<ご参考資料>
2002年11月20日
米エネルギー省向けに
世界最速スーパーコンピューターを開発
1秒間に約500兆回の合計演算能力を実現
【米国メリーランド州ボルチモア 2002年11月19日(現地時間)発(於 SUPERCOMPUTING 2002) 】
(本発表は、同日のエネルギー省長官の公式発表を受けたものです)
米エネルギー省(The Department of Energy: DOE、Spencer Abraham長官)は、IBM
® (本社:米国ニューヨーク州アーモンク、社長兼CEO:サミュエル・J・パルミサーノ)と、合計の処理速度が467テ
ラフロップス(TFLOPS:1秒間に467兆回の浮動小数点演算を実行)に上る世界最速のスーパーコンピューターを2システム開発するという2億1,600万ドルから
2億6,700万ドルに相当する契約を結んだことを発表しました。
両システムの能力の合計は、最近発表された「スーパーコンピューター上位500リスト(TOP500 List of Supercomputers、http://www.top500.org/ 11/19/02現在)」に掲載されている全ての
マシンの処理能力の合計数値よりも高い能力を持ちます。
ASCI Purple(アスキー・パープル)
「ASCI Purple」と呼ばれている一つ目のシステムは、現在の最速コンピューターの処理能力の約3倍に相当する100TFLOPSという超高速処理を世界で初めて
実現するスーパーコンピューターです。ASCI Purpleは、プロセッサーにIBMが開発した「POWER」チップを搭載した「IBM
」システムと、大規模クラスター構成のIBMストレージ・システムによって構成されます。
ASCI Purpleは、DOEの「ASCI (Advanced Simulation and Computing)プログラム」の第5次システムとなります。核保
有量の管理プログラムであるASCIは、最終的に、国家による核兵器保有の安全性や信頼性、妥当性を立証し、核による脅威をなくすための最先端の計算手法を作り出すことを
目的に、DOEを中心に、サンディア国立研究所、ロス・アラモス国立研究所、ローレンス・リバモア国立研究所で共同研究が行われています。
ASCI Purpleは、ASCIプログラムの第1のスーパーコンピューターとして、DOEの国家核安全保障管理局(NNSA: National Nuclear
Security Administration)による備蓄管理活動プログラム(Stockpile Stewardship Program)で、米国の核兵器の経年
変化や作用のシミュレーションが行われまる計画です。これにより、地下実験を行わなくても、米国が備蓄している核兵器の安全性や信頼性の確保が推進されることになります。
ASCI Purpleを担当するIBM
研究開発チームの技術者が、スーパーコン
ピューターの出荷時の検査にあたり、人間の脳のモデルを検証する計画です。 ASCI Purpleは段階的に導入され、最初のIBM
システムは、来年導入
される予定です。
Blue Gene/L(ブルー・ジーン/L)
もう一つのシステム「Blue Gene/L」は、米国政府のASCIプログラムのためにIBMとDOEによって共同開発されている新しいアーキテクチャーに基づく、先進
の半導体技術とシステム技術が採用される研究用スーパーコンピューターです。Blue Gene/Lが完成すると、Linuxを実行する13万のプロセッサーによって、理
論的に最大367TFLOPSの超高速処理を行えます。これにより、1万個の気象衛星から送られてくるデータに相当する1テラビットの大量データを1秒間で処理できるよう
になります。
Blue Gene/Lは、NNSAのロスアラモス、サンディア、ローレンス・リバモアの3研究所とASCI University Allianceの参加機関によって
使用され、将来的にはDOEのその他の研究所でも使用される予定です。Blue Gene/Lは、乱流、材料特性予測、高性能爆薬の作用など、国家的な利害に関係する非常
に複雑な物理現象のシミュレーションを含む、広範な科学アプリケーション・セットの開発および実行に使用される予定です。
IBMとASCIの協力の成果として、最も信頼性が高くコスト効果の高いプラットフォームがASCIプログラムにもたらされました。その一方で、高性能システムの開発を加
速させる代替技術の研究も進められています。ASCI Purple以外にも、これまでローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)で最速であったスーパーコンピューター
「ASCI White (2001年8月発表)」や「ASCI Blue Pacific (1998年10月発表)」もIBMによって開発されています。
IBMの技術の進歩は、より少ない設置面積で実現できる、より高性能のコンピューティング・パワーをもたらしました。ASCI Purpleが実現する処理能力は、
ASCI Whiteの8倍以上に相当します。 ASCI Purple、米国カリフォルニア州のLLNLで現在建設中の、Terascale Simulation
Facilityと呼ばれる専用の建物に設置されます。
IBMのUNIX
®「AIX 5L™」で稼動する100TFLOPSのASCI Purpleには、IBMの次世代マイクロプロセッサーである
「POWER5™」マイクロプロセッサーが、196のコンピューターに分散されて合計12,544基
搭載されます。メモリー帯域幅は、毎秒31,200本のDVD映画に相当する合計156,000 GB(ギガバイト)に上ります。すべてのコンピューターは、帯域幅が合計
12,500 GBに上る超高速データ・ハイウェイによって相互に接続されます。
ASCI Purpleにはさらに、標準的なデスクトップPCの40万倍に相当する50テラバイト(TB)のメモリー(50兆ユニット)と、約10億冊分の書籍に相当する
2ペタバイトのディスク・ストレージ(2,000兆のユニット)が搭載されます。
オンデマンド・テクノロジー
新しいスーパーコンピューターの管理の容易さとシステムの信頼性向上は、IBMが組み込む特別な自己管理機能により実現します。IBMの自己発見機能により、ASCI
Purpleはシステム内の何千というコンポーネントの場所を自動的に特定、登録できるため、システム管理者はその他の仕事に労力を振り向けることができます。この新しい
POWER5プロセッサーは、技術者の手を必要とせずにエラーを検出し、システムを回復させます。システムが繰り返しエラーを検出すると、該当するワークロードはマシンの
他の部分へ移されます。
ASCI Purpleにおける革新技術は、テクニカル・ユーザーにも商用ユーザーにも利益をもたらします。ASCI Purpleと同じ自己管理および自己防御テクノロ
ジーは、コスト削減活動の中でワークロードを統合したり、大型並列データベースやe-コマース、ビジネス・インテリジェンスを導入する企業も利用できます。
科学者は、ASCI PurpleやBlue Gene/Lと同程度の強力さを持つスーパーコンピューターによって、従来不可能だった、以下のような複雑な問題に取り組め
るようになります。
・完全装備の核兵器の爆発を想定した、3次元機能での非常に忠実な物理演算
・大型質量比を持つ連星の軌道がどのように不安定で融合するかを研究するための3次
元での完全な星のモデリング
・物質の物理的および化学的属性をかなりの精度でモデル化するため、第一原理の分子
力学の計算コードに高度な量子シミュレーションを採用しており、放射線で損傷した
DNA部位の修復などに適用できます。科学者は、モデル酵素が働く部位を形成し、分
割されるDNAの小さい構成要素を入れることができます。以前は、このようなシミュ
レーションは膨大なメモリーと演算時間を要することから、コンピューターで扱う領
域ではないとされていました。
・Blue Gene/Lでの3次元での地震および音波の伝搬計算は、地震災害の解析、石油探
査、核拡散防止、設計構造の反応、地下構造の検出、医療用画像および光学など、数
多くの広範なプロジェクトに使用できます。
Mark Seager(ローレンス・リバモア研究所コンピューテーション・ディレクトレートのアドバンスト・テクノロジー担当アシスタント・ディレクター)のコメント
「Blue Gene/Lは、コンピューティングの開発を加速させようというASCIの戦略において大きな飛躍となります。まるで、虫眼鏡の代わりに電子顕微鏡を手に入れ
たようなものです。」
Nicholas M. Donofrio(IBMテクノロジー・アンド・マニュファクチャリング担当シニア・バイス・プレジデント)のコメント
「ASCI PurpleシステムとBlue Gene/Lシステムの開発にあたって、米国政府が再びIBMの包括的な技術を頼りにしてくれたことを光栄に思っています。
これら2つのシステムは、ハイエンド・コンピューティングにおけるリーダーシップを表明するものとなります。これらのシステムによって米国は、世界で最も複雑な演算が要求
される問題を解決できるようになるだけでなく、これらのシステムによって実現されるであろう画期的な科学的発見を通じて全人類に貢献することができるでしょう。」
Michael Anastasio氏(ローレンス・リバモア国立研究所ディレクター)のコメント
「ASCI Purpleによって、IBMのASCI WhiteやASCI Blue Pacificなどの大きな成功をもたらしたIBMとリバモアのすばらしい協力関
係が継続されることになります。ASCI Whiteの8倍以上の規模を持つこのPurpleマシーンは、米国防総省の要求の厳しい備蓄関連の研究成果を達成するのに必要
となるかつてないレベルのスーパーコンピューティング・パワーを、ここリバモアの科学者やNNSAの他の研究所の科学者に与えてくれます。」
※本契約には、特定のオプションが含まれています。467TFLOPSという合計演算能力、および2億6,700万ドルの契約価額は、エネルギー省がASCI
Purpleシステムに100TFLOPSのオプションを選んだ場合に基づく数値です。
以上
IBM、AIX 5L、e-businessロゴ、
、POWER5は、IBM
Corporationの商標。
UNIXは、The Open Groupの米国およびその他の国における登録商標。
その他の社名、製品名は、それぞれ各社の商標または登録商標。
