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SE関のノーツ/ドミノ徒然草
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SE関のノーツ/ドミノ徒然草
第22回 ノーツクライアントかブラウザーかそれが問題だ
R4.5のドミノサーバーからノーツクライアントのみならずブラウザーでもノーツが使えるようになりました。ブラウザーは機能制約が多いため当初はノーツユーザーにはあまり大きな影響はなかったかに見えました。ところがその後のR4.6、そしてもうすぐやってくるR5.0などが見え始めて着実にブラウザーでの機能は進歩しているようです。実際ブラウザーをまじめに検討するユーザーの方も増えてきました。
今回はドミノサーバーにとってのノーツクライアントとブラウザーの選択というテーマについて考えてみましょう。
さてドミノサーバーをブラウザーで使おうというユーザーに共通しているのが、『ブラウザーはタダだから』という理由です。確かにノーツクライアントが安くとも数千円するのに比べて、無料のブラウザーはお金の観点ではたいへん魅力的です。通常は全社というようなレベルで展開するノーツドミノですから、それだけを比較すればその費用対効果はたいへんなものかもしれません。しかし、『タダより高いものはない』などという言い方もあります。果たして本当にそれだけでの理由でブラウザーに決めてしまうのは本当に良いのでしょうか。ではいったいどんな観点でノーツクライアントやブラウザーの採用を考えていけばよいのでしょう。
ではまずノーツクライアントの良さは何でしょう。ノーツクライアントのスーパーユーザーであればすぐにモバイル機能をあげるでしょう。ノーツクライアントのモバイルではメールも当然のことながら、ディスカッション、掲示板、そして開発されたいろいろなアプリケーションの多くをモバイル、そして厳密には通信回線すら使わないオフラインでの利用を可能とします。これはブラウザーではまったく太刀打ちできない機能の1つです。
このように実現している機能もさることながら、実現できるアプリケーション機能のレベルという観点では、ブラウザーに比べてかなり進んでいるでしょう。サーバーとのやりとりを細やかにするとか、複雑な制御を画面で行うとかという機能は、ノーツRPCという独自の高度なクライアントサーバープロトコル、クライアントでもサーバーでも実行できるロータススクリプト、そしてマルチメディア的文書を整理して格納するデータベースなどに支えられて見事に実現されています。そしてこれらがノーツに統合されている生産性の高いアプリケーション開発環境で支えられていると言えるでしょう。
またセキュリティーという観点もあります。認証、回線暗号化まではブラウザーでもSSLというプロトコルの進歩とともに実現されつつはあります。しかしメールの暗号化、文書の暗号化、相互認証などまで全て統合して実現しているノーツには少なくとも一日の長があると言えるでしょう。業務上でセキュリティー的に重要なワークフローアプリケーションなどを想定した場合に、文書に電子署名ができるノーツクライアントと、仕組みのないブラウザーではその開発選択肢はおのずと決まってくることでしょう。
ではブラウザーの良さとは何でしょう。"タダ"という購入に関する経済性にはまったく他のソフト全て太刀打ちできないのは明らかです。いくらノーツクライアントが安くなってきても"タダ"になることはさすがに考えにくいことではあります。
また経済性と同じような観点でブラウザーがよく言われるのにクライアントの軽さがあるかもしれません。ノーツですと一時期よく言われた機能の豊富さからくるファットクライアント(Fat Client)としての重さがあります。一方シンクライアント(Thin Client)の代表として言われたブラウザーはさすがにクライアントのPCに必要な資源は軽めであることは事実です。
このブラウザーの軽さは元をただせばそのサーバーとの通信プロトコルであるHTTPのシンプルさからきていることは間違いないでしょう。そしてこのHTTPの軽さはネットワークトラフィックの軽減につながることもあるでしょう。またそのシンプルさは結果的にユーザーの使いやすさ、覚えることが少なく教育コストの低減という形で現れてきているようです。
また、これも軽さやシンクライアントであることからくることではありますが、ブラウザーのリリースアップの容易さということも特長と言えるでしょう。ユーザー自身がインターネット経由でブラウザー自身をダウンロードして、そのままリリースアップするその現実はノーツに比べると確かに容易と言えるかもしれません。
さらに弱いと言われていたアプリケーション開発に関しても昨今のJava、Javaスクリプトの進歩がそれを払拭しつつあります。ブラウザーで実行可能なアプリケーション機能の範囲は新しい技術の取り込みによって確実に広がる兆しを見せています。
重いけど機能が豊富なノーツクライアント、機能はやや落ちても安くて軽いブラウザー。これが現状での端的なそれぞれの表現かもしれません。しかし本当にそれだけでその選択ができるのでしょうか。機能が豊富であるということは、あくまでユーザーにとって必要な業務の実現をできるレベルを満たしているかいないかが基準ではないでしょうか。ユーザーの必要な業務がブラウザーのレベルで十分簡単に実現できるのであれば、それは豊富な機能と言えるかもしれません。その時ノーツクライアントはあまりに余分な機能をもつクライアントでしかなくなるかもしれません。
一方、軽くて安いというのもブラウザーに対する安直な理解のような気がします。ブラウザーでかなりの機能を実現するために大きなJavaアプレットやサーバー側のアプリケーションを多数開発すれば、ノーツに比べても開発コスト、ネットワークコストはかなり膨らむことでしょう。またそれに伴いJavaのレベルを全てのユーザー環境で合わせる必要がでてきます。ユーザーが勝手に新しいブラウザーのリリースアップをすることを許してしまえばアプリケーション自身の動作が危うくなってしまいます。そしてその時は結局システム部門が全てのクライアントPCのブラウザーのリリースをコントロールするという大きなコストを発生させることとなります。
最近の一つのユーザーの傾向ではノーツクライアントとブラウザーの使い分けという選択肢も広がってきました。高度なアプリケーションを利用したりするようなユーザーにはノーツクライアントを利用させ、他のユーザーにはブラウザーを利用させるというユーザーを分類するようなアプローチも見られます。また一つのアプリケーションでもコンテンツの対話的な作成はノーツで、そして利用はブラウザーというアプローチもあります。
さらに話をややこしくしているのがそれぞれの急速な進歩かもしれません。ノーツクライアント自身もR5に向けてブラウザーのプロトコルや使いやすさを取り込むのは勿論のこと、さらに統合的に使いやすいスーパークライアントの道を目指しています。一方ブラウザーもアプリケーション機能を充実するためのJavaの実行環境JDKのレベルアップ、さらに本格的なクライアントサーバーを実現するためのIIOPなどの新しいプロトコルのサポートなど、機能強化を進めています。つまりそれぞれが互いの不足分を補うために、それぞれに歩み寄っているとも見えるかもしれません。
このようにドミノサーバーのクライアントの議論は、それぞれ単独での評価だけでなく使うユーザーのニーズの議論、そしてそれらのユーザーの分布や方向性などいろいろな側面を検討する必要がありそうです。そしてそれに加えてノーツクライアント、ブラウザーの近い将来の姿、はたまたユーザーの将来的なニーズまでその範囲は広がるでしょう。このような多角的かつ総合的な視点を忘れずに、基本的には実現しようとしている業務がユーザーにとって必要かつ能率的になるにはどうしたらよいか、目先にとらわれず十分冷静に判断していきたいものです。
T. Seki, ts@jp.ibm.com
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