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SE関のノーツ/ドミノ徒然草

第29回 R5が目指したもの -大規模で強固なメールシステム-

Lotus Software
古典 SE関のLotus Notes/Domino徒然草 ノーツ/ドミノR5が目指したものをどうとらえるか、またどのように評価すればいいのか、そんなことを考えるシリーズの第二回目。今回はドミノサーバー側に目を移して、まずはメールシステムとしての設計目標を考えてみましょう。

メールシステムとしてはノーツはその誕生からノーツメールという独自のメールを持ち合わせてきました。しかしインターネットメールの興隆に伴い、R4.5からはSMTPをそのサーバー間プロトコルとし、メールクライアントとはPOP3やIMAP4と言ったインターネットで主流となりつつあるプロトコルでも通信できるように、つまりインターネットメールサーバーとしても利用できるように進化してきました。

一方、ノーツメール自身の進化も見逃せません。グループウェアであるノーツの一部分であったノーツメールは、機能的にはややもするとたくさんあるグループウェアアプリケーションの一つでしかないような印象をもたれがちでした。そこでR4.6の頃からメール専用ソフトに劣らないようにと、メールシステムとしてはかなり成熟しているcc:mailを強く意識し、その改良が加えられてきました。

さらに新しい動きとして、Webサーバーとしてのドミノの登場により、今までのノーツメールを少し機能が落ちてもノーツクライアントではなくWebブラウザから使えるようにというWebメールの流れもでてきました。このあたりはインターネットのポータルサイトで最近よく見られる無料のWebブラウザから使えるフリーメールなどの流れにちょうど呼応するかのようです。

R5ドミノサーバーは言うなればこのような3つの流れをすべて統合し発展させ、どのようなメールシステムであろうと、またどのような規模であろうと強固なメールシステムを構築できるように、という目標をもって再設計されたと言えるでしょう。これがR5のドミノサーバーでの設計目標のひとつである『大規模で強固なメールシステム』と理解できます。

mail box

ノーツメールとして、インターネットメールとして、そしてWebメールとしても利用できるドミノサーバー。これらを大規模で強固なものとするためには、土台となるデータベースやサーバー自身の大幅な改良が加えられているようです。100万人でも収容できるという旧アドレス帳ことドミノディレクトリーがそれを物語っているかもしれません。

また運用面では、基本的なドミノサーバーの運用機能の強化が大規模なメールサーバー群を強固に運用するのに役立つことでしょう。膨大な数のメールユーザーは当然のことながらかなりのサーバー数を思い起こします。R5の管理クライアントからの一元的なドミノサーバー管理などはまさにそのような環境に必須となるでしょう。さらに一般的な運用機能強化のほかに、メールの追跡を管理者からもユーザーからも行えるメッセージトラッキングの機能、またメールのメッセージの転送のサイズを制限できる機能などは、大規模メールシステムを強固に運用管理する上でぜひ使いたくなる細やかな機能かもしれません。

膨大な人数の収容できるドミノディレクトリー、さらに大規模サーバー群を想定し、またメールシステムとして必要なものを備えた運用管理機能は、今時の企業でよく見られる幾つものメールシステムが動いている社内メールシステムを一つのドミノサーバーという体系に統合するという動機付けにつながるかもしれません。

さてこのように幾つものメール方式の選択肢を与え、しかも一社、いやグループ数社ででも同じメールシステムを使えるような基盤が与えられたとき、いったいどのメール方式で、またはどれとどれのメール方式でやっていくのがよいのでしょう。

ドミノのメールシステムでは、ノーツメールはcc:mail風の本格的なメールとして仕上がり、インターネットメールとしても完成度の高いLDAPサーバーの機能を加えた総合的なメールとなり、さらにWebメールにいたっては専用のJavaアプレットにより見た目はノーツメールと遜色なく見えるまでに進化しました。

このような各メール方式それぞれの仕上がりとともに、いわばそれぞれの方式のインターネットメール化とでも言える機能も追加されています。どのメール方式でも宛先指定はインターネットメール的に行えたり、本文もインターネットで主流のMIME形式で格納できます。またそのMIMEの採用の延長線上としてノーツメールとインターネットメール間でのメールの電子署名と暗号化まで実現されています。また面白いことに同じメールデータベースをノーツクライアントでも、インターネットメールクライアントでも、Webブラウザでもアクセスできるという機能まであります。こう見てくると3つのメール方式は別々に進化する流れだけでなく、ノーツメールを中心にインターネットメールの流れを汲んで、それぞれ境目が見えなくなるように作られてきているということです。

mail box2

グループウェアやその他の独自メールは、一般的にはインターネットメールの興隆とともに衰退していくかのようにうけとられてきました。しかし考えてみると昨今のメールの世界はインターネットメールへの収束の期待とは裏腹に多様化の道を歩んでいるようにも思えます。

ポータルサイトに見られるWebブラウザだけで実現するフリーメールの世界。また携帯電話などに見られるきわめてポータブルな独自のメール。これらはインターネットメールというメールを軸にはしているもののまさにメールの多様化を代表するような流れです。必要な時の必要な機能をもつメール。そしてこれらはメールユーザーの広がりとともに実に勢いを増しているようです。

さてイントラネットの世界に目を戻しましょう。グループウェアでアプリケーションなどと密接に結びついて多機能を実現してきたメール。また機能は制限されてもWebブラウザでの手軽さとクライアントを選ばない自由さのメール。これらも実は世の中で起き始めている必要な時の必要な機能をもつメールという考えに近いのかもしれません。

一時はインターネットメールの興隆とともに収束に向かったと思われたイントラネットでのメールシステム。しかし足元を見ればノーツメールのアプリケーションとの融合性やモバイル機能の充実ぶりは厳然と存在し、一方では働く場所の環境の制約などからWebブラウザでのメールの手軽さは捨てがたいものがあります。

古くて新しい話題であるメールシステム。R5ドミノサーバーの『大規模で強固なメールシステム』とは実はいろいろと考えることがありそうです。これからもメールシステムについての悩みはしばらくつきないような気がしている今日この頃です。
T. Seki, ts@jp.ibm.com
 
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