掲載日 2000年6月5日
コンビニエンスストアに設置するATMと金融機関をインターネットでつなぐ新しいビジネス・モデルをイーネットが実現しました。そのスピーディな事業展開を可能にしたのが、IBMグローバル・サービスのトータル・ソリューションです。
お客様ニーズ
銀行業界は激しい競争の時代に
金融ビッグバンは、銀行を含めた金融サービス業に、大幅な業務の自由化、参入の自由化という大きな変化をもたらしました。その一方で、e-コマース(電子商取引)という新しい商取引の形態が急速に普及しつつあります。e-コマースの最大のメリットは、安いコストで満足度の高いサービスを、直接一般消費者に提供できること。そのため、あらゆる業界・業種で、まったく新しいサービスが、既存の担い手のみならず、異業種からも提供される可能性が生まれました。
こうした大きな変化が引き金となって、銀行業界は激しい競争の時代に突入したのです。各行は、他行との差別化を図るために新しい商品やサービスの開発に着手。個人資産運用分野といった富裕層向け取り組みもさることながら、より幅広い個人層(マス・リテール)への取り組みを強化する必要があります。こうした事情から、個人のお客様の獲得を目指して各行は、一般消費者により近い場所でのサービス提供を模索し始めたのです。
コンビニはさらなる利便性の提供が経営課題に
一方、金融サービス業以上に競争が激化していたのが、コンビニエンスストア業界でした。同業者間の競争はもちろんのこと、ドラッグストアなど低価格業態の成長などによって、顧客一人当たりの売上げは横ばいの状態。そのため各社にとって、さらなる利便性の提供が大きな経営課題となっていたのです。
そこで視野に入ってきたのが、金融サービスでした。もともとコンビニには、公共料金や保険料の支払いなど代金収納サービスの実績があり、消費者の間にも定着しています。加えて、e-コマースの進展によって、オンラインショップの決済インフラとしてコンビニを活用する動きも出てきていました。また、金融サービスでは、店舗内のわずかなスペースを使っただけで、利便性を提供できるというメリットもあり、コンビニエンス業界では、真剣に検討されるようになったのです。
ソリューション
コンビニATMサービスを事業化
銀行各行とコンビニ業界のニーズを的確に把握し、その実現に向けた取組みをコーディネートしたのが、IBMグローバル・サービスでした。1999年5月に東京三菱銀行、第一勧業銀行、さくら銀行、三菱信託銀行、ファミリーマート、そして日本IBMの6社が集まって、“コンビニATMサービス”事業化に向けた検討がスタート。設立準備委員会での検討作業を通じて、コンビニATMサービスのコンセプトが固まっていったのです。
準備委員会の6社が幹事会社となり設立
新しいサービスのコンセプトが固まり、ハード・システムの開発に目途がついた1999年9月、準備委員会の6社が幹事会社となり、その他の19社を加えた25社の出資によって新会社「イーネット」が設立されました。
翌10月8日には、スルガ銀行のサービス提供により、ファミリーマートの3店舗でサービスを開始。サークルケイ・ジャパン、サンクスアンドアソシエイツ、ミニストップ、スリーエフの各店舗でも順次スタート。この月末には、東京・神奈川・静岡の合計234店舗でサービスが本格展開されたのです。
- 各行のサービス・メニューを提供できるATM
特定の銀行のATMでは、コンビニエンスストアにとって設置するメリットは大きくなく、複数行のサービスを提供できる共同ATMこそ、お客様の利便性を高め、集客力の向上が見込めます。銀行も、ATMを通じて各行オリジナルのサービスをお客様に訴求することが、最も重要であると考えていました。そのため新しいATMは、複数の金融機関が各行のサービス・メニューを提供できるように設計する必要がありました。
- オープン性と公平性
多くの金融機関に参加してもらうためには、自由に参加できるオープン性を保つことが大切です。また、このサービスの公的な性格からも、すべての企業に同一のサービスを提供する公平性を確保することも必要でした。
- インフラ提供に特化
新たに設立する会社は、インフラの提供に徹することを方針としました。自らが金融サービスを提供したり、あるいは物販を手がけることはしません。参加企業との競合を避け中立性を保つためです。
将来のサービス拡張にも柔軟に対応
複数行のサービス・メニューを提供できる共同ATMの開発には、IBMグローバル・サービスが有する先進WEB技術とノウハウが活かされています。WEB技術ならば、将来のサービス拡張や変更などにも柔軟にも対応することができます。また、動画や音声などを使ってマルチメディア・コンテンツを作成するのも容易で、各行が特徴あるサービスを提供することが可能です。
また、ATMには日本IBMが開発した多機能マルチメディア端末ソフトを搭載。各店舗の端末はオペレーション・センターと専用回線で結ばれ、センター内に設置された各行のWEBサーバーに蓄積されたオリジナル・コンテンツを表示する仕組みを構築しました。
金融業界向けノウハウをベースにシステム開発
ATMと専用線で結ばれたオペレーション・センターは、さらに銀行の勘定系システムと専用回線でつながっています。このネットワークから個人情報が漏れたり、各銀行の顧客情報が錯綜するようなことは許されません。ネットワークの安全性を保ったまま、スピーディーに全国のコンビニエンスストアに展開する必要がありました。
IBMグローバル・サービスでは、IBMと米国インテグリオン社(インテグリオン・ファイナンシャル・ネットワーク)が共同で開発したインターネット・バンキング・ソリューションを参考とし、システムの開発に着手しました。システムの要となるセキュリティーの確保については、金融業界向けのソリューションをベースに新規に開発。また、銀行取引プロトコルはインテグリオン社の「ゴールド・メッセージ・スタンダード」を採用したため、将来のサービス拡張にも柔軟に対応できます。
IBMグローバル・サービスは、このネットワークのシステム開発をわずか1年という短期間で実現したのです。
導入効果
コンビニに金融サービスのインフラを提供する
イーネットは、コンビニエンスストアに現金の入出金や振込など各種金融サービスの利用基盤(多機能ATM)を提供する会社として、1999年9月、東京三菱銀行、第一勧業銀行、さくら銀行、三菱信託銀行、ファミリーマート、日本IBMほか19社によって設立されました。イーネットに参画する銀行は、参加コンビニエンスストアの全国の店舗内に設置された多機能ATMを通じて、最大365日・24時間、各行オリジナルの金融サービスを提供できるようになります。
展開可能地域は全国に拡大
12月には、住友信託銀行、山形銀行を初め12行が追加出資。さらに2000年3月には横浜銀行、福岡銀行を初め14行が出資を決定し、出資銀行は合わせて36行になる予定です。またコンビニチェーンのポプラが出資を決め、コミュニティ・ストアの参加も得て、設置コンビニチェーンは7チェーンとなりました。これによってATMの展開可能地域は大幅に拡大し、ほぼ全国をカバーする規模になりました。また、4月10日から365日・24時間のATMサービスを開始しています。
実際のATM設置店についても、4月、5月の東京、千葉、岐阜での展開によって、拠点の数は500店舗に拡大。これに伴って、4月10日から東京三菱銀行、三菱信託銀行、千葉銀行の3行が、5月8日に十六銀行がそれぞれサービス提供を開始しました。さらにイーネットでは、2001年春までに、全国で5000店舗にネットワークを拡大する計画です。
リテール(小口金融)取引に力を入れる銀行にとっては、店舗展開することなく一般消費者に独自のサービスを提供できるため、顧客の拡大が見込めます。また、競争が激しく他店との差別化を図りたいコンビニとしても、さまざまな銀行の金融サービス提供は、集客力の向上、ひいては収益の向上に大きく寄与するものと期待を寄せています。
お客様情報
代表取締役社長 上岡隆之
設立:1999年9月17日
資本金:20億6600万円(2000年4月現在)
事業内容:
- マルチメディア機能付現金自動預入払出機(多機能ATM)の運営、保守および管理に関する業務
- 多機能ATMのネットワーク等を利用 した入金、出金、振替等の金融サービス提供に関する事務受託業務
- 物品ならびに金融サービスの販売促進に関する情報提供業務など
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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