2008年6月12日
IBMのProject Big Greenがグローバルなエネルギー危機に対応
新しい“ミニIBM”モジュラー・データセンターが最高50%の省エネを実現
[米国ニューヨーク州アーモンク 2008年6月11日(現地時間)発]
IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)は11日(現地時間)、急激なエネルギー・コストの上昇、環境への懸念、および企業のサステナビリティー(持続可能性)の要件に取り組んでいる企業向けに、より優れたエネルギー効率を提供する、グローバルな取り組みを拡充すると発表しました。こうした企業では、拡大し続けるビジネス上の要件に対応する「よりグリーンな」技術インフラの構築を委ねられた最高情報責任者(CIO)の責務と、このような投資による財務上の利益を短期間で実現したいという最高財務責任者(CFO)の期待との間にギャップがあります。IBMは、こうしたギャップを解消するための支援策となる、新しいサービス、技術、ファイナンシングを打ち出しました。
11日の発表に先立つ1年前に、IBMは、お客様がデータセンターにおけるエネルギー効率の水準の大幅な向上をはかる上で有効な技術を提供するために、Project
Big Greenを立ち上げ、10億ドルを投じました。データセンターには、処理能力の需要が世界的に高まる中、エネルギー消費量が増大する一方のサーバーや周辺機器が設置されています。この1年間でIBMは、データセンターのエネルギー消費量を低減することを目的として、2,000以上のお客様に対して、ハードウェア、ソフトウェア、サービス技術を提供し、その結果お客様のエネルギー・コストをおよそ40%削減することができました。
IBMモジュラー・データセンター:現在のエネルギー・コストを削減すると同時に、長期的な拡張性を提供
Project Big Greenの第2段階では、設備投資および運用コストと情報技術(IT)ニーズとのバランスをとる上で、より高い柔軟性をデータセンターに持たせることにより、エネルギー効率改善のさらなる向上を目指します。データセンターの環境は、劇的な変化を遂げつつあります。米環境保護局(EPA)によれば、こうした環境に関わるエネルギー・コストは、5年ごとに倍増しており、全米暖房冷凍空調技術者協会(American
Society of Heating, Refrigerating and Air/Conditioning Engineers)は、今後10年以内に、密度は20倍になると予測しています。データセンターの設備投資の約60%、そして運用コストの50%がエネルギー関連であることから、格段にエネルギー効率の優れたデータセンターを設計、建設、運営することが、企業にとって不可欠となってきました。
CIOとCFO双方の要求に対応するために、IBMは11日、世界のどこででも利用できるモジュラー型の、エネルギー効率に優れたデータセンター設計を発表するに至りました。グローバルな大企業から地方の小企業に至るまで、あらゆる企業を対象に設計されたこの新しいモジュラー型データセンターは、エネルギー消費量を最大50%削減することができます。以下のようなデータセンターを用意しています。
- Enterprise Modular Data Center (EMDC):エンタープライズ・クラスのデータセンターを「パッケージ化」したもので、標準仕様として5,000平方フィート(約465平方メートル)から2万平方フィート(約1,858平方メートル)までの規模となります。この手法によって、お客様は、カスタム設計版と比較して、新しいデータセンターを稼働させるまでの時間を3カ月から6カ月早めることができます。より小型の、標準仕様によるモジュールを構築することで、お客様は長期的なITニーズと設備投資および運用コストとのバランスをとりながら、当初のデータセンターの容量を最大12倍まで拡張することができます。この手法によって、容量拡張が必要になるまで、お客様は最大40%の設備投資と運用コストの50%を先送りすることができます。EMDCは、データセンターのエネルギー効率を専門とする業界団体、Green Gridが定めた基準に照らし合わせたとしてもエネルギー・リーダーシップに関して、世界最高の評価を達成できるように設計されています。
- Portable Modular Data Center (PMDC):電源・冷却系、および遠隔監視を含む、物理インフラをすべて備えた、「コンテナ型」のデータセンターを提供します。また、火災、煙、湿度、結露、温度変化などに対する保護機能を含む、従来の「上げ床」式データセンターが持つすべての安全な運営環境の要素を装備しています。PMDCは、どのような環境に対しても出荷・導入が可能であり、業界標準のラック環境で、複数のテクノロジー・ベンダーおよび複数のシステムに対応することができます。
- High Density Zone (HDZ):能力の限界を迎えた既存のデータセンターに対して、段階的に冷却能力および電力性能を増強するモジュラー型システムです。HDZシステムは、現行の運用状態を中断することなく、既存のデータセンターでの交換作業を行うことができ、既存のデータセンターを改修するよりも、最大35%のコスト削減を実現します。
11日に発表されたモジュラー・データセンターは、広く知られたIBMのデータセンターの事実上のミニチュア版であり、世界の最大手企業の多くで使用されている設備の電力およびエネルギー効率を再現します。コンピューティング能力を増強すると同時に、電力消費量を下げることは、業務ニーズの窮状を緩和する役割を果たしてくれます。CIOは、エネルギー・コストが記録的な水準で推移する中、グローバル企業のデータセンターのサポート計画を立てる必要に迫られています。IBMのProject
Big Greenによって、CIOはエネルギー効率の優れたモジュラー・データセンターを設計・導入することができると同時に、CFOは、エネルギー費用を大幅に削減する効果を実現することができます。
IBMグローバル・テクノロジー・サービスのシニア・バイスプレジデント兼グループ・エグゼクティブであるマイク・ダニエルズ(Mike
Daniels)は次のように述べています。「1年前にIBMのProject Big Greenを発表してから、私たちは全世界で、数千の企業、政府、および教育機関との業務に携わり、そのデータセンターの最重要課題となっているエネルギー問題に取り組むお手伝いをしてきました。Big
Greenの第2段階では、私たちは最も先進的なグリーン技術およびサービスを発表し、データセンターばかりでなく、あらゆる業務を通じて、お客様はエネルギー関連の消費と支出を大幅に効率化することができるようになります。」
新しい技術 − グリーン・データセンターへの道を拓くIBMリサーチ
IBMの科学者は、チップと冷却要素を交互に積み重ね、その非常に狭い隙間に水を流すことでコンピューター・チップを冷却する技術を開発しました。この技術的進歩は、データセンターの消費エネルギーの大幅な削減を可能にするものです。すでにIBMの科学者は今月、ベルリンのフラウンホーファー研究所の協力を得て、チップの各層間に直接水を通す、冷却システムを統合した3次元(3-D)チッププロトタイプのデモを行いました。これらのいわゆる3Dチップ・スタックでは、従来は横に並べていたCPUとメモリーを、それぞれシリコン・ウェハー上に載せて交互に積み重ねていきます。こうした「3Dチップ・スタック」は、これまで予測されていた限界を超えてチップ性能を高め、同時にデータセンターが消費するエネルギーを削減するための最も有望な方法の一つと考えられます。
IBMストレージ・システムズの研究者はまた、お客様がデータセンターを計画する際に役立てるため、ITワークロードにおける電力利用を測定する方法の研究を進めています。最終的には、こうした新しい技術がリアルタイムで電力消費を管理するためのストレージ管理ツールに組み込まれると研究者は予測しています。
さらにIBMのサービス研究者は、Component Business Modeling (CBM)の環境面、特に二酸化炭素排出量対策への応用に取り組んでいます。CBMにより、組織は業務活動を管理可能な数のモジュール式ビジネス・コンポーネントへとあらためて分類することで、改善とイノベーションの機会を発掘することができます。こうして柔軟性が実現し、さらに、事業の運営と事業戦略の推進に必要となる中核能力が明確に浮かび上がってきます。二酸化炭素管理に関心を寄せる組織はCBMを用いて、二酸化炭素の影響レベルが高く、変更を検討すべき事業領域を特定します。例えばCBMマップには、IBMのグリーン・データセンターの手法を通じて二酸化炭素排出量を削減する可能性の高い「IT
Systems and Operations(ITシステムと運営)」というコンポーネントが存在します。CBMマップはまた、性能指標および業界ベンチマークが事前設定されているため、無駄を削減できるビジネス・プロセスのありかを分析する目的で使用するのも容易です。
グリーン・データセンターに適した新しい製品とサービス
IBMは11日、業界をリードするストレージ仮想化システム向けの新ソフトウェア、IBM
SAN Volume Controller (SVC) 4.3を発表しました。新しいSVC 4.3ソフトウェアは、全社にわたる情報を統合した仮想プールを作ることで、ITインフラの柔軟性と即応性を大幅に向上させます。これにより、IT部門はリソースを一元的に管理し、お客様のニーズにさらに迅速に対応できるようになります。ストレージ仮想化技術はまた、付加的な物理的ストレージ・ハードウェア・システムの要件を緩和するため、結果的にデータセンター内全体のエネルギー使用量が削減できることになります。
さらにIBMは、お客様のデータセンター・ストレージおよび仮想化のニーズに貢献する、エネルギー効率の高い3つの新サービスを発表します。
- IBM Server Optimization & Integration Services for VMware server virtualization − お客様が自社のサーバー・インフラの柔軟性を高め、最大60%の使用率を実現し、管理するサーバー数を大幅に削減するために役立つ包括的な一連のサービス。このサービスによりエネルギー・コストは最大30%、総所有コストについては最大50%までの削減が可能となります。
- IBM Storage Optimization and Integration Services for process excellence − スキルトランスファー、変更管理、一貫性の欠如、急激なリソースの変動による影響など、企業内の課題に対応するサービス。このサービスは、IBM Novus Storage Enterprise Resource Planner (SERP) v4.3.1の新リリースに組み込まれている、ストレージ・インフラの電力消費および二酸化炭素排出量を記録する機能を基盤としています。
- IBM Softek z/OS® Dataset Mobility Facility (zDMF) − お客様が、アプリケーションの可用性への影響を最低限に留めてデータセットのレベルでデータを移行するためのサービス。この自動化手法により、これまでよりも柔軟性を高めて、より高性能のディスクへ迅速に移行することができ、エネルギー効率の優れた新しいストレージ・システムが企業にもたらされます。
「グリーン」を実現するためのファイナンシング
IBMグローバル・ファイナンシングは11日、エネルギー効率の良いITサービス、インフラ、事業変革プロジェクトのためのカスタマイズされた包括的なファイナンシャル・パッケージを発表しました。こうしたファイナンシングは、お客様の「グリーンな」データセンター・プロジェクトのあらゆる範囲を網羅したキャッシュ・フローの保護を促進する、ハードウェア、ソフトウェア、サービス、メンテナンスまでを単一の包括的なパッケージに統合したものです。「グリーンな」データセンター・プロジェクトに融資することで、IBMグローバル・ファイナンシングは、お客様の現在と将来のIT投資のすべて、現時点での他のプロバイダーとのファイナンシング契約の清算すらも管理することができます。
次世代エンタープライズ・データセンター − 中核部をグリーンに
今年に入って、IBMは次世代エンタープライズ・データセンター向けのモデルを発表しています。これは、グローバル規模のお客様が今日直面しているビジネス課題に対応する、漸進的かつ高効率、動的なインフラです。IBMの構想は、深部にわたる技術力、卓越したスキル、およびお客様が今日、それに従って行動しているアセスメント(評価)やソリューションを備えた明確なロードマップによって支えられています。十数社のエコシステム・パートナーの支持を得たオープンな手法を用いているこの新しいフレームワークにより、お客様は新興技術を活用して拡大するビジネス課題に対応し、競争力を高められるような地位を確立することができます。
Project Big Greenは、仮想化、グリーンIT、サービス・マネジメント、セキュリティ、クラウド・コンピューティングにおけるベスト・プラクティスに重点を置く、IBMの次世代エンタープライズ・データセンターの戦略にとって非常に重要な部分です。次世代エンタープライズ・データセンターにより、IT性能およびエネルギー効率の劇的な向上の可能性が提供され、ビジネスの成長に対応した、新たなITサービスの迅速な展開が促進されます。
IBMは5月、企業がグリーン目標を達成し、インフラ、ワークロード、人員のエネルギー効率を最適化するために役立つソフトウェア機能の広範なセット、「より『グリーン』な世界に向けたソフトウェア(Software
for a Greener World)」を発表しました。この機能は、Tivoli®、IBM®
WebSphere®、Rational®、Information Management、およびLotus®のIBMソフトウェア・ポートフォリオ全体にわたっています。IBMソフトウェアによって、お客様は例えば次のようなことを実現できます。データセンターおよびそれ以上の範囲にいたるエネルギー消費の管理、エネルギー効率の高いエンタープライズ・アプリケーションおよびSOA環境の提供、エネルギー効率を得るためのビジネス・プロセスの最適化、エネルギーおよび二酸化炭素の文書でのコンプライアンスを報告するための記録、エネルギー・コストを下げるための情報ストレージおよび情報処理の効率的な管理、全世界にわたる連携体制の推進による炭素排出量削減および出張の必要性の低減。
IBMのデータセンター・ファミリー機能、およびエンドツーエンド・ソリューションに対するお客様の要件に対応するため、IBMは、業界をリードするグローバルな電力および冷却技術を提供する、Anixter
Inc.、Eaton、Emerson Network Power、GE Digital Energy、およびSchneider
Electric傘下のAPC社などとの関係を通じて、お客様のデータセンター・オープンアーキテクチャーを拡充し続けています。
11日に発表したエネルギー効率の良い技術ソリューションに加えて、IBMはエネルギーと環境に関連したいくつかの領域、例えば持続可能なサプライチェーン、ソーラー技術、二酸化炭素管理サービス、高度な水管理、インテリジェントなユーティリティー・ネットワーク、および高度道路交通システム(ITS)などに重点的に取り組んでいます。詳細については、http://www.ibm.com/green(US)をご覧ください。
当報道資料は2008年6月11日(現地時間)にIBM Corporationが発表したものの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/24395.wss
IBM、Lotus、Rational、Tivoli、WebSphereおよびz/OSは、International Business
Machines Corporationの米国ならびにその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
