



Libra Huang, IT Architect, IBM India Software Lab Services and Solutions
Hicks Lin, Software Engineer, IBM
Jimmy Tan, Staff Software Engineer, IBM India Software Lab Services and Solutions
Daniel Wu, Staff Software Engineer, IBM India Software Lab Services and Solutions
Frank Wong, Staff Software Engineer, IBM India Software Lab Services and Solutions
2007年4月4日, 原文はこちら(US)
このシリーズの記事では、IBM® WebSphere® Business Services Fabric バージョン 6.0を使用してコンポジット・ビジネス・サービスを作成する、エンドツーエンドのプロセスについて説明します。第1回では、コンポジット・ビジネス・サービスの概念と、WebSphere Business Services Fabricがこれらのサービスの開発をどのようにサポートするかについて説明します。
IBM WebSphere Developer Technical Journal(US)より。
サービス指向アーキテクチャー(SOA)では、ビジネスは、ビジネス・サービスと呼ばれる疎結合された再利用可能なビルディング・ブロックの集合として視覚化できます。ビジネス・サービスは、独立したコンポーネントや従来の各種IT資産(レガシー・システム、パッケージ・アプリケーション、カスタム・アプリケーションなど)から派生させたり、あるいはサード・パーティーから提供されることもできます。こうしたビジネス・サービスにより、実行時にビジネス・コンテキストに応じて動作が適応可能な、別個のビジネス機能(クレジットのチェック、口座開設など)が提供されます。
コンポジット・ビジネス・サービス(CBS)とは、特定のビジネス・ソリューションを提供するために、クライアントの既存のアプリケーションとあわせて、連携して機能するビジネス・サービスの集合です。企業では、ビジネス要件を満たすために、コンポジット・ビジネス・サービス、ユーザー・インターフェース、およびデータ・サービスを革新的な方法で柔軟に連結し、新しいコンポジット・ビジネス・アプリケーション(別名:サービス指向ビジネス・アプリケーション、Gartner, Inc による造語)を作成することができます。
図1は階層で表現した、SOAベース・ソリューションの概念です。最下層には、企業およびサード・パーティーの既存のシステムがあり、その上の層でWebサービスとして提供されています。この層で提供されるのは、WSDLで定義されたサービス・インターフェースや、SOAP文書としてカプセル化されたメッセージなどです。さらにその上の層で、ITサービスは、特定のビジネス機能を自動化またはサポートするため、ビジネス・サービスに組み立てられます。もう一つ上の層、すなわち上から2つ目の層では、この一連のビジネス・サービスが結合され、ビジネス・ソリューション(CBS)となります。最上層は、CBSを利用するサブスクライバーです。このサブスクライバーは、企業内、企業外のどちらでもかまいません。


図1 SOA階層化アーキテクチャー
IBMは、企業が標準ベースのサービス・コンポーネントとコンポジット・ビジネス・サービスを公開し、お客様およびビジネス・パートナーがそれらを検出し、独自のビジネス・プロセスの中で使用できるという構想を持っています。企業は、互いの企業のサービスに基づき、プロセス中心および業界中心に新しく疎結合したビジネス・サービス・エコシステムを構築することができます。そのため、従来の大規模なエンタープライズ・ソフトウェア・プロジェクトに伴う複雑さ、コスト、およびリスクは、大幅に軽減されます。
WebSphere Business Services Fabricは、ビジネス・サービスのモデリング、アセンブル、デプロイ、管理および制御を行うプラットフォームであり、次のようなパッケージ構成になっています。
-
IBM Business Services Tool Pack(以下、Tool Packと記述)
Tool Packには、以下のものが含まれます。
-
WebSphere Integration Developer:これを使用すると、コンポジット・サービスをアセンブルおよび統合できます。
-
Business Services Composition Studio(以下、Composition Studioと記述):WebSphere Integration Developerのプラグインです。ビジネス・サービスのアセンブル、ビジネス・ポリシーの作成、およびビジネス・サービスの動的アセンブリーのシミュレーションを行います。
-
IBM Business Services Foundation Pack(以下、Foundation Packと記述)
Foundation Packは、(組み込まれている)WebSphere Process Serverの上に構築され、ビジネス・サービスの実行時間と管理時間の統合環境を提供します。Foundation Packは、以下の5つのモジュールから構成されます。
-
Business Services Repository:標準ベースのビジネス・サービス・モデル・リポジトリーで、ビジネス・サービス、ビジネス・ポリシー、サービス・サブスクライバーについての情報を収集します。このモジュールは、WebSphere Service Registry and RepositoryおよびLightweight Directory Access Protocol(LDAP)システムのデータのディスカバリーと統合をサポートします。
-
Business Services Performance Manager:ビジネス・サービス・ベースのソリューションの可視化とモニター機能を提供するWebベースのコンソールです。管理者は、このモジュールを使用して、ビジネス・サービスの動作とパフォーマンスをモニターした一連のレポートを見ることができます。
-
Business Services Subscriber Manager:組織の登録およびサブスクリプション・モデルを使用してビジネス・サービスの使用資格を管理するWebベースのコンソールです。
-
Business Services Dynamic Assembler:サービス・クライアントからのリクエストに含まれる稼働コンテキストに基づいて最適なサービス・プロバイダーを選択する、ハイ・スケーラブルなランタイム・エンジンです。
-
Business Services Governance Manager:ビジネス・サービス・メタデータのライフ・サイクル管理機能を提供するWebベースのコンソールです。このモジュールにより、以下の作業を行うことができます。
- Business Services Repository内のビジネス・サービスのモデルおよびポリシーに対するアクセス権および可視性を制御する。
- Business Services Repository内のビジネス・サービス・モデルの整合性と一貫性を実現する。
- Business Services Repositoryのビジネス・サービス・モデルの変更を制御する。
- Business Services Repositoryのインスタンス間でビジネス・サービス・モデルをマイグレーションする。
-
Industry Content Pack(オプション)
WebSphere Business Services Fabricでは、オプションのIndustry Content Packが提供されます。これには、業界固有の拡張機能や、事前に作成された業界共通のサービスが含まれており、業界固有のSOAソリューションを作成する際の手間が軽減します。現在、以下の4つのIndustry Content Packが使用可能です。
-
IBM Insurance Property and Casualty Content Pack
-
IBM Healthcare Payor Content Pack
-
IBM Telcom Operations Content Pack
-
IBM Banking Payments Content Pack
適応性のあるコンポジット・ビジネス・サービスをサポートするために、上記のコンポーネントがどのように連携して機能するのでしょうか。図2に、これらのコンポーネントと関連するIBM製品を使用してコンポジット・ビジネス・サービスを作成するための手順を示します。


図2 コンポジット・ビジネス・サービスの開発ライフ・サイクル
手順を順番に見ていきましょう。
-
WebSphere Business Modelerを使用して、要件を満たすロール、アクティビティー、全体の入出力量、決定フロー、ビジネス手法を列挙します。
-
要件とビジネス・プロセス・モデルを分析し、ソリューションの概念設計を作成します。これには、IBM Rational® Software Architectのサービス・インターフェース設計と、IBM Rational Data Architectの論理データ・モデルを使用します。
適用可能な業界モデルがある場合は、上記の作業を容易に行えるよう、それを利用してみてください。例えば、IBM Information FrameWorkでは、銀行業務のデータとプロセス定義を含む銀行業界モデルが提供されます。使用可能な業界モデルを使用して構築すると、基礎部分を再構築する手間が省けます。
-
要件、ビジネス・プロセス・モデル、および業界モデル(ある場合)に基づいて、WebSphere Business Services Fabric拡張機能(オントロジー)を定義します。定義されたWebSphere Business Services Fabric拡張機能は、Business Services Repositoryにデプロイされます。
-
WebSphere Integration Developerのビジネス・インテグレーション、Java EE、Webサービス・ツールを使用して、実行可能ビジネス・プロセス、サービス・コンポーネント、およびモジュールを作成します。必要に応じて、これらのコンポーネントの一部をIBM Rational Application Developerを使用して作成することもできます。
-
Composition Studioを使用して、ビジネス・サービス・メタデータを定義し、承認を受けるためにそれをBusiness Services Governance Managerに送信します。
-
ビジネス・サービス・メタデータの定義はBusiness Services Governance Managerのステークホルダーによって確認され、Business Services Repositoryに公開されます。
-
Business Services Subscriber Managerで、作成されたビジネス・サービスに対するサブスクライバーの資格を定義します。資格情報は、Business Services Repositoryに格納されます。
-
サービス・コンポーネントおよび実行可能プロセスをWebSphere Process Serverにデプロイします。
-
WebSphere Process Serverは、Business Services Repositoryのビジネス・コンテキストおよびメタデータに基づきBusiness Services Dynamic Assemblerにより選択された最適なサービス・インスタンスを使用して、ビジネス・プロセスを実行します。
-
実行レコードがBusiness Services Performance Managerに送信され、収集および将来の分析に使用されます。
このシリーズの第1回では、IBM WebSphere Business Service Fabricとは何か、コンポジット・ビジネス・サービスとは何か、およびコンポジット・ビジネス・サービスの開発ライフ・サイクルはどのようになるかについて、一部の背景と概要を説明しました。次回はビジネス・ケースについて説明し、ビジネス・サービスおよび関連するサービス・メタデータを定義するための分析を実行します。その後の回では、WebSphere Business Service Fabricプラットフォームを使用して適応性のあるコンポジット・ビジネス・サービスを初めて作成するための手順を詳細に説明します。
 |
 |
 |
Libra HuangはIBM Software GroupのSOA Solution Center(SSC)に勤務するITアーキテクトです。J2EEを担当した経験があり、現在は主に銀行業界のコンポジット・ビジネス・サービス(CBS)資産の開発に取り組んでいます。
|
 |
 |
 |
Hicks Linは、台北のIBM China Software Development Labに勤務する開発者です。現在は銀行業界用のコンポジット・ビジネス・サービス(CBS)アプリケーションの開発を担当しています。SOA、J2EEなど、新興のサーバー・サイド技術にも関与しています。
|
 |
 |
 |
Jimmy TanはIBM Software GroupのSOA Solution Centerに勤務する上級開発者です。銀行業界用のコンポジット・ビジネス・サービス(CBS)の開発を担当しています。SOA、J2EEおよびソフトウェア・アーキテクチャーにも関与しています。
|
 |
 |
 |
Daniel WuはIBM Software Groupにソフトウェア・エンジニアとして勤務しており、銀行業界用のコンポジット・ビジネス・サービス(CBS)アプリケーションの開発を担当しています。
|
 |
 |
 |
Frank Wongは台北のIBM China Software Development Labに勤務するソフトウェア・エンジニアです。現在は銀行業界のソリューション・アクセラレーターとして、コンポジット・ビジネス・サービス(CBS)の開発を担当しています。
|
|