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WebSphereでビジネス統合を実現する

第4回 企業間の統合(ビジネス・ロジック要素)

 
レベル: 初級・中級者向け
2005年11月30日(水)
Software TS&S WebSphere TS&S
IT Specialist 豊村明彦
SOA Reference Architecture
最近では、WebSphere Integration Reference ArchitectureにRational製品とTivoli製品によるサービスも付け加えて、SOA Reference Architectureが論じられるようになりました。Development ServicesがRationalブランドと統合されるとともに、リソース管理のためのTivoli製品群もSOAを実現するインフラとして必要であることが明確に示されたものです。これまでReference Architectureの中でConnectivity Services、Business Application Services、Application and Information Assetsの各サービス基盤を提供する製品を見てきましたが、今回は、Partner Servicesについてご紹介しましょう。
図1 SOA Reference Architecture
図1 SOA Reference Architecture 拡大図

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Partner Services
パートナー・サービスとは、外部企業との連携のことです。関連会社や取引企業とのIT連携をサービス基盤としてくくったのがパートナー・サービスです。企業は単独ではビジネスができません。生産拠点を海外に求めたり、他企業と提携したり、物流を専門企業に依頼したり、といった企業活動が必須です。それらの企業との関係は従来どのようなものだったでしょうか。
最もイメージしやすいのはEDI(Electric Data Interchange)です。日本は世界でも稀に見るEDI先進国です。日本ではEDIは海外に比べて積極的に採用されてきました。1980年代からJCAや全銀といった手順と電文フォーマットが実用化され、流通業、製造業の各社が専用線やVANを経由して電子商取引を行なうようになりました。現在に至るまでこの20年前の方式は綿々と受け継がれてきています。これだけ長期間、実業務に使われてきたIT資産というのも珍しい、つまり非常に有効なソリューションであると言えます。
しかし、どんなITインフラにしても課題というのは存在するもので、日本のEDIに関して言えば、数多くの業界標準フォーマットが派生したために、これらに対応するためのフォーマット変換サーバー、つまりEDIトランスレーターが必要とされるようになりました。多くの取引先を持つ小売・卸売業者やメーカーは大変です。
既存のEDIが抱える課題を解決するために、グローバル・スタンダードに準拠した新しい動きが盛んになってきています。インターネットを利用した通信も新しい動きです。電子部品業界である程度普及しているRosettanetもそのひとつですし、また、米国を中心としてインターネットEDIプロトコルとして使われ始めているAS2も代表的なビジネス・プロトコルです。今後、さらに企業間で交換するデータをXML化することも研究されています。

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WebSphere Partner Gateway V6
WebSphere Partner Gateway(以降WPG) V6は、今後EDIインフラとして主流になると考えられるインターネットEDI(EDIINT)、例えばRosettaNetやAS2を実装するゲートウェイ製品です。WPGは他のWPGサーバーあるいはサプライ・チェーンを形成する他社のサーバーとインターネット経由で接続し、セキュアな電子商取引データの送受信を実現します。バックエンド・システムとはJMS(MQ)やファイル・システムを利用し、インターネット経由で外部から受信したビジネス・データを社内のビジネス・プロセスや基幹システム、データベース・システムと連携させることができます。
図2 WebSphere Partner Gateway V6
図2 WebSphere Partner Gateway V6

WPG V6は単なるポイント・ツー・ポイントのゲートウェイとして機能するだけではなく(図3)、インターネットに接続されている各社間のメッセージをルーティングするためのハブとしても機能することができます(図4)。つまりASP的な利用の仕方もできるようにデザインされています。
図3 ポイント・ツー・ポイント接続(2つの企業間をインターネット経由で接続)
図3 ポイント・ツー・ポイント接続(2つの企業間をインターネット経由で接続)
図4
図4 ハブ接続
(WPGをハブとして構成し、複数の企業がこのハブを経由してコミュニケーションを行なう)

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AS2
AS2はHTTP(あるいはHTTPS)プロトコルで商取引メッセージをPOSTするものですが、そのペイロードはMIME形式になっています。HTTPヘッダー、AS2ヘッダー、そして暗号化されたコンテンツといった基本形がAS2パッケージと言われるものです。HTTPSによるSSL通信に乗せてメッセージのやり取りをすることももちろん必要ですが、AS2では本文を暗号化する、あるいは電子署名を付加することで、インターネット途上で不正に読まれたり、改竄されたりすることないように仕様が決められています。AS2通信では、取引先からのメッセージを受信するとMDNと呼ばれる返信を返すことが求められます。これは確実に受け取ったことを証明するもので、要求したMDNが返ってきて始めてこの取引は成立することになります。
図5 AS2とは
図5 AS2とは

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WebSphere Partner Gateway V6構成コンポーネント
WPG V6は3つのコンポーネントから構成されており、その構造は図6.のようになっています。 AS2プロトコルを例に取ると、暗号化され電子署名を付加された文書がHTTP/Sプロトコルで送られてきます(SSLではなく文書そのものが暗号化され、電子署名を付加されていることが重要です)。文書を受信するのはReceiverコンポーネントです。Receiverコンポーネントは受信した文書データを共有ファイルシステムに保管し、データが届いたことをWebSphere MQメッセージを通じてDocument Managerに報せます。2番目のコンポーネントがDocument Managerです。Document Managerは届いたデータのヘッダーを見て送信元や宛先情報を抽出すると同時に、文書の複合化と認証を行ないます。また、宛先のGateway(内部的に定義されたURLと属性)に文書を送り届けます。3番目のコンポーネントは、ブラウザー・ベースの管理端末機能であるConsoleです。管理者はこのブラウザー画面から構成の定義を行なうと共に、データの送受信のログをモニターすることができるようになっています。
図6 WebSphere Partner Gateway V6のAS2処理
図6 WebSphere Partner Gateway V6のAS2処理

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プロセス実行とカストマイズ機能
WPG V6のDocument Managerコンポーネントには、プロセスの実行機能が備わっています。複数のデータ処理がプロセス・フローとして定義されており、パートナーや送受信される文書に応じて処理を変えることができます。この処理はユーザーによってカストマイズすることもできるようになっており、既定の処理を置換したり、処理を追加したりできます。
処理を追加する場合は、ユーザー出口ルーチン(User Exit)を利用します。例えば、WPG V6は基本機能としてXSLTによるXMLの変換機能を持っています。その他EDIFACTやX12といった国際標準フォーマットをパースするための変換機能もマッピング・インターフェイスと共に提供されています。一方、各国固有のEDIフォーマットなどに対応するためには、ユーザー出口として任意の(市販の)フォーマット変換用のトランスレーター・モジュールを呼び出すことで、WPG V6は任意のデータに対応することができます。

Partner Servicesコンポーネントに求められるのは、(1)コミュニティー管理、(2)文書処理、(3)プロトコル対応、です。WebSphere Partner Gateway V6はこれらの機能を実装しており、インターネット時代に対応したサービスを提供するPartner Servicesコンポーネントであると言えます。

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