「広報誌Tivoli 2003 NO.3」より転載しています。
宮古広域圏事務組合
着々と進むネットワーク基盤構築 「宮古圏域田園地域マルチメディアモデル整備事業」
企業概要
宮古広域圏事務組合
- 代表者 代表理事 伊志嶺 亮(平良市長)
- 所在地 沖縄県平良市字仲宗根676-9
- 設立 平成元年11月
- 事業概要 広域スポーツ事業、広域文化事業、
人材育成、観光文化事業など

東京から南西へ空路約3時間、約1800Kmに「健康、活力、歓喜(よろこび)の島」として注目を集めている宮古諸島がある。同諸島は、宮古島を中心に伊良部島、多良間島、地間島、来間島などが点在する。総人口5万5827人(平成11年1月1日現在)。宮古島は隆起サンゴ礁の島として有名で、島全体は平坦。最も海抜が高い所で114m。土壌は弱アルカリ性あるいは中性で、ハブのいない島としても知られる。総面積160平方Kmのうちの52%がサトウキビ、葉タバコ、マンゴーなどの果実類の耕地となっている。
宮古島を全国区にしたのは、サンゴ礁のエメラルドグリーンの海と相まって、今年で19回を迎えた全日本トライアスロン宮古島大会だ。トライアスロンは鉄人競技といわれるもので、自転車で155Km、水泳3Km、マラソンが42.195Kmをすべてクリアする過酷なゲームで、国内はもちろん海外からの参加も多い。多くの応募者の中から1500名が選抜されて行われている。
さて、観光、スポーツと全国的に有名な宮古島地方だが、「自然と人間が調和した個性あふれるコミュニティづくり」を目指し、地域活性化への動きが活発に行われている。基幹プロジェクトとして、1. 恵まれた自然を大事にする、2. スポーツを活発にし交流を促進する、3. スポーツの場所と利便性の確保、4. スポーツによる経済活性化の推進といった4つのスローガンのもと、まちづくり、ふるさとづくり、リーディングプロジェクトづくり、沖縄コミュニティアイランド事業、生活空間倍増戦略プラン、移動通信鉄塔の設置など、多彩なプロジェクトが進行している。
この広域地域づくりを強力に進めているのが、宮古広域圏事務組合である。
同組合は、平良市、域辺町、下地町、伊良部町、上野村、多良間村の宮古諸島6市町村が協力して、平成元年に現在の組織になっている。
こうした広域の地域振興事業に加えて、平成16年度のスタートを目指して「宮古圏域田園地域マルチメディアモデル整備事業」の準備が着々と進められている。「農村地域と都市部の情報格差がなくなります」をキャッチフレーズに進められている同事業について、宮古広域圏事務組合広域振興課課長補佐
笠原渥氏、同地域情報推進係係長 善平勝氏にインタビューした。

宮古広域圏事務組合
広域振興課課長補佐
笠原渥 氏
暮らしが変わる情報・サービスを視野に
「田園地域マルチメディア整備事業の契機になったのは、平成10年に平良市企画課に、マルチメディア研究会が発足したことです」と語るのは善平係長。「これがきっかけとなり宮古諸島6市町村を対象にしたプロジェクトとして11年にスタートしたのです」と語っている。
「目的としてはやはり離島で、非常に不便を感じている。情報が遅いといったことが、クローズアップされ、これをどうするかといったことがこのプロジェクトで議論されたわけです。そこで、宮古諸島を形成する島が集まって、もっと速く、もっと便利に、情報を収集、活用するサービスが展開できないかということになったのです」と笠原課長補佐はプロジェクト発足当時のことをふりかえる。
市町村という行政の枠を越えた情報サービスの基盤をつくり産業振興はもちろん、個人生活の質的向上を図ろうということである。
「やはり、伝統的に宮古島では、地域を越えて何かを成し遂げようという気質があることが、今回のプロジェクトをいい方向へ推移させているといっていいでしょう」(笠原氏)。
仏作って魂入れずといったことが多いが、宮古圏では、住民そのものが、その重要性を感じとって、有効に活用しようという機運に満ちているといえよう。
これまで、全国各地の情報などを集めるための仕組がなかったので、マルチメディア整備事業の進展により、極めてスピーディーに、確実に、情報を収集、活用できる環境が実現できるというものである。
「例えば、農作物の市況情報や作柄情報が的確に捉えられないために、ビジネスとしてはうまくいかなかったことなども、この基盤形式により解決できると確信しています」(同)という。
情報収集はもちろん、テレビ会議の活用もスムーズに
- 期待が大きい注目プロジェクト
図に示したのは、この整備事業の対象区域だが、基盤整備への期待は、日に日に高まっている。
宮古広域圏事務組合が、マルチメディア整備事業の目的として標榜しているのが、つぎの5つのポイントだ。
1.産業活性化により豊かな島、2. 便利で楽しく暮せる島、3.安全、安心で暮せる島、4. 高齢者、障害者にやさしい島、5. 情報の担い手を育てる島である。

「このプロジェクトが完成すれば、農業情報なども、自宅にいて検索、活用できるようになり、農業の活性化の期待は大きいといえます。農作物の市況情報や気象情報はもちろん、作物への散水時期、栽培技術、病害虫などの情報を必要な時にタイムリーに収集でき、価格変動に対応した計画出荷や栽培技術の向上など効率的でしかも収益性のいい農業を展開できるようになると期待しています」(同)。
もちろん、営農関連の研修会なども、近くの集落センターに出向いてテレビ会議で可能だ。これまで半日、1日かけて農業指導機関にいかなければならなかったことが、テレビ会議システムで解決でき、効率は極めていいものになる。

宮古広域圏事務組合
同地域情報推進係係長
善平勝 氏
「災害情報にしても、ダイレクトに各家庭に流れるので、地域防災の面からもメリットは大きいですね。完成されれば、家でみている番組に関係なく、もちろん電源は入っているか、いないかに関わらず災害情報が流れる仕組みになります」(善平氏)。
また、コンピューターネットワークとCATVを組み合わせて、電話の圏域内通話は、低料金でいいというのも大きなメリット(IP電話の活用)。さらに、宮古島から離れた多良間島や伊良部島など、これまで情報が届きにくい地域でも、各島の集落センターや公共施設に設置されたパソコンで情報のやりとりができるので、離島での情報格差は解消される。「各農家での農業機械の共同利用が行われていますが、これらの予約なども、スムーズにしかも的確に行われるわけです」(同)という。
「台風などの被害も最小限に止められると期待しています。マンゴーや葉タバコなど、昨年大きな台風で被害があったのですが、気象情報により対応も的確になるはずですから」(笠原氏)。
これまで気象情報が局地的に流れていなかっただけに、情報の確実性とスピードアップで、災害への対応も確実になることは間違いない。
「さらに、もう1つ大きなメリットは、テレビのチャンネル数が増えることです。現状では受信できるテレビ放送は4チャンネルですが、マルチメディア整備事業が完成すれば多チャンネル化が実現でき、正に便利で楽しく暮せる環境が生れるというものです」(同)。
このほか、一人暮らしの高齢者にもメリットは大きい。テレビ受信機を介して多彩なコンテンツが流される可能性が大きく、生涯学習や趣味、娯楽面でも、これまでとは違った利便性のいいものになるはずである。
さて、当初の計画では、小中学校での情報化推進のインフラとしても期待されている。同事業の5つ目のポイントにあげられている「情報の担い手を育てる」という点でも、マルチメディアの事業は期待されている。
宮古圏域の小中学校、高校などでの相互の交流も、テレビ会議やインターネット通信などの活用で、地域を超えて実現できるというものだ。
「将来的には、個人の家庭まで情報端末が導入される方向を考えていますが、みんなが使いこなせるかという危惧もありますが、必要であれば十分に使いこなせることができると確信しております。パソコン、電話、テレビ放送などを駆使して、使い易い仕組みを考えていく計画です」とメリットについて笠原氏は強調している。
将来、1家に1台の情報端末を視野に入れた宮古圏域田園地域マルチメディア整備事業「活き活き宮古愛ランド」の強力な基盤として期待されている。
そこで、つぎに同プロジェクトのシステムについて紹介する。

インターネットHPも開設を計画
図1に示したように、宮古島と伊良部島間を海底光ケーブル(約7.2Km)で結び、多良間島、伊良部島間約67Kmは、無線伝送で行う。各島内は、光ファイバーケーブルでつないでいる。
システムイメージは、図2に示す。
センター設備としては、CATVセンター局、受信点設備、センターと離島間を結ぶ無線中枢設備、ヘッドエンド設備、送出・放送設備、多機能情報システム設備(音声告知、CATV電話、情報検索ができる機能端末)、ケーブルモデムセンター、伝送基盤設備、映像制作設備(スタジオと収録・編集設備)となっている。正にテレビ放送と情報システムが一体となったものになっている。
伝送路については、双方向通信機能を装備し、多方向通信機能を装備したものとし、各市町村の主な集落までの幹線ルートと光ケーブル、農家、一般家庭各戸の保安器までを同軸ケーブルによる光同軸ハイブリット(HFC)方式のCATVにより構築されている。
図に示したように、公共施設、JAなど農業指導機関、各集落センターなどについては、一般世帯や農家との連絡や情報発信、受信による農業の振興、農村生活の改善、多地区との交流などの効果を期待しているので伝送路からの引き込みを行っている。
システム端末は双方向機能を持つ多機能端末を設置、各家庭で使われているテレビ受像機との接続で、農業情報などの検索、音声告知、CATV電話として利用することになっている。また、農業指導機関、公共施設にパソコンを設置し、イントラネットを構築し、情報の受発信を行うほか、認定農業者にはパソコンを配置し、モニタリング調査を行うことになっている。
情報の種類は、表2に示すように、農業情報のほか、行政サービスとして、行政(国、県の出先機関、各市町村)関連情報、イベント、行事の中継、放送、緊急災害情報など。さらに、保健、福祉サービス、教育文化情報、生活情報など多彩である。

システムの運用管理はTivoliベースで万全に
システム開発を担当したのは、Tivoliパートナーの東芝e-ソリューション社だが、「システム構築当初から、コンテンツの内容からも、システム運用管理の重要性を考えたところが、極めてユニークだ」と担当者は強調している。最高で70kmも離れている地域的なネットワークだけに、安定稼働が必至であることは間違いない。そして、このようなシステムであれば、一社で作ることができないので、当然マルチベンダー・マルチプラットフォームとなり、またクラスター化されるコンピューターがある。老若男女、誰もが使うシステムだから、アクセス管理も重要となる。このような場面では、システムの利用者に「安心・安全にサービスを利用していただくためにも」、Tivoliを利用する必要があったということを語っている。
Tivoli製品としては基本的なネットワーク監視としてNetViewを利用している。画面をカスタマイズしてグループ化しているので、ネットワークのどのドメインに異常があるということがわかり、障害の発生機器がわかる。また、影響も推測できる。各サーバーの監視も含めてTivoli Enterprise Console(TEC)を使ってインフラの運用事象を一元管理している。セキュリティー管理としてはFirewallのログ監視も実施し、TECに情報を集める。セキュリティーに関しても安全・安心を提供していくものである。システムに異常があればパトランプやメールで通知される。もちろんメールサーバーはクラスタ化されているし、パトランプについても、パトランプとTivoliサーバー(運用管理サーバー)が接続不可になれば、異常の通知ができるようになっている。このあたりには、細かい設計が施されている。
またシステム利用者が利用するデータを中心に、重要なデータについては、Tivoli Storage Managerでバックアップを採取するようになっている。当然、バックアップ状況もTECに通知されるようになっている。Tivoliであれば、統合的にイベント情報を管理し、製品連携もシームレスである。
「田園マルチメディアの様々なシステムサービスを利用されようとしている方は、期待しているでしょうし、また多くの方が利用したいと望んでいるはずです。ですから、安心して使っていただきたいのです。」と担当者は語る。このような形でTivoliが利用されることは、複雑化するシステムにおいては、標準的だと言っている。
来年4月を本稼働に着々と準備が進んでいる。ハードウェアのインフラは情報センター中心に、ほぼ完成した。今後の展開が大いに注目されるとことである。

