ビジネス・グリッド
リアルタイムの要求、応答が必要なオンライン系のトランザクションとは対象的に、バッチ・ジョブは、長時間使用するための専用コンピューティング・リソースが必要です。従来は、トランザクション処理にマイナス影響を与えないようにするため、実行環境を2つに分ける必要がありました。これにより、重複してコストがかかり、処理の空いている時間帯でも、他にリソースを割り振ることができない状況でした。WebSphere XD V6.0では、トランザクション処理と、バッチ処理に、リソースを動的にバランスよく配分することができます。以下の2つのタイプの長時間実行ジョブをサポートします。
- 一般的なバッチ処理
明細処理や、給与計算に代表される、一般的なバッチ処理は、トランザクション処理のスループットに影響を与えないように、最適化された環境で、順々に実行されます。共用インフラストラクチャー内で、J2EEジョブのバッチ処理を実行できるサービスを提供します。 - 計算集約型ジョブ
天気予報や、フライト・シュミレーションなど、複雑で膨大な量の計算が必要な計算集約型ジョブや、金融ポートフォリオ分析、コンピューター支援設計(CAD)など、データ・マイニング分析が必要とされる処理を実行するために、複数のCPUを「並列化」して、独立した環境でジョブを実行することができます。
仮想化され、ビジネス目標に照準を合わせた、動的なWebSphereアプリケーション環境により、使用効率が高まり、コストが削減されます。また、統一された環境で、共通の開発および管理モデルを使用できるので、容易な操作性を提供します。
データ・アクセスの最適化
非常に高負荷なトランザクション処理に対して、優れたスケーラビリティーと卓越した高可用性を必要としているお客さま(例えば株式取引所、オークション、オンライン・ゲームあるいは金融分析)に対する実行環境を提供します。この新しいデザイン・パターンは、アプリケーション分割、キャッシング、アプリケーション分割対応可能な負荷分散、高可用性管理、自律アプリケーション分割管理といった機能を実現します。ただし、最適なアプリケーション・リソース割り振りが行われたとしても、データベースやファイル・システムなどへのアクセスがボトルネックとなり、パフォーマンスやスケーラビリティーが制限されては困ります。WebSphere V6.0では 新たにオブジェクト・グリッドや区画に分割された非対称のクラスタリング・モデルを提供します。
- オブジェクト・グリッド
カスタマイズ可能およびプラグ可能なオブジェクト・キャッシュ・フレームワークを提供します。
アプリケーションでさまざまな一貫性モデルを使用してオブジェクト・データを共用できるようになります。オブジェクトはグリッドに保管して、複数のアプリケーションからアクセスできます。これによりデータ・ソースにアクセスする回数を減らし、オブジェクトを繰り返し再作成するコストを回避することができます。オブジェクト・グリッドにより、複数のサーバー間でオブジェクト・データを迅速かつ簡単に共用できます。 - 非対称のクラスタリング・モデル
きわめて拡張性の高い、信頼できるトランザクション処理のための、区画に分割された非対称のクラスタリング・モデルをサポートします。従来のアプリケーション・サーバーのクラスタリング、つまり「対称クラスタリング」は、データベースの前のステートレス・クラスターで実行できるアプリケーションでは適切に機能します。ただし、書き込み率の高いアプリケーション、または連続した要求処理を必要とするデータ集約アプリケーションの場合、ステートレス・クラスターは今までのところ、クラスター・メンバーがデータ・ソースへのアクセスの競合を開始する前にしか拡張することができません。WebSphere Extended Deploymentは、区分化モデルを備えており、これにより「非対称クラスタリング」が可能になります。この方法により、定義されたアプリケーション区分に基づくインテリジェントな要求ルーティングが可能になり、結果としてキャッシュ速度およびトランザクション・パフォーマンスが向上します。
柔軟なアプリケーション管理
リアルタイムでの使用状況およびヘルス状態のモニターリングによる、仮想化環境および異機種環境の管理の容易性向上
複数のアプリケーションが何十、何百といったアプリケーション・サーバー上にデプロイされている複雑な分散IT環境を管理することは非常に困難です。WebSphere Application Server管理コンソールにより、集約的で分かりやすいアプリケーション・ランタイム環境のビューをご提供します。
WebSphere XDは、アプリケーションおよびサーバーの問題を事前に検出して修正するための、ビジュアルな操作およびヘルス・モニター機能を提供しています。これによりオペレーターは、インフラストラクチャーおよびアプリケーション・リソースで発生している状態を容易に知ることができます。また、WebSphere管理コンソールでは、パフォーマンスをグラフ化したり、通知のアラートをしたりすることにより、管理に関わるワークロードを減らすことができます。このリリースの管理容易性の拡張機能には、以下のものがあります。
システム管理
- リポジトリー・チェックポイント/リストアにより、構成変更によって生じた問題のリカバリー時間を削減できます。
- スタンバイ・デプロイメント・マネージャーのサポートにより管理機能の可用性を向上します。
ビジュアルな操作モニター
- 長時間実行ジョブ、区分、アプリケーション・エディション、および新規メトリックのためのグラフ・サポート。
- 階層化グラフにより、さらにカスタマイズしやすいグラフ・ビューが可能になります。
- データ・ロギングにより、分析用の履歴パフォーマンス・データがログに記録されます。
ヘルス・モニター
- ヘルス・アルゴリズムは、メモリー・リーク、過剰メモリー、過剰応答時間、スタック要求、および高エラー率をインテリジェントに検出します。
- ヘルス・モニターが検知した状態に応じて、自動でサーバーを再起動したり、イベントを通知することが可能です。

図:ビジュアルな管理コンソール画面およびヘルス・モニター
動的なアプリケーション更新および操作
Application Edition Managerにより、複数のアプリケーションだけでなく、同じアプリケーションの異なるバージョンを、デプロイメント(配置)および管理することが可能になります。これにより、サービスを停止することなく、実稼働環境にアプリケーションの更新を適用できます。WebSphereクラスター上で有効にするエディションを選択することができ、新規レベルへの更新をロールアウトすることで、必要な場合には旧レベルに戻すことができます。アプリケーションの複数のバージョンを同時に実動状態にしておき、指定されたルーティング規則に応じて、それぞれが要求全体の一部を受け取るようにすることも可能です。これによって、新バージョンの本番環境でのテスト実施や、ゴールド会員に対する特別メニューの提供などを制御できます。

図:エディション・コントロール・センター

