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インフォメーション・オンデマンドの意義
日本アイ・ビー・エム株式会社
流通サービス事業部
アプリケーションイノベーション・サービス
パートナー
呼川 征子
- 何が新しいか
日常生活で当たり前のように受けるサービスの裏に、とてつもなく大きな仕組みが存在することに気付く場合があります。
例えば、クレジットカードを紛失して深夜にカード会社へ電話をした際、呼川という顧客が複数のカードを有していること、紛失したカードを特定して本人以外が使用していないことを即座に確認できること。あるいは、宅配便の集荷を依頼した際、電話番号を伝えるだけで住所と名前を特定し、荷物を送った後も、インターネット上で配達状況を確認できること。インターネットで本を注文すると、関連する書籍のアドバイスをもらえることなど、例を挙げればきりがありません。
このようなサービスを受けると、次回からもそれらを利用したいと思う顧客の心理は何でしょうか。おそらく、「相手に自分を知ってもらっている」という安心感があるからではないかと思います。この安心感を支えているのが、実は「情報」であり、複数のシステムの情報を統合する技術・仕組みです。
お客様の経営課題に応じて、数値データやテキスト、大量の文書情報を経営に活用するためのソリューションづくりに取り組んできた、われわれのようなコンサルタントにとって、インフォメーション・オンデマンド(IOD)は決して新しいテーマではありません。しかし、テクノロジーの進化により、ますます戦略的に活用できるようになった点がIODの醍醐味ではないかと考えます。 - その戦略的要素
IODの戦略的な要素について、金融業界での適用事例をご紹介しましょう。ある金融機関のコールセンターに、お客様から電話がかかってきます。コールセンターのオペレーターは、お客様の名前を確認するだけで、電話口にいるお客様に自社の三つの商品を利用いただいていることを即座に把握し、利用されているサービス(例えば、預金・投資・保険)のうち、どの用件で電話をいただいたかを再度お客様に確認します。
この金融機関では当初、業務アプリケーションごとに顧客情報・商品情報・アカウント情報を持っていたため、コールセンターからだけでなく銀行の窓口からも、インターネット上からも、顧客という切り口でサービス横断的に情報を把握することができませんでした。これをCDI(Customer Data Integration:顧客データ統合)の仕組みを用い、顧客情報を一元管理することにより、各種サービス窓口でのきめ細かいサービス提供と、社内の経営的ニーズに合わせた意思決定支援などを実現できるようになりました(図1)。これは、顧客視点に立ったサービス改革の一例です。
このほかにも、各方面から入ってくるお客様の声をテキストマイニングの技術を用いて傾向を分析し、商品や顧客サービスの改善、マニュアルの改善、マーケティングおよび販売戦略への活用、顧客志向への社内風土改善などへ実運用されている通信業・金融業のお客様の例。また、XML(Extensible Markup Language)技術を用い、複数の情報から構成される製品情報を意味のある単位にコンポーネント化することにより、一つの変更を複数の関連文書へ反映させて同時変更を実現している製造業・製薬業のお客様の例などがあります。 - 経営的課題を解決するキーに
わたしたちは、四半期に1度、天城セミナーを開催し、お客様と第一線のコンサルタントが討議を行う場を設けています。その中で収集される「お客様の最も関心が高い経営的課題とIT(情報技術)への期待」に関するアンケートでは、業種によらず「企業経営の透明性確保」と「事業運営実態の可視化」に関心の高いことが2006年度の傾向からうかがえました(図2)。
中でも、「事業運営実態の可視化」は、販売実績や生産実績、在庫状況、原価など、現場第一線での事業運営実態の透明性を高め、業務における経験や勘といった属人性を極力排除し、現場第一線での業務品質や生産性を高めたいというものです。ご出席者の役員の方々からは、経営が実現したいこと、変革していきたいことをITがどのように支援してくれるかというご質問とともに、熱心な討議が行われました。
お客様企業を取り巻く経営環境の中で、IODを活用して「変化することに応えていき、テクノロジーが経営そのものの真の武器になる改革」をご支援できるよう取り組んでまいります。
図2. 経営的関心事に関する業種別傾向(AIS天城セミナーアンケートより)

