコードは、1000万行と発表されており、ソフトウェアの開発費が新車開発コストの過半になる日もそう遠くないといわれている。車に限らずケータイも家電も同じで、機能拡張の多くがプログラムとして組み込まれる傾向にある。そのため、ソフトウェアの部品化や、開発の分業化が業種を問わず大きな課題となっている。 しかし、SOAなどの方法により、解決される日も間近だぞ。
ハル:ソフトウェアの部品化と分業化って、イメージが湧かないのですが。
Dr:新車のために1000万行のプログラムを開発するには、約1000人年の工数がかかる。これが、車だけでなく、家電製品や身の回りのあらゆるものに必要なので、プログラム開発者の数は需要に対応できず、いろいろな進化が停滞してしまうことになる。そこで、汎用性のある部分、たとえば位置情報の取得とか本人認証の実施などのロジックを、サービスとしてネットワークから提供したり、コードの使用権を販売したりすることが始まっているのだ。
ハル:ハードウェアとしての部品を作るには、物や場所や手先の器用さが必要ですが、ソフトウェアの部品なら、アイデアとPC一台あれば誰でも起業できそうですね。
- A子:目的地まで寝ながら行けちゃうなんて便利になるわね。
- B子:さっきのタクシーの話じゃ、すでに実践しているじゃないの。
- A子:でも今のところ怖いので、おちおち熟睡できないのよ。あとは、居眠りがばれない化粧テクニックの習得だわ。
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