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味の素株式会社

市場の変化に即応する柔軟な組織構造を手に入れることに挑戦


掲載日 2004年11月19日

外資系企業の参入や事業再編など、医薬事業を取り巻く環境は、劇的に変化しています。このような状況のなか、各企業は買収や委託などによって自社の強みの強化などを図っています。医薬用アミノ酸の製造・供給からスタートした味の素株式会社(以下、味の素KK)医薬カンパニーでは、この厳しい市場環境に立ち向かうため、味の素KKの医薬事業を司る「味の素KK医薬カンパニー」、「味の素ファルマ株式会社」、「清水製薬株式会社」の3社を異なる法人として存続させながら、各企業がそれぞれ持っていた機能や業務を再編・統合したバーチャル・カンパニーを作り、各社がそれぞれのコア・コンピタンスに集中し、それまで持っていた強みや企業文化を融合し、ニュー・カルチャーを創造することに取り組みました。これらのビジネス変革の実現にあたり、業界に関する深い見識を持ち、ITインフラだけでなく、企業文化変革に伴うさまざまな課題解決をサポートできるIBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社(以下、IBCS)を採用し、ビジネス・プロセスや組織デザインの設計、導入の過程で、3社共通の意識を根付かせることに成功しました。



お客様ニーズ ソリューション 導入効果

将来の展望 お客様の声 製品・技術情報

お客様ニーズ


相原桂一郎氏

味の素株式会社
代表取締役専務執行役員
医薬カンパニープレジデント
相原桂一郎氏


3社の企業融合で、最大限の競争力を発揮したい

昨日までの競合企業同士が合併吸収などによって新会社となり、一気にマーケットシェアを拡大していくことは、競争の厳しい業界においては、決して珍しいことではありません。しかし、文化も異なり、組織も異なる企業同士の融合は、さまざまな軋轢や無駄や不自由さを生み出し、合併によるシナジー効果が必ずしも最大になるとは限りません。
味の素KK医薬カンパニーは、2002年中堅製薬メーカーである清水製薬を買収。それまで同カンパニー製品の販売を担ってきた100%子会社の味の素ファルマと、新たに加わった清水製薬との3社をどのように連携させて、より高い市場競争力を得ていくのかが、大きなテーマとなっていました。

連携にあたり、3社を合併し新法人とすることも可能でしたが、味の素KK医薬カンパニーは、あえて2法人をそのまま存続、再編成し、バーチャル・カンパニーとして機能させていくことを選択しました。「いずれの2社も100%子会社ですから、味の素を親会社として、そのカラーに染めた一つの会社にするのは簡単です。しかし、今後予想される経営環境のさまざまな変化にも即応できる選択肢をできるだけ残したまま、より柔軟でシナジー効果を生み出しやすい組織変革を行いたいと考えたのです。商法上の3法人としてのメリットは生かしながら、あたかも1社のごとくオペレーションし、思い切った施策にも3社一丸となって取り組める、これが私たちの目指すバーチャル・カンパニーでした」と、味の素株式会社代表取締役専務執行役員 医薬カンパニープレジデントの相原桂一郎氏は言います。

味の素KK医薬カンパニーは、調味料・食品カンパニー、海外食品・アミノ酸カンパニーと並ぶ、味の素の事業の3本柱の一つとして、R&D、企画、生産機能を持っていました。その100%子会社として販売を担い、開発・企画・営業&マーケティング・生産機能を持っていたのが味の素ファルマです。買収した清水製薬も、当然まったくの別法人としてR&D、企画、生産、営業&マーケティングのフル機能を持っていました。
成り立ちも企業文化も異なるこの3法人を、バーチャル・カンパニーという新しい試みの中で、どう再構築し、最も効果的なパフォーマンスを生み出していくのか。そのための機能と人員の最適化のデザインを早急に行うことが必要でした。

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ソリューション

MPDR協議風景

MPDR協議風景

新しいビジネスモデルに向けた組織と人員の最適化をデザイン

味の素KK医薬カンパニーがIBMと共に改革を進めたのは、時代の変化に即応できる「バーチャル・カンパニー」という新しいビジネスモデルのデザインと実施です。3法人をそのまま存続させながら、その機能を整理し統合。各企業はそれぞれ特化した機能を強めた独立した存在でありながら、あたかも一社のように連携し、市場での競争力を高めていく。そして、お互いの良いところを吸収して、あらゆる変化にしなやかに対応する一つの新しい企業文化“ニューカルチャー”を作り出すことを目指したのです。
「バーチャル・カンパニーという方向性ははっきりしており、それに対する強い思いも持っていましたが、IBCSのコンサルタントと話し合いを進めることで、自分たちの目指すものに間違いがないという確信を得ることができました」(相原氏)

プロジェクトはまず3カ月を期限として、機能と人員最適化のデザインに取り組みました。ポイントは大きく三つ。まず、3社の最も得意とする分野にそれぞれの機能を特化すると同時に、3社の連携を図る機能を新設すること。次に各社の領域の整合性をとって再編、バラバラだった指示命令系統を整理すること。そして、これらを実行していくために必要な人数の具体的算出です。

3社連携の要となる事業戦略部の新設

3社の機能特化では、味の素KK医薬カンパニーがR&D、企画部門を、味の素ファルマが営業とマーケティング部門を、清水製薬が生産部門を担うことに決定。それ以外で各社の持っていたリソースは、特化した会社に移管します。コーポレート機能となる管理部門に関しては、3社の担当部署を東京の一つのオフィスに集合。共通で利用できるリソースを活用し、活発なコミュニケーションをとれるようにしました。3社の経営会議も一本化することで、より迅速な意思決定ができるようになりました。
そして、3社の連携を図る新機能として味の素KK医薬カンパニーの企画部門を発展させた「事業戦略部」を新設。3社をバーチャル・カンパニーとして運営する上で、連携を図る新機能の必要性は認識していましたが、その機能を改めて明確に定義し設置したのです。

本音レベルでの意識改革の推進

事業戦略部は、組織の再編を視野に入れながら10年計画を立案。そのための情報収集と資料作成が急ピッチで行われました。
IBMのコンサルタントは、そのプロセスにおいても、常に現場に深くコミットメントし、メンバーとの本音レベルでのやりとりが続きました。
「バーチャル・カンパニーだからこそ、個人の意識レベルに、改革への意識がどれだけ早く深く浸透し、共有できるか、つまりマインドセットが重要だと考えていました。この課題に深くコミットしようとするIBMコンサルタントの真剣で妥協のない姿勢をメンバーが肌で感じたことで、困難な作業への取り組みにも加速がつきました」(相原氏)

MPDR機能を重視した組織再編

各社の機能を特化すると同時に、各社の業務領域の整合性を取るような組織に組みなおし、各機能がスムーズに連携できるようにしました。この際に重視したのが、MPDR機能という考え方。つまり、マーケティング・営業、生産、開発、研究という機能が同じレベルで意思疎通をし、全体を最適化できるような組織作りでした。
「MPDRは国内某大手製薬メーカーの戦略をうかがって参考にしたのですが、1社内での部門連携による最適化ではなく、3社がその社の枠を超えて最適化を目指したわけです。そのため、トップだけでなく、現場レベルでの全体最適化が実現できるような組織に、機能をきちんと定義し再編していきました。」(相原氏)
各分野がそれぞれの最新情報をアウトプットしながら、最適化に向け有機的に連携していくわけですが、MPDRというように、マーケティング・営業機能が最初に来ていることも重要でした。まず、顧客ありきの技術であること。トップレベルの技術力を持つ味の素KK医薬カンパニーだからこそ、忘れてはならない視点です。組織再編後の必要人数の具体的算出には、IBMの方法論の一つであるActivity Based Management手法を活用しました。

※MDPR:Marketing(国内外営業)、Production(生産)、Developement(開発)、Research(研究)の頭文字による略称

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導入効果

キーワード

バーチャル・カンパニーの社員が目標を共有する仕組み作りを実践

具体的な目標設定で、個人の意識改革が実現

3カ月間にわたったプロジェクトで、バーチャル・カンパニーとしての機能と人員の最適化デザインは予定通り終了。現在は、そのデザインの実現段階にあり、組織の再編と業務の見直しで、直間比率も内資系企業としてベストな数値になりつつあります。

「2005年までの目標は、バーチャル・カンパニーとして、売り上げをはじめ、コスト、スピードなど生産性に関わる指標を30%改善すること。具体的な数値目標の達成を目指して、自分たちが各機能として、どのように生産性をあげていくのか、勝(丸の中に勝) チャレンジ30 というキーワードのもと、一人ひとりの意識変革も確実に進んでいます。」(相原氏)

各社が機能特化したことで、各社で自分たちがやるべき役割が明確に見えてきました。そして具体的に高い数値目標を掲げることで、達成のために個人も過去にとらわれない発想で、意識そのものが変革するプロセスを経験しています。特に若手社員の当事者意識の向上は目覚しく、結果的に組織全体の活性化につながっているようです。


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将来の展望


さらに自由で柔軟な発想で新しいビジネスモデルへ挑戦

味の素KK医薬カンパニーの事業領域は、味の素の核となる技術分野でありながら、その歴史の中では、日が浅い領域でした。「味の素」というブランドを生かしながら、「味の素」だからできる医薬ビジネスは何か。同カンパニーには、とらわれる過去がない分、自由な発想ができる強みを持っていました。コア・コンピタンスへの集中と、環境変化への即応性と柔軟性を追求した組織変革が、今回のバーチャル・カンパニーへの挑戦です。

「現在はホップ・ステップ・ジャンプでいえば、ステップの段階にあります。2005年中にはバーチャル・カンパニーとしての当初の目標を確実に達成して、2006年からまた新たなビジネスモデルに挑戦していきます。」(相原氏)

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お客様の声


経営の「想い」を共有し、短期間に具体化する力こそがバリュー

「私たちがMPDR機能を意識し組織を再編したのは、どんなに高い技術力があっても、まず顧客ありきだと考えるから。
ですからコンサルタントのバリューも、自らの手法やテクニックに顧客企業をあてはめるのではなく、経営者が実現したい「想い」までをきちんと共有し、どこまで深くコミットメントできるかにあると思います。
これは私の個人的な考えですが、コンサルタントは使い切ることこそが大事だと考えています。そのためには、まずは自分たちがオープンになって、到達地点のイメージのすり合わせをこまめにしながら、あとは結果を出してもらうことに専念してもらって、任せきれるかどうか。教科書も過去もない中、リーダーとしての決断に確信を持たせてくれて、フォローしてくれる、そういうコンサルタントが必要です。
今回のプロジェクトで、IBMのコンサルタントは、まさにそういう存在だったといえるでしょう。」(相原氏)

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製品・技術情報

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本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。

IBM、IBMロゴはIBM Corporationの商標。
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