第一生命保険相互会社Lotus Notes/Lotus Dominoのバージョンアップでコスト削減を実現。さらなる情報活用力の強化へつなげる 掲載日 2004年4月28日
バージョンアップ成功のカギは、計画段階の綿密な検討 同社のバージョンアップ・プロジェクトでは致命的な問題は一切発生せず、作業を終えることができました。実際に移行に要した期間は1年半、かかった工数はトータルで600人月。2002年度初頭から全体設計を開始し、同年7月からツールの開発や移行テストを重ね、2002年度末から約半年強で移行作業が完了しました。 まず最初に、どのバージョンへ移行するか検討が行われました。当時はR5が出荷されていましたが、間もなく6がリリースされることはアナウンスされていたので、R5と6を比較して、第一生命は6を選択しました。
ユーザーから遠いサーバーから作業する 計画では順番と優先度が重要だと久永氏は断言しています。では作業手順はどのように定めていくのがいいのでしょうか。久永氏は「ユーザーから遠いサーバーから作業することが基本」と述べています。 具体的には、サーバー間にあるメール転送や複製ハブといった役割を持つサーバーから作業していくことになります。こうしたサーバーなら、万一トラブルが起きてもユーザーが直接アクセスしていないのでユーザーへの影響は最小限に抑えられます。また、メール転送など大量の処理を課しているため、パフォーマンス向上の恩恵が顕著に現れるのです。 「本番作業では、テスト環境で予測し得ないことも起こります。そのためサーバー作業では、まず最初にユーザーから離れたサーバーから作業して作業項目の過不足を確認することができます」(久永氏)。 サーバー作業は遠隔操作で自動処理、またクライアント作業も自動化して一気にプログラムを刷新しました。詳細について久永氏はこう説明しています。 「サーバーは台数は多いものの、構成は均一なので徹底的にテストを繰り返し、完璧な作業手順を作り上げました。遠隔からキックして自動処理する方法を採りました。成功率はほぼ100%。クライアント作業も問い合わせを減らすために、工夫して自動化プログラムを開発しました。 ただ、問い合わせは期待したほど減らせませんでした。クライアントは機種が多く、ソフトウェア環境も均一ではないので、自動化にはあまりこだわらず多少はユーザーの手作業に任せたほうが得策だったのかもしれません。いずれにせよ、致命的なトラブルもなくバージョンアップは無事に完了することができました」 コードチェッカーとヒント集が役立つ アプリケーションに話を移すと、アプリケーションが新バージョンで問題なく稼働するかどうかは、事前に検証しておかなくてはなりません。しかし、データベースは6000もあるので、「基盤開発DB、アプリ開発DB、EUC(エンドユーザー・コンピューティング)DB」に分けて、そのうえで、EUC DB(5000)を業務上の重要度から「1:最重要、2:一般、3:廃棄」に分けました。人事情報管理など最重要アプリケーションを200に絞り、重点的に検証。検証時にはLotus Software提供のコードチェッカーを使い、一般的な技術情報はヒント&チップ集を参考にしたといいます。 コードチェッカーとはスクリプトのコードをチェックし、特殊な予約名や仕様に変更があった関数を抽出するツールです。またヒント集とはバージョンアップに関わる技術情報が200文書ほどに集約されたもの。ともにIBMまたはビジネスパートナーから購入するか、Notesコンソーシアム会員なら無料で利用できます。 久永氏はツールに加えて情報収集も成功には不可欠だと指摘しています。 「こうした製品に依存するプロジェクトではベンダーとの連携が不可欠です。可能な範囲でIBMまたはビジネスパートナーから技術的な情報提供を受けられるパス ベンダーを確保しておくべきでしょう」
アプリケーションの開発性を高めるLotus Domino 6 これほど大規模なプロジェクトを成功裏に終えられたのは、万全な計画と技術情報の収集力にあったといえます。もうひとつ付け足すなら、新機能に欲を出さず確実に移行を成功させることに固執したことです。作業は基本的にはプログラムとメールテンプレートをR4.6から6へ移行するのみに絞りました。そのため、移行後すぐはLotus Notes 6でワークスペースを使い、フレームやレイヤーなどの新設計要素もまだデータベースに組み込まれませんでした。 「ユーザー・インターフェースはほぼ変化していないとユーザーは感じているようです。ただ、タスクボタンなど、標準搭載の新機能により使い勝手が向上したと好評です。他の選択的な新機能、例えば新しい設計要素をどう採用するかは今後の課題です」と木村氏。 「今回のバージョンアップにより、今後ユーザーの要望に柔軟に応えられる基盤が整いました。6の利点には集約化の他に、Webとの連携や管理機能の向上が挙げられます。6はLotus Domino アプリケーションとWebとの相性がいいので、アプリケーション開発の柔軟性を高めることができました」
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