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IBM Workplace Client Technologyのアーキテクチャー

 
   
 
コンテンツ
IBM Workplace Client Technology のアーキテクチャーの概要
IBM Workplace Client Technology のRich Edition とMicro Edition
まとめ
リソース
筆者について(原文のまま)
Debbie Bargas
Advisory Software Engineer, IBM
レベル:中級
原文の掲載:2005年2月15日
原文はこちら


この記事では、IBM Workplace Client Technology のアーキテクチャーと、その業界標準のテクノロジーを用いて IBM Workplace クライアント・アプリケーションを構築および管理する方法をより深く理解するために、IBM Workplace Client Technology の基本的な構造を見ていきます。

IBM Workplace Client Technology は IBM Workplace の重要なコンポーネントです。Workplace Client Technology を使用すると、エンドユーザー用のリッチクライアント・アプリケーションを開発、導入、および集中管理することができます。これにより、サーバーベースのプラットフォームに装備されている管理機能とセキュリティ機能をユーザーのデスクトップや外部デバイスにまで拡張することが可能です。これらのリッチクライアント・アプリケーションによって、クライアントサイド・アプリケーションの柔軟性とポータビリティが、サーバーサイドの制御およびコスト削減と組み合わされた形で得られます。Workplace Client Technology は、モバイル・デバイス用の Micro Edition とデスクトップ用の Rich Edition の 2 つのエディションで提供されます。

IBM Workplace Client Technology には、Java および Eclipse 3.0 オープン・スタンダードを含む、数多くの業界標準のコンポーネントとテクノロジーが組み込まれています。また、IBM Workplace Client Technology は、プロビジョニングやシンクロナイゼーションなどの集中的なポリシーベースの管理機能を持っています。アプリケーションは、エンドユーザーのマシンでローカルに実行できます。埋め込まれた EJB (Enterprise JavaBean) コンテナーおよび暗号化されたリレーショナル・データベースを活用することで、ユーザーはオフラインでも、オンラインでも作業できます。また、Workplace Client Technology はシンクロナイズされたポリシーベースのデータ・ストアを提供します。このデータ・ストアを利用すると、サーバー上のデータとの同期が可能になるまで、データをローカルに保存できます (これは、WebSphere Everyplace Connection Manager における DB2 の同期サービスと似ています)。

これらのコンポーネントがどのような方法で相互に連携し、インタラクトするのかを知ることにより、Workplace Client Technology を使用して IBM Workplace 環境でアプリケーションを構築する方法をより深く理解できるでしょう。その最初のステップとして、この記事では Workplace Client Technology の構成の概要について解説します。まず、Workplace Client Technology 全体のアーキテクチャーについてハイレベルの説明を行います。次に、Workplace Client Technology の 2 つのエディションである Rich Edition と Micro Edition の違いを説明します。この記事は、IBM Workplace 製品群の基本的な知識があるものとして書かれています。この詳細を知りたい場合は、developerWorks: Lotus の記事『What is Lotus Workplace?』と『New features in release 2.0 of IBM Lotus Workplace』をお読みになることをお勧めします。


IBM Workplace Client Technology のアーキテクチャーの概要

Workplace Client Technology は、次の機能によるコラボレーションと考えられます。

  • セキュアなデータ・ストア (Java リレーショナルデータベース)。このデータ・ストアは、ゼロ・アドミニストレーションのピュア Java リレーショナル・データベースです。

  • Eclipse リッチクライアント・フレームワーク。

  • ローカル・アプリケーションを実行するためのパーソナル EJB コンテナー。ライトウェイト EJB コンテナー、Extension Services for WebSphere Everyplace (ESWE) は、WebSphere チームによって、PDA など、リソースに制限のあるデバイス用に新たに開発され、1 MB 未満のディスク・スペースしか使用しません。

  • WebSphere Portal からレイアウトおよびアプリケーション・コンポーネントをダウンロードする機能。

  • シンクロナイゼーション・フレームワーク。ローカル・データ・ストアとリモート・アプリケーション間のデータの同期は、SynchML の実装によって実現されます。シンクロナイゼーションによって、新機能をデスクトップにプッシュできます。

  • 自動プロビジョニング機能。プロビジョニング機能によって、ユーザー用に定義されたポリシーに基づいてアカウントを作成できます。

これらの機能を提供するために、Workplace Client Technology は JRE (Java Runtime Environment) と拡張サービス・レイヤーの 2 つの一般レイヤーで構成されています。JRE は直接オペレーティング・システムとインタラクトして基本的なコア・サービスを提供し、拡張サービス・レイヤーはユーザーサイドの機能とサービスを提供します。拡張サービス・レイヤーは、Eclipse プラットフォームへの拡張として構築されています。Eclipse は、統合開発環境 (IDE) を構成するオープンスタンダードなツールのセットです。Eclipse プラットフォームは、新規ツールの開発を促進する構築用のブロックとフレームワークをプラグインを介して提供します。このプラグインのセットは、構造化されたコードとデータのバンドルで構成され、各プラグインごとに plugin.xml を読み込むことにより、フレームワークの拡張を可能にします。また、拡張サービス・レイヤーには、Workplace Client Technology 専用に作成された非 Eclipse プラグインも含まれています。

Workplace Client Technology の主なコンポーネントが、相互にどのように連携するのかを図 1 に示します。


図 1. Workplace Client Technology のアーキテクチャー

JRE (Java Runtime Environment)

図 1 で示したように、JRE はオペレーティング・システムの上に位置します。JRE とその関連コンポーネント (J2EE クライアント・コンテナーおよび Cloudscape データベースを含む) は Workplace Client Technology の基礎を形成し、この上に Eclipse プラグインと他のプラグインが位置します。JRE は、Java 仮想マシン、Java プラットフォームのコア・クラス、およびサポート用のファイルで構成されています。JRE は、Java で書かれたアプリケーションを実行するための、実行可能コードとファイルの最小限の集まりです。

J2EE クライアント・コンテナーは、EJB アクセスのために、アプリケーション・クライアント・コンポーネントの実行を管理します。もう 1 つのコンポーネントは Cloudscape データベースです。これは、本質的に、ローカルのデータ・ストア用に使用される小さなリレーショナル・データベースです。これは、業界標準の Java RDBMS で、Java ベースのどのようなソリューションにも緊密に統合できます。


拡張サービス・レイヤー

上図に示したように、拡張サービス・レイヤーのプラグインには、Eclipse プラグインと、Workplace Client Technology 専用に開発され、コア Eclipse の一部ではないプラグインが含まれています。Eclipse プラグインには、Update Manager、Help System、Preferences、および Workbench の各コンポーネントがあります。Update Manager は、導入されたアプリケーションを集中的に管理します。Help Integration は、適切なコンテキストでオンライン・ヘルプが自動的に起動されるようにするために、コンテキストを定義する方法をクライアントに提供します。Alerts はアクションが発生したことをユーザーに通知し、Preferences はエンド・ユーザー用のデスクトップをカスタマイズします。

Workbench プラグインは、workbench ユーザー・インターフェースを実装します。これにはいくつかの拡張ポイントが定義されていて、メニューとツールバーのアクション、ドラッグ・アンド・ドロップ、ダイアログ・ボックス、ウィザード、カスタム・ビュー、エディターなどを提供する外部プラグインを組み込むことができます。Workbench には Standard Widget Toolkit (SWT) が含まれています。これは、オペレーティング・システムに依存しない低レベルのツールキットで、プラットフォームの統合とポータブルな API をサポートします。SWT は、オペレーティング・システムのネイティブな操作環境に緊密に統合された、プラットフォームに依存しない Java API を提供します。他の Workbench コンポーネントとして、Jface UI framework があります。これは、ダイアログ・ボックス、ウィザード、アクション、ユーザー・インターフェース、およびウィジェット管理をサポートする基盤を提供します。Jface は SWT と共に相互運用されます。Jface ライブラリによって、SWT ユーザー・インターフェースの開発を簡素化するコンポーネントとユーティリティが得られます。

拡張サービス・レイヤーの非 Eclipse プラグインには、Credential Store、Logging、WebSphere Member Manager、および他のコンポーネントがあります。Credential Store は、ユーザー・クリデンシャルの保存、保護、および取得に使用されます。ユーザー・クリデンシャルはクリデンシャル・ボールトに置かれ、バックエンド・システムに対する認証のためにポートレットが要求するまで、安全かつセキュアに保管されます。

Logging によって、アプリケーションは、発生した問題の診断を支援するデータを収集できます。IBM Workplace Collaboration Services は WebSphere Member Manager を使用して、メンバー・ディレクトリー・スキーマを管理します。Member Manager は、ユーザー、グループ、組織、組織単位がメンバーとなるメンバー・データまたはプロファイルを処理します。Member Manager によって、IBM Workplace が必要とし、LDAP には保存されないすべての追加属性を扱うための特殊なリポジトリ・ストアが提供されます。これは、既存の LDAP スキーマを拡張できます。Service Locator は、メールやカレンダーなどのビジネス処理を行う EJB を検索します。


Workplace Client Technology と WebSphere Portal の統合
IBM Workplace は WebSphere Portal と統合されています。WebSphere Portal は、IBM Workplace 用のユーザー・インターフェース統合と、ページおよびポートレットへのアクセス制御を提供します。テンプレートは、Workplace アプリケーション、そのページ、および各ページに組み込まれるアプリケーション・コンポーネントを定義します。これらは XML ファイルで、ビジネス・コンポーネント、レイアウト、相互通信、プロパティ設定、および他のテンプレートとのインタラクションの組み合わせを制御します。ビジネス・コンポーネントは、関連する機能 (たとえば、メールなど) のグループで構成されます。Portal ページはクライアント・ページになり、ポートレットはクライアント上にどのビューとエディターのパーツを表示するかを指定します。

たとえば、コンポーネントのプロビジョニングでは、Application Manager がクライアント設定をサーバーに要求します。次に、新規および更新されたコンポーネントを取得するために Update Manager が実行されます。そして、サービスを使用してサーバーのバックエンドにあるデータにアクセスして更新し、パースペクティブが動的に構築され、ユーザーにレンダリングされます。

いくつかの Workplace Client Technology コンポーネントが WebSphere Portal コンポーネントとインタラクトする方法を図 2 に示します。


図 2. Workplace Client Technology と WebSphere Portal の統合

この統合によって、IBM Workplace Client Technology に「非接触」の導入モデルの機能が与えられ、これがポリシーベースの管理と相まって、エンド・ユーザーのデスクトップ環境を管理するコストの削減に役立ちます。企業向けのソリューションとして、IBM Workplace Client Technology は組み込みのセキュリティ機能を提供します。これには、サーバー環境とシンクロナイズする暗号化されたデータ・ストアや (接続および非接続の両方の状況での操作をサポートするため)、信頼されたソースによってすべてのアプリケーションをプロビジョニングおよびデジタル署名する機能が含まれます。


IBM Workplace Client Technology の Rich Edition と Micro Edition

前のセクションで説明したアーキテクチャーは、Workplace Client Technology の Rich Edition と Micro Edition のどちらにもあてはまります。たとえば、Rich Edition と Micro Edition のどちらにも、サーバーベースのアプリケーション管理とプロビジョニングの機能があります。また、どちらにも、暗号化されたセキュアなデータ・ストア、シンクロナイゼーション、トランザクション管理、およびオフラインでの操作といった機能があります。さらに、どちらのエディションも、デバイス・タイプやオペレーティング・システムに依存しないポータビリティを提供し、アプリケーションは、デバイスに適した専用のルック・アンド・フィールを備えたユーザー・インターフェースを持っています。

しかし、Rich Edition と Micro Edition の間には、いくつかの重要な違いもあります。このセクションでは、これらの違いについて見ていきましょう。

IBM Workplace Client Technology, Rich Edition
Workplace Client Technology, Rich Edition は、複数のアプリケーションを統合するために最適化されています。このエディションには、コンポーネント間の通信やコラボレイティブなソリューションを作成する拡張フレームワークがあります。また、システム・トレイ、ドラッグ・アンド・ドロップ、起動用のメニューやアイコン、ネイティブ・アプリケーションのサポート (OLE) など、強化されたデスクトップ・ユーザー・インターフェース統合が装備されています。もちろん、プリファレンスをともなう複数のユーザー・デスクトップ設定も可能です。

Workplace Client Technology, Rich Edition は、IBM Workplace の3 つの製品である IBM Workplace Messaging、IBM Workplace Documents、および IBM Workplace Client Technology, Client Administrator で利用できます。

IBM Workplace Messaging
Workplace Messaging は、統合メール、個人カレンダー、および個人アドレス帳をユーザーに提供します。Workplace Messaging 内では、Workplace Client Technology は Eclipse ビューを使用して、ナビゲーションや管理用の機能を提供し、受信ボックスやユーザー定義フォルダなどのメール・フォルダを表示します。メールを作成、編集、表示するエディターは、Eclipse コントロールとプラグイン可能なリッチテキスト・エディターの両方によって作成されています。

IBM Workplace Documents
Workplace Documents は IBM Portal Document Management をベースとしています。これには、文書エディター、文書のライフサイクル管理、管理された文書ストア、管理、およびセキュリティが含まれています。また、Workplace Client Technology 内でワープロ、スプレッドシート、プレゼンテーション用に使用できる埋め込みエディターもあります。Workplace Documents は、セキュリティ機能と共にローカル・データ・ストアを使用して、ユーザーのデスクトップにローカルの文書ストアを提供します。この文書ストアは、システム管理者によって作成されたポリシーに基づいて管理でき、サーバーベースのマスター・ストアと完全にシンクロナイズさせた状態を保つことが可能です。

管理機能は、リモート・プロビジョニング機能とクライアント要素 (ローカル・データベース、シンクロナイゼーション・ロジック、UI フレームワーク、UI プラグインなど) を組み合わせることによって提供されます。Workplace Client Technology は、システム管理者によってインストールされた最新のバージョンを用いて、これらのコンポーネントを自動的に最新の状態に保ちます。セキュリティ機能には、IBM Workplace Client Technology で実行されている任意の他のアプリケーション間でのシングル・サインオンと、ユーザー・クリデンシャルおよびローカル・データ・ストアの暗号化が含まれています。システム管理者およびユーザーは、文書へのアクセス権を容易に付与したり削除することができます。

IBM Workplace Client Technology, Client Administrator
Client Administrator(現在リンク切れ)は管理コンソールを提供します。管理コンソールを使用すると、ネイティブでリッチな Web ベースのアプリケーションおよびサービスへのアクセスを制御することで、ロール・ベースのデスクトップを作成および配布することができます。また、Client Administrator はユーザー管理を集中化し、リモートでのアカウントの作成と維持を可能にします。Client Administrator は、IBM Middleware Solution for Branch Banking Transformation で利用できます。

IBM Workplace Client Technology, Micro Edition
Workplace Client Technology, Micro Edition は、パーベイシブ・デバイス (ハンドヘルド・デバイスまたはモバイル・デバイスとも呼ばれます) から、会社のデータ、アプリケーション、およびトランザクションへのアクセスを可能にします。Micro Edition は、WebSphere Everyplace Micro Environment、WebSphere Studio Device Developer、WebSphere Everyplace Custom Environment、および IBM Service Management Framework によって構成されています (図 3 参照)。


図 3. IBM Workplace Client Technology, Micro Edition のアーキテクチャー

WebSphere Everyplace Micro Environment は、携帯電話、PDA、および他のモバイル・デバイスから e-ビジネスへ接続するための基盤を提供します。これには、すぐに運用可能な Java によるランタイム環境が含まれます。このランタイム環境は、Java 2 Micro Edition (J2ME) の仕様に適合していることがテストされ、認証されています。WebSphere Everyplace Micro Environment は、Palm One Tungsten C および Hewlett-Packard iPaQ Pocket PC h5500 用に、Connected, Limited Device Configuration (CLDC 1.0 および 1.1) と Mobile Information Device Profile (MIDP 2.0) をサポートします。

WebSphere Studio Device Developer は、ワイヤレス・デバイス上で実行される Java 2 Micro Edition アプリケーションの構築、テスト、および導入に用いられる IDE を提供します。WebSphere Everyplace Custom Environment は、埋め込みアプリケーションからリアルタイムのコントロール・システムまでを対象とするランタイム環境です。IBM Service Management Framework には、ネットワーク配布とオペレーティング・システムに依存しないアプリケーションおよびサービスの管理を提供するOSGI Service Platform仕様のインプリメンテーションが含まれています。このソフトウェアは、IBM の企業ソフトウェアの各バージョン (DB2e、MQe、Service Management Framework、および Java ランタイム環境など) を構成するミドルウェアとともに、企業アプリケーションを幅広いデバイスに拡張します。DB2e と共に使用すると、DB2 の優れたデータ管理機能を活用できます。

保証済みのメッセージング・ソフトウェア (MQe、JMS) とのテストにより、保証されたメッセージングと財務トランザクションへのアクセスが可能になります。アプリケーション、ミドルウェア、およびランタイムは、IBM Service Management Framework (SMF) と共に使用することでサーバー管理にすることができます。Web サービス (SOAP) のサポートにより、無線および有線の幅広いネットワークを通してアプリケーションへのアクセスが可能になります。


まとめ

この記事では、IBM Workplace Client Technology のアーキテクチャーの基本を解説しました。この中で、Workplace Client Technology の主なコンポーネントを調べ、これらがどのような方法で相互に連携して機能するのかを見てきました。また、Workplace Client Technology の Rich Edition と Micro Edition 間のいくつかの重要な違いも明らかにしました。

Workplace Client Technology の基本的な構造を解説したこの記事によって、Workplace Client Technology の機能をより深く理解し、業界標準の柔軟なテクノロジーをフルに活用して、IBM Workplace の可能性を広げるクライアント・アプリケーションの作成および管理に役立つことを望んでいます。

リソース

筆者について(原文のまま)

Debbie Bargas is an Advisory Software Engineer with IBM and has been with Developer Relations since the mid-1990's. She provides technical support and enablement to solution vendors for IBM Workplace products.
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