10万人のエグゼクティブをお迎えして
- 天城ホームステッド -
日本アイ・ビー・エム株式会社
経営イノベーション エグゼクティブ・プログラム
天城セミナー主任インストラクター
山下 明人
[プロフィール]
1990年、日本IBM入社。営業として官公庁を中心に公共エリアのお客様を担当。2000年より広報でエグゼクティブ・サポートに従事、2004年より現部門で天城セミナーの企画開発および講義を実施。
エグゼクティブ・プログラム最年少インストラクター。
- 時代が求めた「天城エデュケーション・センター」
正面に富士の雄姿、左手に駿河湾、右手に相模湾を望む伊豆・天城高原の中腹にIBM天城ホームステッドがある。1968(昭和43)年、時はいざなぎ景気の真っただ中、日本経済は右肩上がりの高度成長を続け、国内でも経営にコンピューターを活用すべきであるというムードが高まっていた。まさにそんな時代に天城ホームステッドはお客様向けエグゼクティブ研修施設としてオープンした(表1)。
天城ホームステッドの評判を一気に高め、後々のホームステッドとセミナー運営に決定的な影響を与えたのが1968年9月に開催された「第1回 エグゼクティブのための電子計算組織勉強会」。参加者は名実ともに当時の日本の財界・官界を代表する方々だった。当時としては目新しいオーバーヘッド・プロジェクターやホワイト・ボードを使っての講義、海外の先進事例のご紹介。他に例を見ないバス/トイレ付き個室を完備した研修施設と質の高いサービスはまさに「最先端の寺子屋」。すぐ日本の経営者の間で評判となり、天城セミナーは巷間「天城詣で」「天城道場」とも呼ばれた。
天城ホームステッドへの玄関口となっている伊東駅前には、旗を持った旅館の客引きが立ち並ぶ温泉街特有の光景がある。今となっては笑い話だが、開設当初は「IBMという横文字の入った旗を持つダークスーツの客引きが、立派な身なりの裕福そうなお客様ばかりを根こそぎ連れて行ってしまう」と騒ぎになったこともあったとか。 - 天城ホームステッドが提供させていただく価値とは
天城ホームステッドは、富士箱根伊豆国立公園の一角に位置し、21,000坪の森の中でなだらかな斜面に沿って静かに建っている。三つの研修室と一つの講堂のほか、PCが常設されたビジネス・ルーム、そして分科会も開催できる四つの会議室がある。80室の客室があり、大浴場には伊豆・大川の天然温泉が引いてある。
ホームステッドとは元来「付近の田畑を含めた農家の屋敷」とか「付属建物を含めた農場」という意味。天城ホームステッドは普段多忙な生活を送っている経営者の方々に、自然の中でゆったりお過ごしいただきながら、日中は最新動向の研究や、知見/情報交換に集中していただき、夜は温泉で汗を流し、打ち解けた雰囲気の中でエグゼクティブ同士の交流を深めてもらう。そんな一風変わったスタイルのセミナーをご提供している。
現在でも開設以来のエグゼクティブ向け研修施設のポリシーを堅持しつつ、特定のお客様を対象としたコース、あるいは複数のお客様が一堂に会して参加するオープン・コースが毎年200本近く開催されている。天城セミナーへの参加者も開設当初の年間1,000人程度から年々増え、最近では毎年4,000人前後のお客様にお越しいただくようになった。
研修テーマも一歩先を行くメッセージを発信するセミナーとして、時代のニーズに合わせ常に見直されてきた。開設当初の「コンピューターの原理と有効活用」から、時代とともに「情報の有効利用」「戦略的情報システム」「e-ビジネス」「オンデマンド・ビジネス」と変わり、現在は「イノベーション」をテーマにした種々セミナーが開催されている(図1)。 - 天城ホームステッドの社会貢献
天城ホームステッドにはもう一つ別の顔がある。激しく揺れ動く時代の変化を予見し、日本のとるべき道について幅広い視点から各界の有識者の方々に自由に議論していただきたい。そんな思いからオピニオン・リーダー会議の場としても提供されている。
「天城会議」は産業界・学界・官界・言論界、その他文化/芸術分野を代表する有識者の方々から成り、1970年にスタートし40年近い歴史を持つ。さらに若手有識者を対象とした「伊豆会議」「富士会議」、全国の大学学長有志が一堂に会する「天城学長会議」が開催され、合わせて毎年200人近い有識者が天城を舞台に大胆で活発な意見交換をしている。
環境問題にも積極的に取り組み、太陽光/風力発電を取り入れているほか、天城ホームステッドの年間消費電力100万kワットすべてをバイオマス発電によるグリーン電力で賄っている。 - 10万人のエグゼクティブをお迎えして
昨年秋に天城ホームステッドは10万人目のお客様をお迎えすることができた。開設以来40年の歴史は、まさにお客様とともに歩んできた歴史といえる。
天城ホームステッドで年間を通し数百名の経営者に最新情報を提供しているエグゼクティブ・プログラムのプロフェッショナルたちは、次の10万人目のお客様をお迎えする日に向け、お互い切磋琢磨しながらセミナー品質の向上に努めている。かつて1990年代初頭にIBMのお客様満足度が低迷した時期があり、そのとき、あるお客様から幾つかの厳しいご提言とともに「IBMは、競合他社に比べて、素晴らしい財産を持っている。それは天城ホームステッドだ」と励ましの言葉をいただいたこともあったそうだ。天城セミナー運営スタッフ十訓の一つに「伝統は守るが変化も恐れない」とある。スタッフ一同、この教えを忘れずにこれからもお客様のお役に立つエグゼクティブ研修施設、研修プログラムをご提供していきたいと考えている。
| 1967年(昭和42年) | 天城ホームステッド着工 |
|---|---|
| 1968年(昭和43年) | 天城ホームステッド竣工・開設 「エグゼクティブのための電子計算組織勉強会」開始 「天城ホームステッド前」バス停完成 |
| 1969年(昭和44年) | 1,000人目のお客様をお迎えした |
| 1970年(昭和45年) | 第1回天城会議開催 |
| 1971年(昭和46年) | 天城ホームステッド増築 |
| 1972年(昭和47年) | お客様送迎大型バス導入 |
| 1975年(昭和50年) | 1万人目のお客様をお迎えした |
| 1980年(昭和55年) | 2万人目のお客様をお迎えした |
| 1982年(昭和57年) | 第1回伊豆会議開催 |
| 1983年(昭和58年) | 第1回天城学長会議開催 |
| 1984年(昭和59年) | 3万人目のお客様をお迎えした |
| 1987年(昭和62年) | 天城ホームステッド新研修棟完成 |
| 1988年(昭和63年) | 第1回富士会議開催 |
| 1990年(平成2年) | 5万人目のお客様をお迎えした |
| 1998年(平成10年) | 天城ホームステッド開設30周年 |
| 2000年(平成12年) | 8万人目のお客様をお迎えした |
| 2001年(平成13年) | 生ゴミ処理機導入 残飯排出抑制 ブロードバンド、無線LAN設置 |
| 2002年(平成14年) | 太陽光発電機設置 |
| 2004年(平成16年) | グリーン電力利用開始 風力発電機設置 |
| 2006年(平成18年) | 10万人目のお客様をお迎えした |

