独立行政法人国立病院機構 神戸医療センターWeb電子カルテシステムにより、医療の質、患者様サービスを向上。患者様への医療情報開示や地域診療所との連携を推進 掲載日 2007年12月3日
ネットワーク帯域や保守管理を考え Webベースのシステムを採用 電子カルテシステムの選定に際し、神戸医療センターでは、数々の要件を提示しました。その要求仕様の中で最大のポイントは、システムをクライアント/サーバー型(C/S型)ではなくWebベースとした点です。当時の電子カルテシステムはC/S型が主流でしたが、その中であえてWebベースのシステムを使うべきだと考えた理由を、左右田医師は次のように説明しています。 「C/S型ではサーバーとクライアントの間のセッションがなかなか切れず、回線のスループットが低下してしまいます。それはすなわち、作業の効率に大きな悪影響を及ぼすものです。また、保守管理の面でも、C/S型では各クライアントにソフト配布が必要ですが、Webベースであればクライアントの管理に手間がかかりません。病診連携も当初から計画に含まれており、この点からも、Webベースであることが必須でした」 こうした要求仕様に基づき、いくつかのベンダーが提案を行いました。そして入札を行い、さまざまな要素について点数をつけて評価した結果、APIUS Ecruを用いたシステムが採用に至ったのです。 「Web電子カルテシステムを提供しているベンダーは2〜3社しかなく、しかもどちらかというとベンチャー企業が多かったように思います。その中でアピウス社は、会社の成り立ちや株主構成、過去の実績などの点からみて信用できるベンダーでしたし、IBMのミドルウェアを基盤に使った高い信頼性や良好なパフォーマンスなどの点も、高く評価できましたね」と、左右田医師は選定理由を説明しています。 また、今回のシステム導入を行い、現在も保守サービスを担当している株式会社トリニティデザイン代表取締役の田中健一氏は、APIUS Ecruの基盤として用いられているIBM製品について、次のように語っています。 「私はWebSphere®ソフトウェアを8年ほど前から使っていますが、ホスト系システムの置き換えに使われることも多いだけに堅牢な製品で、APIUS Ecruのベースとして非常に安定した基盤を提供しています。また、サーバーのバードウェアもIBM製品としましたが、これも2年度以降の保守対応が非常にしっかりしている点からも選びました」 選定後の2003年11月、キックオフが行われ、導入が開始されました。2004年3月にはオーダリングシステムを導入、予約や会計システムが稼働開始、同年6月には外来処方や注射のオーダリングと、段階的な導入が進められ、電子カルテは2005年4月から開始しています。そして2007年8月に地域連携システムをスタート、現在では当初の予定通り、ほぼ完全な電子カルテを実現しています。
集約されたデータを全職員が共有。 病院内のどこからでも迅速な指示が可能に 現在、神戸医療センターの電子カルテ/オーダリングシステムは、デスクトップおよびノートPC合わせて約400台のクライアントが、有線/無線LANによる病院内ネットワークを通じてサーバーへアクセスするという形となっています。実際にシステムを使うユーザーとしては、医師や看護師、薬剤師、放射線技師、事務職員など合計350人強ですが、彼らの業務の根幹を支えるシステムだけに、「いつでもどこでも使えるように」(左右田医師)という配慮から、このような配置になりました。 例えば病棟では、ナースワゴンにノートPCを乗せて病室に持ち込み、その場でシステムを利用できるようになっています。ちなみに、このナースワゴンは現場の看護師が設計し、東大阪の工場で作った特注品だそうです。また、外来診察室などではクライアントにペンタブレットを装備し、手書きの絵をカルテに書き込めるように工夫しています。「システムの都合に業務を合わせるのではなく、業務に合わせた形のシステム構築を心掛けました」と左右田医師は言います。そのため、導入を進める上では、現場の医師の声を特に重視しました。 「医師というのは、それぞれ自分なりのやり方を持っていて、一つの科の中でも医師によって異なるくらいです。そのコンセンサスを取るのが大変でしたね。しかし、現場の声を取り込んで、ときにはカスタマイズなども行いつつ段階的に導入を進めていったことで、スムーズに電子カルテへの移行ができたのだと思います」 完全に電子カルテシステムへ移行したことで、データを集約できた点が、大きな成果となりました。 「詳細なデータに至るまで散らばることなく、全職員が共有できるようになり、しかもそれを病院内どこからでも見られるのです。そして、どの患者様に対しても、医師がどこにいても迅速な指示を出せるようになりました。同時に、医師が出したオーダも完全に記録されますので、記録のグレーゾーンがなくなります。また、カルテの見読性が向上した点も大きいですね。癖字の医師も多いのですが、誰でも間違いなくカルテを読めるようになりました。さらに、システム導入と同時に平易な日本語でのカルテ記入を行うようルールを作り込んでありますので、患者様への医療情報開示の際にも安心感が高まったと言えるでしょう」(左右田医師) 事務側では、患者様のカルテを保管し、管理する負担も軽減されました。診察時にカルテを移動する必要も少なくなり、患者様の待ち時間を減らすことができました。 田中氏は、システム面での成功のポイントを次のように説明しています。 「電子カルテの文字データだけでなく、検査数値やX線画像なども集中管理を実現したことが大きいでしょうね。なお、マルチメディア系データは別のネットワークで管理し、スループット低下を防いでいます。また、ストレージはリース契約範囲を担保する契約で受けていますので、少なくとも契約期間中に不足が生じることのないよう構築いたしました。CPU、メモリーなどに関しては必要に応じて強化を行うなどしており、今のところ常に良好なレスポンスで稼動しています」 結果、神戸医療センターの電子カルテシステムは、他の病院からも頻繁に見学者が来るほどの成功となりました。また、財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価のバージョン5.0を、電子カルテシステム導入病院として初めて獲得しました。同時に、電子カルテに関するベンチマークとして、神戸医療センターでの実績がバージョン5.0に反映されました。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||