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お客様導入事例
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株式会社リコー
組み込みソフトウェア開発のためのオブジェクト指向技術
掲載日 2004年3月25日
製品の多機能化、製品ライフサイクルの短縮という潮流により、情報機器メーカーは複雑な組み込みソフトウェアを短期間で開発する必要に迫られています。そんな中、高品質な製品を効率的に生産するために、先陣を切って取り組んできた株式会社リコー(以下、リコー)では、コピー機やプリンターのパーツを制御する、組み込みソフトウェアの開発の生産性を上げるため、オブジェクト指向技術に着手しました。
そして、まさにいま、リコーでは新しい組み込みMDD(Model Driven Deleopment:モデル駆動型開発)技術の開発をしています。
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オブジェクト指向の問題点
中国、インドに比べて、日本企業の技術者コストは非常に高いといわれています。従って、「1人で3〜4倍のプログラム・コードを書くことを実現させたい」と同社、画像システム事業本部プラットフォーム開発センターソフトウェア生産技術開発室部長研究員の竹内良輔氏(竹内氏)は言います。
通常のオブジェクト指向は大規模開発に向いているので、最初の開発は大変でも、2回目以降はプログラムがモデル化されるため、仕様に合わせて作り換えることができ、生産性が上がります。しかし現状では、モデルの評価、モジュール・レベルのテストができる環境、人員が不可欠であること、シミュレーション・テスト環境をつくるための人員の配置、リファクタリング(Refactoring:プログラミングの体質改善方法)をより簡単にしなければならない——という課題があるとリコーでは考えられました。
株式会社リコー
画像システム事業本部
プラットフォーム開発センター
ソフトウェア生産技術開発室
部長研究員 竹内 良輔 氏
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ソリューション
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推敲型モデルとして“Rose RealTime”を採用
リコーでは、通常のオブジェクト指向が抱える問題を解決するために、MDD技術に注目しました。MDDとは、オブジェクト技術の標準化活動を進める国際標準化団体OMG(Object Management Group,Inc)のモデリング標準技術を基盤としており、オープンで、ベンダーに依存しないシステムの相互運用を実現するためのアーキテクチャーです。簡単に言えば、モデルをベースに自動的にソフトウェアを生成する技術です。この標準化は、IBMとともにOMGが、2、3年前から推進してきました。
リコーが定義している組み込みMDDとは、C++やJavaやCORBAといった言語ではなく、UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)です。これは、記述されるソフトウェアモデルの表記表を使って、簡単なソフトウェアの開発を標準化するものです。組み込みMDDは、UMLよりも、ソース・コードを自動的に生成することを目指しています。
組み込みMDDを設計するツールには、IBMが提供する組み込みソリューション“IBM Rational Rose® RealTime”(以下、Rose RealTime)が推敲型のモデルとして採用されました。
ほかに、変換型のモデルとして、プロジェクト・テクノロジーの“BridgePoint”が採用されています。
“Rose RealTime”は、モデル自体をリファクタリングしやすいように作ることを目的としています。
「“Rose RealTime”採用の理由は4つあります。
まずモデルでソフトを記述することができます。簡単に言えば、仕様書とプログラムが常に一致するということです。
2番目は、生成時間(モデルからコードをはき出す時間)が短く、繰り返し型の開発に非常に向いているということです。
3番目は、実装環境に近いシミュレーションが可能だということで、実際にモデルだけのシミュレーションで、かなりのデバッグをすることができます。
4番目は、例えばITRONやVxWorks、UNIXというソフトウェアのプラットフォームに対しての依存性が低いということです。
どこでもモデルを作ってしまえば、別のプラットフォームに持っていくことができます」(竹内氏)
一方の“BridgePoint”は、モデルを作った後にいろいろな要素をうまく組み合わせて、生成効率をよくすることを目的としたツールです。“BridgePoint”は1行書くと、実測値で最良のケースでは8行のC言語に換算できます。例えば8,000ステップのものを作るためには、1,000ステップ書けばできてしまうということです。これがMDDツールによって生産性が上がるゆえんだと考えられます。
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導入効果
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MDDツールで生産性の向上
リコーにおいてはオブジェクト指向が1996年から利用されており、オブジェクト指向分析という技術は普段から社内の講習会などで教育されています。ですから、MDDへの移行もあまり負荷になりませんでした。
通常のオブジェクト指向の開発プロセスをベースに、組み込みMDDツールを使った場合のリコーにおける開発メンバーの負担を検証してみると、モデラーとプログラマーとが別の人員を要していたものが、組み込みMDDの場合には、モデラーとプログラマーが同じ人でもかなり負荷が低く、簡単に作ることができることが特徴として挙げられます。
またアーキテクトの部分は、OSに絡む部分を一から、いちいち細かい部分まで作っていく必要がありません。ツールがOSやプラットフォームに依存する部分はある程度自動的に生成されるので、アーキテクトとしての作業量は少ないという結果も出ています。
「ただし、作業量が少ないということは、逆に、自由には作れないということでもあります。ツール自体がどのように動くかというノウハウがある人、OSの動きをよく知っている人、かなりアーキテクト・スキルの高い人でなければ難しい面があります」(竹内氏)
組み込みMDDには、モデル・シミュレーションというモデル自体を評価する機能があり、実装部はツールが前提になっています。わざわざ自分で作る必要はありません。ただし、ツールに従った設計をしなければいけないため、その部分のノウハウがかなり必要です。モデルからのコード生成によって、開発工数はかなり削減できます。
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将来の展望
現ツールで開発を推進
竹内氏が所属するソフトウェア生産技術開発室は、1996年にその母体となった組織が誕生しました。それを大規模再利用することになった時のミッションが、生産性を上げることだったと言います。そして、標準的なオブジェクト指向を使うことに意見がまとまったのです。そのための開発プロセスをいろいろ考えたり、他事業部に提供したりといった活動が始まりました。
「“Rose RealTime”の場合はモデル・シミュレーションは非常に使いやすいのですが、シミュレーション機能を充実させていく必要があります。理想を言えば、手書きのコードと自動生成されたコードをバイナリサイズで比較したときに、同じとまではいかなくても、同じに近いものが出てほしいことなどです。最終的には3〜4年先かもしれませんが、リコーとしては現在のツールで開発を進めようと考えています」(竹内氏)
基本的にオブジェクト指向分析は、モデルやクラスを作ったり、状態遷移図を書いたりと、技術をベースにしなければツールが使えないので、今後も、そういった技術を社内で向上させていく必要があるということです。また、開発プロセスを明確にすることも課題の1つです。ツールの熟練も不可欠といえるでしょう。そして最後に、精通した技術者を育てる必要があると考えられています。
これらを解決することで、3〜4倍に生産性が上がることも夢ではないのです。
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お客様の声
更なる活動へ
「リコーのオブジェクト指向プロジェクトは、幾度の障壁を乗り越え、ここまで形になってきました。まずは、担当者3人が米国まで行って研修を受けたにもかかわらず、実態は純粋なオブジェクト指向とは種類が違うツールだということで、1回目のMDDの取り組みは不採用になりました。2回目は1999年。もう1回やってみようとコピー機の中の定着制御という部分をモデルで作り、実際のプロダクトに持っていって使ってもらうようにアプローチしました。シミュレーションも終わり、実機に入れ込んできちんと動くことまで確認できたのですが、ツールの使い方がよく分からないものを実機に入れると、後でメンテナンスできないということで、結局、使われずに終わってしまったという経緯もあります。そこで、通常のオブジェクト指向で本当に生産効率が上がるのか、という疑問から、もう1度取り組み直し、2001年暮れから正式に、組み込みMDDのテーマがスタートしたのです」(竹内氏)。
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お客様情報
お客様名:
株式会社リコー
所在地:
〒107-8544東京都港区南青山1-15-5リコービル
URL:
http://www.ricoh.co.jp/
概要:
設立: 1936年2月6日
連続売上高: 1兆7,383億円(2003年3月期)
資本金: 1,353億円(2003年3月31日現在)
従業員数: 74,600名(2003年3月31日現在)
事業内容: 複写機、コンピューター周辺機器、情報機器などの事務機、カメラ、光学機器など
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製品・技術情報
ソフトウェア:
IBM Rational Rose RealTime
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インダストリー:
エレクトロニクス
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本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM, IBMロゴ, Rational RoseはIBM Corporationの商標。
JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴはSun Microsystems, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
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