本文へジャンプ

WebSphere Developer Domain  >  連載講座  >

わかる!パーベイシブ・コンピューティング

第1回 「モバイル環境について考えよう」

 
レベル: 初級者向け
2005年03月23日(水)
いよいよ始まりました、パーベイシブ連載。
初回となる今回は具体的な製品の話にはまだ踏み入れず、我々を取り巻くモバイル環境について整理しようと思います。
インデックス
パーベイシブって?
モバイル・デバイスについて
モバイルでの考慮点、課題
最後に
各種情報源
パーベイシブって?
まずはここからですね。パーベイシブ・コンピューティング(PvCと略すこともあります)という単語、皆さんは聞いたことがありますか?IBMがパーベイシブ・コンピューティングと呼んでいるこの分野、ユビキタスという言葉でなじみのある方もいるかもしれません。

「ネットワークとコンピューターをフルに活用した、ネットワーク・コンピューティング環境で展開する新しいビジネスのスタイル」と定義される「e-ビジネス」という言葉が登場してからもう10年近く経とうとしています。この間、これらの技術は進化を続けながらも成熟し、今ではかなり普及したと言っていいでしょう。ブロードバンドが普及し、以前と比べると安価に高速なインターネット接続環境を手に入れることが可能となったことにも後押しされています。しかしながら、業務用のシステムを利用する末端のクライアントは、いまだにオフィスのパソコンであることが多いのではないでしょうか?

IBMのパーベイシブ・コンピューティングが提供するのは、情報・プロセスにアクセスするための手段をモバイル・デバイスまで広げ、言葉の通り"Anytime, Anywhere"を実現するためのソリューションです。以下は期待できる効果のほんの数例です。

  • 時間と場所による制限を軽減することによるビジネスの効率化、コスト削減。モバイルからでもちょっとした業務がこなせるようになると、たとえばオフィス外でお客様と会う時間を増やすことができます。また、このようなワークスタイルが広がると、オフィス・スペースそのものも削減できるかもしれません。


  • システムにアクセスできないと業務を進められない。けれどもパソコンが利用できない環境で作業している、という方も大勢います。理由はさまざまです。そのような環境でも利用可能なデバイスを活用することで、情報やプロセスにアクセスする手段を提供できます。


  • アクセス手段の幅を広げることによる、顧客層の拡大。今まではインターネット・サイトにパソコンからアクセスできる人しかターゲットにできなかったビジネス、これを携帯電話や固定電話を利用できる人にも広げることができます。

適用可能な分野は多岐に渡りますが、本連載では企業内のアプリケーションのモバイル展開に焦点を当てていく予定です。
 
上に戻る
モバイル・デバイスについて
使用するデバイスを知らずにモバイル展開することはできません。そこで、モバイル・デバイスを簡単に分類してみましょう。

  • 固定電話

    言わずと知れた、最も普及しているデバイスです。そのように意識したことのない方も多いかもしれません。しかしながら、音声の指示に従いながらプッシュボタンで数字や#*を入力し、不在時に受け取れなかった郵便物の再配達の手続きをしたり、なんらかの資料を請求した経験はあるのではないでしょうか?これは電話機から公衆電話網を介してバックエンド・システムとなんらかのやり取りをしていたわけです。

    電話は音声の世界ですが、バックエンドが受け取るのはデータです。そのため、システムが識別しやすい形式で(つまりプッシュボタンで信号入力)ユーザーが情報を入力していました。しかしながら、音声からテキストへの変換である音声認識技術により、今では声でシステムに情報を伝えることができます。また、従来のシステムからの応答は録音済み音声が主であったの対し、テキストから音声への変換である音声合成技術の発達により、動的に変化する情報をもユーザーに音声で提供できるようになりました。


  • 携帯電話、PHS

    上記のすべての機能を持っており、今ではさらにインターネットへも接続できるデバイスです。ほとんどのモデルではパソコンと比べると制約は多いものの、ウェブブラウザー、メール、カレンダー、アドレス帳、ToDoなど、最低限のアプリケーションが組み込まれています。しかしながら、OSに関する情報はあまり公開されておらず、ネイティブで動くアプリを開発することはできません。代わりにキャリヤーごとに独自のアプリケーション実行環境を提供し、その制約の中で動作するソフトウェアを開発、インストール、実行することができます。NTT DoCoMo端末用のJavaプラットフォームであるDoJaとその上で動くiアプリがその例です。

    日本で過去に発売された携帯電話・PHSは数百種にもなるのではないでしょうか?ウェブコンテンツ1つとっても、これらすべてをサポートすることは容易ではありません。キャリヤーによって採用しているコンテンツ記述言語(マークアップ言語)が異なれば、デバイスによって1画面に表示できる文字数・行数・色数・画像フォーマットまで仕様がまちまちだからです。

    制約が多いとはいえ、一昔前のゲームが動かせてしまうだけの処理能力・表現能力を持っていることは皆さんもご存知の通りです。また、普及率を考えて上でも、クライアントとしては無視できません。


  • PDA

    上記のデバイスよりは、パソコンに近い携帯端末です。採用されている代表的なOSはMicrosoft社のPDA向けのWindows(PPC2002、Windows Mobile 2003、Windows Mobile 2003 Second Edition等)、PalmOS、embedded Linuxなどです。これらの上で動くアプリケーションは比較的自由に開発することができ、パソコンと同様、多くのソフトウェアがインターネットからも入手できます。同時期のものを比べると携帯電話よりも画面の解像度が高く、CPUやメモリーなども大きなものが搭載されており、ユーザー・インターフェースもリッチです。


  • スマートフォン

    海外に行って、使われているデバイスに注目したことはあるでしょうか。日本では販売されていない様々なデバイスを目にすることができます。その中でも、ちょっと驚くのがPDAを耳にあてて話をしている姿です。そう、それがスマートフォンです。携帯電話とPDAを足して2で割った、といったところでしょうか。両者の良い点をあわせ持っており、PDAでありながらもその通信機能を利用して情報をプッシュすることもできます。OSとしては、Windows系、Palm系の他、Symbianを採用しているデバイスが多いようです。

    残念ながら日本ではまだこの部類のデバイスがほとんど販売されていません。しかしながら、海外でビジネスユースの端末としての普及が進んでいることからも、国内での展開が待たれます。今後のビジネス・アプリケーションのプラットフォームとしても非常に期待の大きいジャンルです。


  • ノートパソコン

    この記事を読んでいただいている皆さんの中にも、日々ノートパソコンを持ち歩いている方も少なくないでしょう。本連載で対象とするデバイスのハイエンドとなります。CPUの速度、メモリーやストレージの大きさ、いずれも一昔前のサーバー並みのスペックを持っています。また、USBやPCMCIA、CFなどの規格に準拠した多くの周辺機器が出回っており、他のデバイスと比較すると機能拡張が容易です。


  • その他

    これら以外にも、カーナビやインターネット家電など、まだまだ機器はあります。ただし、本連載フォーカスからは外れてきますので、ここでは掘り下げないこととします。

以上、いろいろなデバイスについて広く浅く触れてみましたが、サービスをするためにはどのデバイスをサポートするのか決断しなければなりません。要件とデバイスは密接に絡んできます。要件を満たすには、その機能を提供できうるデバイスをユーザーが使うことが大前提です。ユーザー数が限定されたグループであれば、デバイスを統一して配布することも可能でしょう。しかしながら、不特定多数に対して展開となったときには、デバイスはもはやコントロール下にありません。機能的には多くを望めなくとも、広く普及しているものを選択とせざるを得ないでしょう。
 
上に戻る
モバイルでの考慮点、課題
前述のデバイスの特性を理解した上で、システムを構築することになります。その際の考慮点をここにまとめておきたいと思います。

  • ネットワーク

    オフィスの外でインターネットに接続、あるいは移動中での接続を経験された方であれば、いかにモバイルでの接続が不安定かご存知かと思います。オフィス内のLAN環境とは違い、切断されること、接続ができないことが多々あるのです。トンネルに入った、サービス圏外だった、飛行機でデバイスの電源すら入れることができなかった、高層ビルの高いフロアでぎりぎり接続できても切れてしまう、などなど理由はさまざまです。

    また、動く人はいろいろなネットワークを利用します。オフィスの自席ではイーサネット、会議室では無線LAN、外ではPHS等。これらはそれぞれ回線速度も違えば、安定性、かかるコストもまちまちです。インフラの最適化、効率的な利用方法が求められます。

    外部から社内システムを利用するわけですから、当然のことながらセキュリティーには十分に注意を払う必要があります。デバイスによって、利用できる接続経路が異なってきますので、それに応じた対策をとることも大事です。SSLだけでよいのか、VPNを構築するのか等検討します。

  • アプリケーションのタイプ

    上記のようなネットワークを踏まえた上で、ブラウザーベースのネットワークに依存したアプリケーションで構わないのか、あるいは必要なときだけ接続し、それ以外はデバイス上で完結できる形態をとするのかという選択肢があります。

    前者の場合、デバイスごとに異なるブラウザーの仕様をどのように吸収するのかという課題があります。最低限のスペックを持つデバイスに合わせたのでは、限られた機能しか利用できず、全体として期待された効果を得ることが難しくなるかもしれません。また、既存のパソコン向けコンテンツといかに共存し、再利用可能な部分は効率的に再利用して不必要な多重管理を最小限に抑えることも求められるでしょう。

    後者の場合、まず実装方法を検討する必要があります。クライアント・アプリはローカルで動くとしてもブラウザーベースとするのか、ネイティブのUIを使うのか。複数種類のデバイスのサポートを考えるならば、JVMにその差異を吸収してもらう手もあるでしょう。また、アプリケーションというのはビューとロジックだけでは動きません。データが必要となります。オフライン時も利用可能であるためには、オンライン時にそれを取得し、ローカルで更新したらそれを再びバックエンドに反映するための仕組みも必要です。


  • デバイス管理

    本連載でターゲットとするデバイスはオフィスの外でも利用することを想定しています。物理的にも分散された多数のデバイスに、それぞれのユーザーのそれぞれの設定でそれぞれのアプリケーションを利用される管理者にとっては悪夢です。こうした環境の中でも適切な構成の自動化、アプリのアップデート取得、導入も必要となってくるでしょう。つまり、サーバー側で管理されたデバイスであることが望ましいといえます。

もちろん、これ以外にも検討、解決すべき点はあるでしょう。IBMのソフトウェア製品で解決できる様々な課題は、今後の連載の中で紹介していきます。
 
上に戻る
最後に
連載第1回ということで、具体的なテクノロジーや製品には触れませんでした。しかしながら、モバイルで何かをやろうとしたときに、デバイスやネットワークの制約から、事前に検討しておくべきことがあるという点は認識いただけたのではないでしょうか?

次回以降は、これらの課題を解消するためにIBMが提供する製品・テクノロジーについて触れていきます。

以下、関連ソフトウェア・ソリューションに関する情報源を紹介して初回を終わりたいと思います。
 
各種情報源
IBMのパーベイシブ製品に関する情報は以下のサイトより取得いただけます。


これらの他、各種デバイスメーカーのサイト、標準化団体のサイトからも有用な情報が取得できます。以降の連載で必要に応じて紹介していきます。
 
上に戻る
レベルマークについて
このページで紹介されている情報はレベル別にカテゴライズされています。
上級者向け
中級者向け
初級者向け
入門者向け

関連リンク
WebSphere Everyplace

サポート情報
サポート
ダウンロード
ライブラリー