掲載日 2004年8月31日

塩野義製薬株式会社では、2001年より仮想マシン ソフトウェアであるVMwareを活用することで、営業から研究、開発などさまざまな部署で活用されている多彩な業務システムの集約管理を実現しています。
そして2003年、IAサーバーのリプレースとVMwareの最新版を追加導入することを検討。サーバーとVMwareを一元的にサポートすることが可能なIBMが選ばれました。
お客様ニーズ

塩野義製薬株式会社
情報システム部 課長
多賀 健二 氏
仮想化によってリソースを集約し、IT資産管理の難点を軽減
塩野義製薬株式会社では、さまざまな業務システムを効率よく管理するために、2001年よりVMwareを利用して、数台のIAサーバーを仮想マシン化してきました。
この試みについて、同社の情報システム部 課長 多賀健二氏は次のように説明します。
「弊社内のシステムは、我々情報システム部の元で管理するようになっているのですが、特にWindows®サーバーの場合、1台のサーバーで複数のアプリケーションを稼働させたい、といったニーズにはほとんど対応できないため、どんどんIT資産を増やさなくてはいけなくなります」
「今は低価格のサーバーも増えていますから、コストを抑えながらサーバーを増やすという選択肢もありますが、相応の可用性を確保しようとすると大掛かりな仕掛けも必要になり、結局安価なものでは対応できなくなってしまいます。
また、私たちがシステムに求めているライフサイクルと、ハードウェアやアプリケーションのライフサイクルとが合致していないことも、運用リスクを高めてしまっています。
そこで、どうやってコストや管理のリスクを抑えながら対応していくかと考えたとき、VMwareによって、サーバー上に仮想インフラを築くという選択肢が浮かび上がってきたのです。仮想化がうまくいけば、1台のサーバー上に、ゲストとしてさまざまなシステムを同居させることができますから」
しかし、VMwareの導入は一つのチャレンジでもありました。同 情報システム部の片岡浩之氏は説明します。
「最初は『そんなものは信じられない』と言っていた人たちも多かったです。そこで手始めにVMware GSXのパッケージを一つ購入してきて、既存のサーバー上である程度のユーザー向けサービスを提供できる環境を構築してテストを行うところからはじめました。
これを半年ほど続けましが、特筆すべきトラブルもなく経緯は順調でした。サーバーからサーバーへと環境を移行させることが非常に容易であることも確認できましたし、期待していた結果が得られたと言ってよいと思います。
そこで今度は業者に依頼してVMware GSXでサーバーをまず1台構築してもらい、その後も様子を見ながら増強を続けてきました」
そして、2003年。増え続けるシステムを、さらに効率よく運用・管理していくために、VMware GSXよりもさらにゲスト収容力に優れたVMware ESXの追加導入が検討されることになったのです。
ソリューション

塩野義製薬株式会社
情報システム部
片岡 浩之 氏
さらなる効率化を実現するVMware ESXの導入
同社が検討を重ねた結果、2003年12月、VMware ESXとともにIBM eServer xSeries® 445が、導入されることになりました。
IBMが選ばれた理由は“コスト”と“サポート体制”にあったといいます。
「実は今、サーバーそのものは他社のハウジングサービスを利用しています。それにもかかわらずIBMからサーバーを調達した理由の一つは、保守の価格にありました。他社のものは、標準仕様にメモリーなどの増設を行う都度、保守費用も上積みされていったのです。これに対し、IBMの保守費用は筐体単位で設定されているため、オプションをいくら追加しても価格に変化ありませんでした。
それにVMware ESXの場合、VMware社から対応サーバーのリストが出されていたのですが、他社の場合、対応機種が少なかったのですね。対して、IBMはVMware社との協業を、会社として打ち出していました。
この二つが理由になります」(多賀氏)
システムの導入は、非常にスムーズに進んだといいます。
「通常、アプリケーションの必要からサーバーを1台増やすことになった場合、サーバーの選定から発注、納品、それからOSをインストールしてアプリケーションをインストールして稼働確認をとって、と作業を進める間に2カ月ぐらいは経過してしまいますよね?
しかし、VMwareの場合、同じ要件を満たすための作業がそれこそ二日ぐらいで終わってしまいます。既存のシステムを移行させるだけなら、30分ぐらいです。
この差を金額に換算しただけでも、相当なコスト削減になると思います」(片岡氏)
「導入から現在まで、深刻なトラブルや困難に感じたことは何もありません。ただ一つ、今回導入したxSeries 445が4CPU構成であるためにソフトウェア・ライセンスの問題はありました。
VMware上では1CPUなのですが、ハードウェア的には4CPUなので、データベースのライセンスもそれぞれ4台分必要になると各メーカーから言われまして。
IBMのDB2®も活用していますので、できればIBMが先陣切る形で“仮想マシンへの柔軟な姿勢”を示していただけると嬉しいですね(笑)」(多賀氏)
導入効果

IBM eServer xSeries 445
予想以上の数のシステムが稼働しても、まだリソースには余裕あり
本格稼働から現在に至るまで、xSeries + VMware ESXのシステムは予定通り、順調に稼働しているといいます。
「ESXを導入した効果、というとやはり集約管理がさらに前進したことにつきますね。導入自体が非常にスムーズに進んだこともあり、現在ではそれぞれのサーバー上に、予想を越える数のゲストが稼働していますから」(片岡氏)
「IBMのサポート体制に関しては……まず一元的なサポートをしていただくための窓口が開通してからまだ日が浅いこともあるのですが、実際のところxSeries 445が壊れていないですからねぇ(笑)」(多賀氏)
多賀氏がそう笑う背景には、最初のテストから今日までの実績と、万一に備えた仕掛けが存在しています。
「今、VMware GSXとESXの上で稼働しているシステムは結構な数になりますが、業務上『1分1秒でも停止してはいけない』というシステムはありません。
先ほど片岡からの話にもありましたが、既存のシステムをVMwareを利用してサーバーからサーバーへと移行させる作業には、たいして時間を必要としません。そこで、クラスタリングを行って余分なライセンス料を発生させるのではなく、万一どれかのサーバーがダウンしたら、即座にほかのサーバーに環境を移し替えるという方法で備えています」(多賀氏)
もちろん、各サーバーのリソースには、ほかのサーバーからシステムを引き受けるだけの余裕が残されています。
「それぞれのサーバーのCPU使用率を時折確認するのですが、まだまだリソースには余裕があります。夜間のバックアップ作成時でこそ、それなりの割合を占めていますが、昼間のシステム稼働時では本当にたいした使用率ではないのです」(片岡氏)
インテル® Xeon™ プロセッサ MPを四つ搭載したxSeries 445の性能もさることながら、VMware ESXによる詳細なリソース管理が効果を発揮しているといえるでしょう。
将来の展望
多くの可能性を秘めた“仮想化技術”
仮想インフラストラクチャーを活用したシステムには、今後さらに大きな可能性が感じられるといいます。
「今後のシステム運用を考えた際に、“仮想化”という言葉が重要なキーワードであることは間違いないと思っています。
例えば、ネイティブのマシンを使ってシステムを移行する場合、一から環境を作り直して、確認をする必要がありますから、システム運用の担当者だけではすべての作業を行うことができず、構築担当者にもう一度最初から作業してもらわなくてはなりません。
しかし、仮想マシンであれば構築担当者の手をほとんど煩わせることなく移行できてしまいますので、人的コストがかなり削減されます。長期的に考えたら、このコスト削減は非常に大きなものとなります」(多賀氏)
「それから、これはまだ無理な話なのですが、今後幅広い場所でVMwareが活用されるようになり、技術が進歩すれば、『アウトソーシング先のサーバーに構築したシステムを、簡単に他社のサーバーに引越しさせる』こともできるのではないかと期待している部分もあります。
現状ではアウトソーシング先にシステムを築いた後の移行はほとんど不可能ですが、これが実現すればアウトソーシング先とも、さらに緊張感のある関係を築けます。条件が合わなくなればすぐに引越しができるわけですから(笑)」(多賀氏)
もちろん、この期待にこたえるだけの状況が生まれるには、さらに機が熟するのを見守る必要があります。
「弊社でVMwareの活用をはじめるにあたって、依頼したSIの方たちから抵抗されることも多かったのですが、今では『うちでも買いました、便利ですね』と仰る方もいます。
こちらからすれば、何かのアプリケーションが『仮想マシンでは動かない』という考え方をされること自体に違和感があったわけです。Windowsサーバーで稼働するアプリケーションならば、仮想インフラ上のWindowsサーバーでも、同じように稼働するはずですから。
実際、VMwareを導入したところで、ハードウェアの仕様自体に大幅な変更を要求されるようなこともありません。
そもそもWindowsのアプリケーションを直接Linux®上で動かそうというわけではありませんから、それほど抵抗のある話だとは思えない。ですから『VMwareでのシステム構築は請け負えません』というのは、その業者の問題ですよね。まずは活用される場が増えて、仮想化技術自体の実績と信用が積み上がっていかないと、先には進まないですから」(片岡氏)
リソースの有効活用を行うことでサーバー数の無駄な増加を防ぐことにはじまり、技術者たちのワークロード削減など、さまざまな可能性を秘めた“仮想化技術”。
IBMでは、ソフトウェアとハードウェアの両方を一元的にサポートするソリューションに取り組んでいます。
お客様情報
創業:1878年3月17日
会社設立:1919年6月5日
塩野義製薬株式会社は、1873年の創業以来「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という基本方針のもとに、多くの人々に優れた医薬品を提供し続けてきた製薬メーカーです。
100年以上にわたる信頼と実績を、21世紀にさらに発展させるべく、「研究開発力の向上」、「営業力の向上」、「経営効率の向上」の三つを経営ビジョンの柱として取り組まれています。
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用語の説明
- ハウジングサービス
高速回線や安定した電源などを事業者が設備施設として用意し、企業が自社で購入したサーバーや通信機器をそこへ設置することで、それらの設備が利用できるようになるサービス。これに似たサービスでホスティングサービスがあるが、これは事業者が用意したさまざまなサーバーや通信機器、回線といったインフラを複数の企業に提供するサービスを指す。またこの二つの総称としてホスティングサービスと呼ばれる場合もある。 - IAサーバー
PCサーバーとほぼ同義。インテルのCPUを搭載したサーバーのことを指す。Xeon(TM)などを搭載したIA-32と、Itanium(R)などを搭載したIA-64の2種類に大別される。 - SI
システムインテグレーター(System Integrator)の略。業務用システムの企画・構築から運用・保守までを総合的に行う業者のことを指す。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、DB2、 eServer およびxSeriesはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
Microsoft、Windows、Windows NTおよびWindowsロゴはMicrosoft Corporationの米国およびその他の国における商標。
Intel、Intel Inside(ロゴ)、Itanium、XeonはIntel Corporationの米国およびその他の国における商標。
Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
