掲載日 2007年12月17日

アステラス製薬株式会社アステラス製薬株式会社は、幅広い製品領域と売上規模を兼ね備えた豊富な製品ポートフォリオを基盤に、世界の医療用医薬品市場においてダイナミックに事業を展開しています。有用性と信頼性に優れた競争力の高い医薬品を数多く
創出し、グローバルにわたる販売体制のみならず、価値ある新薬の創製に向けた研究開発体制と研究開発投資も国内トップクラス。その創薬研究の一翼を担うのが、茨城県つくば市の御幸が丘研究センター内にある化学研究所リード化
学研究室です。同研究室では、計算機手法による創薬を信頼性と安定性の高い環境下で高速かつ効率よく実施するために、IBM BladeCenter®によるHPCクラスター・システムを構築。創薬研究におけるボトルネックの解消に大きな
役割を果たすと同時に、研究者のモチベーション向上にも貢献しています。
お客様ニーズ

アステラス製薬株式会社
研究本部 化学研究所
リード化学研究室
主管研究員 農学博士
折田 正弥氏
研究開発型の製薬企業として創薬研究の現場に求められる進化
2005年4月1日、山之内製薬と藤沢薬品との合併により、日本発のグローバル製薬企業として新たな一歩を踏み出したアステラス製薬株式会社。経営理念にも掲げられているとおり、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ために、日々新たな挑戦を続けています。同社が目指すのは、グローバルに付加価値の高い製品を提供することで競争優位を実現すること。
そんな同社が、創薬研究の主要拠点の一つとして位置付けるのが、茨城県つくば市にある御幸が丘研究センターです。新薬創製プロセスの上流工程を担う化学研究所リード化学研究室も同センター内にあり、新薬の種となる最適なリード化合物の創出を研究の主軸としています。昨今の医薬品市場を取り巻く環境は著しく変化しており、それは、創薬研究を支える現場にとっても同様です。同研究室の主管研究員である折田正弥氏は、次のように語ります。
「創薬研究には膨大なコストがかかります。従って、いかに効率よく研究を行うかが重要な課題となります。しかし、10年~20年前に比べると環境もずいぶんと変化しており、有効性や安全性、ADME(アドメ)と呼ばれる薬物の体内動態など、考慮すべきパラメーターの数は劇的に増えています。加えて、スクリーニングの対象となる化合物の数も増え続ける一方です。大量のデータを扱いつつ、精度の高いシミュレーションや予測を行うためには、高性能なコンピューターの力が不可欠となっています」
さらに、アステラスリサーチテクノロジー株式会社探索研究部長の藤田茂雄氏が続けます。
「アッセイ・ロボットを用いて化合物を実験的に評価するハイスループット・スクリーニングと相互補完的な計算機上でバーチャルな実験を行うインシリコ・スクリーニングという手法があります。これをやるとなると、1,500万もの大量の化合物が計算対象となります。当研究室では、2000年ごろから、この大規模な計算量に見合うシステムの検討を続けてきました」
ソリューション

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加速度的に増えていく計算対象により大規模なシステムへの投資を決断
同研究室では、本格的なシステムの導入に至る前に、自社内でクラスター構成を組み、2回のトライを実施しています。1回目のトライでは、情報システム部門の協力を得て、複数のコンピューターをネットワークでつなぐところからクラスター・システムを構成。ここで好感触をつかんだ上で、さらに2回目のトライでは、市販の安価なコンピューターを組み合わせて、導入への足掛かりとなる試験的な環境を用意しました。
「この時点では、まだ大規模な投資というわけにはいかず、トライの域を脱していませんでした。いわば本番環境に向けた練習です。それでも、そこそこのパフォーマンスが出ることも、自分たちの使用しているソフトウェアがクラスター・システム上で問題なく稼働することも分かってきました」と藤田氏は振り返ります。
こうした前準備ともなるステップを経て、いよいよ本格的な活用段階へと踏み切ることになり、2003年、x86サーバーによるHPCクラスター・システムを実現。x86サーバーには、IBM eServer xSeries® 335が採用されました。しかし、3年後となる2006年には、早くもシステムの増強が検討されることになります。これは、システムがすでに限界に達していたわけでも、トラブルに悩まされていたわけでもありません。この先も留まることなく増え続けるデータ量への対応を見据え、遅かれ早かれ、より大規模なシステムが必須になるとの判断があったのです。
「IBM eServer xSeries 335は、期待どおりのパフォーマンスを発揮していました。ただ、利用可能な化合物の数や、公表される標的タンパクの構造解析結果は、年々加速度的に増えていきます。また、より多くの計算を必要とする新しいスクリーニングの方法論も登場してきます。今後、ますます計算スピードが求められるようになるのは明らかです」(藤田氏)
そこでIBMから提案を受けた同研究室は、IBM BladeCenterへの刷新を決断。大量の計算ジョブに耐え得るHPCクラスター・システムを、高性能なブレード・サーバーで実現するという新たな選択でした。
導入効果

アステラスリサーチテ
クノロジー株式会社
探索研究部長
理学博士
藤田 茂雄氏
卓越した性能と信頼性の高さに加えエネルギー効率に優れた設計が決め手
すでにIBM eServer xSeries 335の活用を通じて、IBMの設計思想を高く評価していた同研究室では、IBM BladeCenterの導入にも迷いはありませんでした。
「われわれがまだトライを続けていたころはトラブルが多く、マシンを動かすだけで神経を使っていましたが、IBM eServer xSeries 335の導入後は研究に集中できるようになりました。それだけ安定性が高い。これなら、もっと大規模になっても大丈夫だろうという確信が持てました」と折田氏。続いて藤田氏も補足します。
「トラブルが皆無に等しいことに驚きました。故障しないからトラブルシューティングも要らない。ユーザーの負荷が軽く、本当に楽でした。この信頼性の高さが、次への安心感につながったと言えます」
もう一つ、導入マシンの選定にあたって重視されたのが、エネルギー効率の問題です。設置スペースや空調設備のキャパシティーを最大限有効に使う必要がありました。また、CPUの数とクロック数を増やしつつ、低電力を追求する必要もありました。そんな厳しい条件下でも、優
れたパフォーマンスと安定性を犠牲にすることなく、省スペースと高いエネルギー効率を実現できることが、ブレード・サーバーを選択する決め手になったのです。実際、今回の大規模なクラスター構成は、ログイン・サーバーやファイル・サーバーなども含めて42Uのラック2本にコンパクトに収容されており、IBMにおける事前検証を通じて、目指すべきエネルギー効率と性能をクリアできることも確認できていました。もちろんここに至るには、IBMとの緊密な連携が欠かせなかったといいます。
「計算の種類や規模に見合う最適な構成は何かという、われわれの力だけでは解決できない部分でも、ディスクの持ち方や容量、CPUの見積もり、発熱量や設置スペース、さらには運用面まで、トータルな視点できめ細かくサポートしていただきました」(藤田氏)
将来の展望
近未来を見据えた戦略的IT投資で競争力の源泉となる研究基盤を強化
本稼働を開始したのは、2006年12月。最も注目すべき効果は、計算のパフォーマンスでしょう。従来の8倍~10倍ものスピードを手にしたことで、これまでなら1年かかったことが1カ月に短縮。「昔できなかったことができるようになった」と言えるほどの変化が、今後の研究にもたらす可能性は計り知れません。
「創薬プロジェクトにおいてわれわれが本領を発揮し、本当の意味で勝負できるようになったことが大きい。研究員のモチベーションも確実に高まっています」(折田氏)
一方、藤田氏は、ITベンダーと顧客という関係を超えて、IBMへの期待を覗かせます。
「やがて今の100倍ないしは1,000倍もの計算能力を必要とする時代が来るでしょう。そこに旬の技術を投入していくためには、“待ち伏せる”感覚が重要です。シナリオを用意して、技術的準備や環境整備を行い、タイミングが来たらすぐにやる。そのためにも、お互いの近未来像を伝え合うことで新しい目標が見えてきます。この関係に大きな価値を感じています」
世界をリードする最先端の研究開発は、変化を捉える鋭い感性と行動力に支えられているのです。
お客様情報
日本発の研究開発型グローバル製薬企業として成長を続けるアステラス製薬株式会社は、山之内製薬と藤沢薬品が合併し、2005年4月1日に設立されました。研究開発から営業までのシームレスな体制を構築するとともに、国内トップクラスの研究開発投資と体制で、有用性と信頼性に優れた最先端の医薬品を創造。創薬研究では、「泌尿器」、移植を含む「炎症・免疫」、「糖尿病」、「中枢・疼痛」、「感染症(ウイルス)」、「癌」の6領域に重点を置き、日本のみならず世界の医薬品市場への挑戦を続けています。

製品・技術情報
ハードウェア
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