掲載日 2005年1月14日

エス・ビー・エス株式会社(以下、エス・ビー・エス)は、コンサルティング、システムインテグレーション、ソフトウェア開発を行う企業です。同社では、それまで使用していた業務管理システムを、短期間でIBM eServer® xSeries® 206とSAP® Business Oneを利用したシステムに移行し、売り上げや外注費用などを一元管理化。利益状況のリアルタイムな把握を可能にし、業務効率の向上はもちろん、顧客へのサービス提供力の強化を実現しました。
お客様ニーズ
顧客への提案商品と社内システムという二つの視点
会社設立から20年目を迎えるエス・ビー・エスにとって、ソフトウェア開発は主業務の一つです。ただし、ソフトウェア開発におけるコード生成などの実務が、ここ数年間オフショア開発の増加によって中国やインドの企業に移り続けていることは、同社の売上にも大きな影響を与えていました。この状況から抜け出すため、エス・ビー・エスは、数年前よりSAP R/3などのERPパッケージによる開発を業務の一つに取り入れました。それでも、納品先の多くが中堅・中小規模の企業で占められ、ERPパッケージ市場への参入において後発であったこともあり、SAP R/3は売上に大きく貢献するものとはなりませんでした。
さらに、同社が社内システムとして利用している受発注システムは非常に機能が限定したものであり、会計システムは外部の税理士事務所に依存したものでした。また、システム間での連携が不足していたため、社内と税理士事務所でデータ不一致などが生じ、損益を把握することも容易ではありませんでした。
「従来のシステムは、契約ごとに取得した業務コードによって販売予定額を管理するのみで、入出金や請求はリンクせずに社内での覚書によって処理していました。つまり、受注と売上見込みを入力するだけのシステムです。このようなシステムであったため、営業行為から始まる一連の業務を一貫して処理できませんでした」と、エス・ビー・エスで第二システム事業部長兼ERPコンサルティング部担当を務める高鍋水城氏は説明します。
このような状況のときに、SAP Business One が登場し、IBMによるトータルソリューションの一つとして提供され始めました。SAP Business Oneは、中堅・中小企業を対象とした製品であり、同社が納品先としている多くの企業に適合するだけでなく、社内システムを刷新するために重要なものとなりました。
ソリューション

エス・ビー・エス株式
会社
第二システム事業
部長兼ERP
コンサルティング部
担当
高鍋水城氏
xSeriesとの組合せによる短期導入
エス・ビー・エスは、SAP Business Oneの市場競争力を見極めるため、国内外のさまざまなERP関連製品36種類を調査しました。
「適用可能な業務範囲、標準的な導入期間、コストなどの視点から調査しました。その結果、当社の要求を満足する製品はSAP Business One以外にありませんでした。
また、Visual Basic、 C、C++といった使い慣れた言語が利用できることが、アドオン開発において新たな人材教育という投資が必要ないことを意味していました」(高鍋氏)
この調査結果から、同社は、社内システム刷新のためにSAP Business Oneを選択しました。また、次の点からハードウェアプラットフォームとしてIBM eServer xSeries 206を採用しました。
- 長年にわたるハードウェアメーカーとしてのIBMに対する信頼
- 専属のサーバー保守要員を必要としない障害予知機能などといった機能による使い勝手のよさ
- ハードウェアに関係したSAP Business Oneに関する情報の入手しやすさ
- コストパフォーマンスのよさ
同社は、SAP Business Oneによるシステム開発のノウハウ習得も兼ね、受注から粗利益の管理までを一次開発の対象としました。実際の開発では、システム利用部門を仮想の要求元とし、そこからの要望、既存システムの分析、SAP Business Oneとの機能比較からフィットアンドギャップ分析を行い、提案書を作成するという工程が実施されました。
また、必ずしも入金と出金が1対1の関係にならない業務処理の特性を、柔軟性が高いSAP Business Oneの機能によって管理対象としました。「通常のシステム開発は、3~6カ月、長ければ半年なり1年以上の期間を費やします。このため、期間中に分割請求することもありますが、検収終了後に請求書を発行し、一定のサイトを経た後に実際の入金となります。
これに対して、外注のための費用、家賃、一般管理費などは、開発期間をとおして毎月発生します。このような状況を適切に管理するには、ある種の計画値による管理機能が必要となります」(高鍋氏)
ただし、SAP Business Oneには、このような機能は用意されていませんでした。
「そこで、計画値を管理するために、新たな勘定科目を設定し、それを使って損益計算書などを出力するように工夫しました。これによって、将来の入出金時期や金額、計画変更に伴う変化などを把握しています。これは、高い自由度を持つSAP Business Oneのデータの保持方法によるものです」(高鍋氏)
導入効果

SBSでの業務処理フロー
リアルタイムで利益状況を把握
SAP Business Oneによる社内システムの導入は、エス・ビー・エスにとって二つの側面を持っています。一つは、顧客の要望に応じたシステム開発を行うための提案商品としての面。もう一つは、自社の業務システムを刷新する製品としての面です。システム開発について高鍋氏は次のように言います。
「開発はR/3に比べて大幅に楽でした。データの移行もSAP Business Oneで用意されているツールを使うことで簡単に行えました。また、実務で利用するために、以前の社内システムとSAP Business Oneとの間でデータを受け渡すためのインターフェイスプログラム、メニュー項目の変更、入出力画面や帳票の追加などを、アドオン開発しました。アドオン開発についても、Visual Basic、C、C++が利用できることによって、余計な資源や費用が発生しませんでした」
「以前は、情報を得たとしたとしても、その情報を入力するシステムがないなどの問題から、中間決算時や年次決算時にしか利益状況を把握できませんでした。また、複数の開発プロジェクトが並行して実施されると、各プロジェクトの人員が状況に応じて流動的に増減し、部署や人員とプロジェクトの対応関係を1対1に保つことが難しくなります。このため、これまでは経験や勘に頼って各部署での売上や外注費用を予測しなければなりませんでした。
これに対して、新システムでは、得た情報をシステムに入力することでリアルタイムに粗利益レベルでの状態を把握できます。また、計画値による配賦規則をプロジェクトごとに設けているため、各部署での売上や外注費用も把握できています」
将来の展望
移行前のシステムとの比較による最終評価
今回のシステム開発に対して、同社は、人件費や交通費などの社内経費管理を加え、その結果を関係部門に配賦する二次開発を予定しています。これによって、エス・ビー・エスは、組織やプロジェクトごとの利益をより正確に把握できると考えています。また、すべての開発を終えデータを移行した後には、それまでのシステムとの並行運用による比較や評価を実施する予定であると、高鍋氏は説明します。
また、高鍋氏は、IBMの製品やサービスについて、次のような所感をお持ちです。
「IBMの製品は、信頼おけるものだと思っています。また、SAP Business Oneという新規商品の導入にあたって支援を得られることも助かりました。今後は、当社だけでは得られないグローバルな情報をIBMから受け、パートナーとしても活動していきたいと考えています」
お客様情報
1985年3月の設立以来、常に利用者の立場で、利用者の要求にあったシステムを、利用者とともに作り上げることを業務の主目的とされています。現在は、コンサルティング、システムインテグレーション、ソフトウェア開発を中心に、多くの顧客から信頼を得られています。
用語の説明
- オフショア開発
システム開発や運用管理などの費用を低く抑えるために、インドや中国などの企業の労働力を利用することです。 - ERP
経理、生産、販売、人事などを密接に関係づけ、統合して管理することで、企業経営を最適化するEnterprise Resource Planningの略です。 - アドオン開発
アプリケーションソフトウェアに追加する拡張機能を開発することです。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、 eServer 、xSeriesはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
SAP、mySAP、mySAP.com、および記載のその他のSAP製品およびサービスは、ドイツおよびその他の国におけるSAP AGの商標または登録商標です。
