<ご参考資料>
2001年11月12日
「Blue Gene」研究プロジェクト拡大を目的に
米エネルギー省NNSAとIBMが提携
−進化したスーパーコンピューターの用途を多岐に展開へ−
[米国ニューヨーク州ヨークタウンハイツ/カリフォルニア州リバモア 2001年11月9日(現地時間)発]
IBM(R) (本社・米国ニューヨーク州アーモンク、会長・ルイス・V・ガースナー)は9日(現地時
間)、世界最速コンピューター開発のための研究プロジェクト『Blue Gene』を拡大することを目的に、米エネルギー省(DOE)の国家核安全保障管理局
(National Nuclear Security Administration; NNSA)と提携したことを発表しました。
本日発表する提携は、IBMとNNSA管轄のローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence
Livermore National Laboratory:米国カリフォルニア州、以下LLNL)が共同で、Blue
Geneのアーキテクチャーに基づいた、新たなスーパーコンピューターを設計するものです。
共同開発を進める新コンピューターは「Blue Gene/L」と名付けられており、既存の最速スーパーコンピューターと比較して、15倍の速度、15倍の電力効率と
50分の1の設置スペースを実現するものです。
Blue Gene/Lは、1999年12月にIBMが発表した1ぺタ・フロップスの計算能力を目指すBlue
Geneプロジェクトを大規模に拡大するものです。Blue Gene/Lは、約200テラ・フロップス(TFLOPS、毎秒200兆の命令を処理)で動作することを想定
しています。この処理能力は、既存のトップ500のスーパーコンピューターの総演算能力を越えるものです。Blue
Gene/Lはまた、IBMリサーチが提唱している自己治癒力や自己管理力、自己構成力を備えたコンピューター・システム「オートノミック(自律的)・コンピューティン
グ」(autonomic
computing)の一環でもあります。
IBMが1999年に発表したBlue Geneプロジェクトは、ライフ・サイエンス分野において生命を理解するキーである「タンパク質の折りたたみ構造」の解析等に大き
く貢献するといわれています。IBMは一連のライフサイエンス・プロジェクトに向けて、さらにペタ・フロップス(PFLOPS)スケールのマシン(毎秒1000兆の命令を
処理)の開発を引き続き進めていきます。
IBMとLLNSは長年にわたりスーパーコンピューターの共同開発を行なってきました。中でもNNSAが進めているスーパーコンピューター開発計画
ASCI(Accelerated
Strategic Computing Initiative:アスキー)は代表的なものです。 IBMは、現時点での世界記録を達成した10TFLOPSのスーパーコ
ンピューター「ASCI
White」をすでに納入しています。
LLNSでは、Blue Gene/Lの2005年の完成を予定しています。同研究所の研究者は今回発表したBlue Gene/Lによって、物質の経年変化(エージン
グ)、発火や燃焼、爆発の理論など、国家的な関心が持たれ、現在得られるコンピューターの演算能力を大きく上回る能力が必要な物理現象のシミュレーションを行う予定です。
Blue Gene/Lのアーキテクチャーは、従来以上に商用アプリケーションへの適用が容易であるため、ビジネス・ユーザーにとっては、大規模な国立研究所に設置される
ような最新スーパーコンピューターよりも入手しやすくなる見込みです。スーパー・コンピューティングへのこの新しいアプローチによって、超並列コンピューティングをビジネ
ス面で実用的なツールへと転換するために必要な、消費電力やコスト、スペース要件などの大幅な削減が期待されます。Blue
Geneプロジェクト拡大の一環として、IBMはこのマシンの商用バージョン開発に向けたパートナーを積極的に求めています。
新たなスーパーコンピューター用アーキテクチャー
−もはや科学者だけのものではない
現在のマシンは、演算処理が驚異的に速くなる一方で、メモリー・チップから情報にアクセスする時間が必要であるため、データ集約型アプリケーションの多くは、処理に
時間がかかります。Blue Gene/Lのアーキテクチャーは、データ・アクセスに最適化したデータ・チップ・セルを搭載することが特徴です。これにより、データ集約型
アプリケーションの処理能力は大幅に向上します。
各チップには、それぞれ演算用と通信用の2つのプロセッサーが搭載され、プロセッサー自身がオンボード・メモリーを装備しています。各データ・チップ・セルが大きな問題の
中の小さな部分に取り組むというアーキテクチャーが、データ・アクセス速度を向上させるのです。このことによりこのマシンがもたらす結果は大きく改善され、解くことのでき
る問題の種類が広がります。
IBMとLLNLは、この新コンピューター・アーキテクチャーの構築に必要なハードウェアとソフトウェアのコンポーネントについて共同研究を行います。LLNLは、
Blue Gene/Lマシンを活用できる用途に関してさらなる設計上の専門知識を提供していく計画です。
またLLNLは、Blue Gene/Lプロジェクトについて、エネルギー省NNSAに加え、コロンビア大学、サンディエゴ・スーパー・コンピューティング・センター、カ
ルテックの協力者からの支援を受ける予定です。
■Mark Dean(IBMリサーチ システム担当バイスプレジデント)のコメント
「当社の初期の研究によれば、Blue Geneプロジェクトを拡大することにより、広範囲なお客様を対象に事業的に実現可能性がより高いアーキテクチャーを提供し、なお
かつタンパク質研究のシミュレーションを行うという本来の目標を実現できるという確信が得られました。LLNLとの提携は当社戦略の一環として重要な部分を持ちます。なぜ
なら、LLNLが用途と設計に関する重要な専門知識をプロジェクトに提供してくれるものとIBMでは考えているためです」
「Blue Gene/Lのようなマシンは、コンテンツ配布やシミュレーション、モデリング、Webサービング、データ・マイニング、ビジネス・インテリジェンスなどの
データ集約型アプリケーションを扱うために設計されています」
■David Nowak氏(LLNL ASCI Programリーダー)のコメント
「これは新しい画期的な進歩を意味します。それは主流をなすASCIマシンの採用するアプローチとはまったく異なるものです。現在までのASCIスーパーコンピューター
は、核の備蓄管理活動に必要な、数値シミュレーションにすべての範囲にわたり対応するよう設計されてきました。この新しいBlueGene/Lでもたらされた革新により、
そうしたコンピューティング問題の中でも重要な部分に対応できます。問題を簡単に分割して、何万というプロセッサー上で処理できるのです」
「その用途としては、物質の経年変化(エージング)や特性のモデリング、乱流のモデリングなどが挙げられます。このテクノロジーにより、生物学その他のライフサイエンスな
ど、民需産業やビジネスに多大な利益をもたらす多くの用途への扉が開かれます。米国の高性能コンピューティングの将来は、この2つの道を並行して追求することからすばらし
い恩恵を得ることでしょう」
■Bill Reed氏 (ASCI national program リーダー)のコメント
「国家の安全保障上の重大問題に対応するために、コスト効率のよいコンピューティングが引き続き必要です。私たちには、月ではなく日を単位としてこうした問題を処理する必
要があり、また多岐にわたる技術的な問題に取り組む3ヵ所のNNSA研究所すべてにわたり、多くの科学者を同時に支援する必要があります。国家安全保障プログラムと商業上
の利益という両方にとっての価値は、特に生物科学および医薬の分野において非常に大きいものとなり得るのです」
■ASCIパートナーシップについて
LLNL、ロス・アラモス、およびサンディアの各国立研究所のASCIプログラムは、NNSAの核の備蓄管理活動(Stockpile
Stewardship Program)向けの一連のスーパーコンピューターを開発するにあたり、この5年間スーパーコンピューティング業界と協力活動を進めてきまし
た。
最新の活動はこうした経験に基づいて続けられており、地下核実験を行わずに米国が核の備蓄を維持するために、またコンピューティングとシミュレーションへの依存度が高い数
多くの科学分野にかつてない貢献を果たすことで役立っています。ASCIの目標は、高性能コンピューティングの速度を増強するだけではなく、科学者がテラフロップ・ス
ケールのコンピューターやそれ以上のマシンが到来するまでは試みることができなかった課題に取り組めるようにすることです。
以上
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IBMリサーチの詳細について(英語) http://www.research.ibm.com