プレスリリース

IBM、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」にチャレンジするコンピューターを開発中

2009年4月28日

IBM、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」にチャレンジするコンピューターを開発中
記録的なスピードで複雑な質問に対して的確な回答を決定する能力を実証するための壮大な科学的挑戦

[米国ニューヨーク州アーモンクおよびカリフォルニア州カルバーシティ 2009年4月27日(現地時間)発]

IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)は本日、米国の人気クイズ番組「Jeopardy!(ジョパディ!)」で人間と競い合える先端コンピューター・システムの詳細を発表しました。また、「ジョパディ!」の関係者は、人間とコンピューターが対抗する番組の製作計画について発表しました。

IBMの研究者は、Watson(ワトソン)というコードネームで呼ばれている最新鋭の質問応答(QA) システム開発に2年近く取り組んできました。このコンピューター・システムは、「ジョパディ!」で複雑な質問を理解し、十分な正確さとスピードで回答できると考えています。

ソニー・ピクチャーズテレビジョンが製作し、CBSテレビジョン・ディストリビューションが配給する「ジョパディ!」は、歴史、文学、政治、映画、ポップカルチャー、科学など幅広いトピックをカバーする、知識と素早い想起が要求されるゲームです。バラエティー豊かなトピック、クイズ番組の回答者に要求される正確な即答、そしてクイズ番組の出場者に与えられるヒントに含まれる巧妙な意味、皮肉、謎やその他の複雑な要素の分析を人間よりもこの種の処理が苦手なコンピューターが行わなくてはならないなど、このゲームはコンピューター・システムに壮大なチャレンジをもたらします。ワトソンは超並列解析能力を備えており、クイズ番組に出場する人間同様、インターネットへは接続されず、また外部からの支援も受けません。

コンシューマー・エレクトロニクス・ショーの会場での収録という先例を作り、モバイル・ゲームのトップ・ランキングを獲得するなど、「ジョパディ!」は、いつでも、どこでも、どんな画面でも視聴者に番組を提供できるよう、常に新技術の先端を歩んでいます。ハイビジョン放送用に製作された初のシンジケーテッド(放送系列局が決められていない)・ショーであり、1984年の初演以来、エミー賞を28回受賞している「ジョパディ!」は、テレビ放映されているゲーム・ショーで最多の受賞記録を持ち、ギネス世界記録の本に殿堂入りしました。「ジョパディ!」は、1日あたり1千万人を越える視聴者を抱える最も人気のある連続クイズ番組です。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのソニー・ピクチャーズテレビジョンが製作した「ジョパディ!」は、CBSコーポレーションのCBSテレビジョン・ディストリビューションが米国内および海外に配給しています。

ワトソンというコードネームで呼ばれているコンピューター・システムの基礎を成している研究は、コンピューターの知能および人間とコンピューターとのコミュニケーションをかつてないほどのレベルにまで高めることが期待されています。IBMは、様々な業界のお客様がビジネスに関連した質問により早く、正確に答えられるよう、ワトソン向けに開発された他に類を見ない技術力を適用していく意向です。

IBMのパルミサーノ会長兼CEOは、次のように語っています。「決断の本質は、膨大な量のデータの中からパターンを認識し、様々な選択肢に優先度を付け、すばやく正確に回答するということです。ワトソンは、企業、業界、都市を含む世界がどのように、よりスマートになっているのかを示す非常に興味深い事例です。先進的な処理能力および深い分析により、ビジネスや社会のシステムを知的に活性化することができます。このプロジェクトは、IBMの長年にわたる基礎研究へのコミットメントを示すとともに、科学技術におけるグランド・チャレンジを克服する最新の事例です」

ソニー株式会社のハワード・ストリンガー 会長 兼 社長 CEOは、次のように語っています。「『ジョパディ!』は、ソニーが有する世界的に有名なクイズ番組で、ゲーム通にとってはゴールド・スタンダードです。毎晩記録的な数の視聴者が『ジョパディ!』で勝つという挑戦を共有しており、この新しいプロジェクトを通じて番組の形式や可能性を広げることができることをうれしく思います。」

当プロジェクトの紹介ビデオは下記をご参照ください。
http://www.youtube.com/watch?v=3e22ufcqfTs(英語のみ)
「ジョパディ!」については下記をご参照ください。
http://www.Jeopardy.com(英語のみ)

補足:IBMのワトソンというコードネームで呼ばれているコンピューター・システムについて

ワトソンというコードネームで呼ばれているコンピューター・システムは、言葉の裏に隠された意味を手際よく処理するよう設計されています。この設計により、質問に回答するために、回答に関連する内容と関連しない内容とを識別し、あいまいな表現や駄じゃれを解釈し、質問を部分質問に分解し、ファイナル・アンサー(最終回答)の論理合成を行います。さらに、ワトソンは導き出した回答について、統計的な信頼性を算定します。1秒とかからずに知っていることを回答できる人間と競い合うことができるよう、ワトソンはこれら全ての作業を瞬時で行うよう設計されます。

ワトソンを開発する目的は、IBMが今後もお客様に対し、お客様が作り出す膨大なデータの中から必要な情報を見つけるための先端的な能力を提供できるよう、ビジネス・インテリジェンス、分析、インフォメーション・マネジメントの未来を探究することにあります。

1997年当時、人間とコンピューターの対戦として有名になったチェスの対局で、Deep Blue(ディープ・ブルー)と呼ばれるIBMのコンピューターがチェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏に勝利しました。IBMは、固定的な問題に対して1秒間に2億手を計算できる非常に高速なコンピューターを開発しました。一方、IBMのワトソンは、主にダイナミックでインテリジェントなソフトウェアを使い、全く新しいアプローチで制約のない問題を解くことにより、人間にさらに近づいた形で対戦しようとしています。今日のコンピューターは、大量情報処理能力があるにもかかわらず、文を整合的に分析・理解したり、まして人間の脳のように曖昧なヒントを理解して正解を見つけたりすることはできません。

ユーザーのキーワードもしくは意味的な概念を含む文書を返すようデザインされた従来のコンピューティング技術とは異なり、ワトソンと呼ばれるシステムは、技術的な躍進によって、ユーザーの検索質問を真の質問と解釈し、何をユーザーが質問しているのかを正確に判断することが期待されています。ワトソンは、超並列処理を使用し、複雑な質問を同時にそして瞬時に理解します。このような質問に回答するには、膨大な量でバラエティーに富む自然言語のテキストを集め、深く分析し、回答の候補について根拠となる証拠や異議を唱える証拠を採点できるシステムを必要とします。システムは、次にどの程度回答に自信があるのかを判断します。このアプローチでは、最新の自然言語処理とともに、先進機械学習および統計的手法を併用することにより、人間のような的確さ、スピード、幅広さと正確な信頼性判断をもたらします。

2008年、IBMとカーネギーメロン大学は他の大学と一緒に 先駆的なOpen Advancement of Question Answering (OAQA)イニシアチブを立ち上げました。OAQAは、自動質問応答に関する共同研究を加速させるための構造的、方法論的な基礎を提供することを目指しています。IBMは、さまざまな個別に開発されたアルゴリズムを統合、汎用化できるかを実証するために、ワトソンの開発や挑戦課題について大学に協働を呼びかける予定です。

IBMのワトソン開発チームのリーダーを務めるデービッド・フェルーチ博士は、次のように語っています。「自然言語の質問に対する的確な答えを判断し、回答について正確な信頼性を計算するという人間の能力に対抗できる今までにないシステムを開発するというチャレンジです。この信頼性を処理する能力が鍵となります。IBMのアプローチは、従来の検索とは大きく異なり、また有用な質問応答のビジネス・アプリケーションの実現に欠かせません。ワトソンを構築する基礎的な質問応答技術の進展は、いままでコンピューターには手の届かないものだった人間との言語関連作業の協業が行えるインテリジェントなコンピューティング・システムの理解、開発を目指していく上で重要です」


当報道資料は、IBM Corporationが2009年4月27日(現地時間)に発表したプレスリリースの抄訳です。原文は、下記URLを参照ください。http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/27324.wss

IBMは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。