掲載日 2005年2月2日
お客様から信頼される、魅力ある総合金融サービスを目指して設立されたソニーフィナンシャルホールディングス株式会社。ソニー損害保険株式会社、ソニー銀行株式会社とともに、その傘下にあり、中核を担っているのがソニー生命保険株式会社(以下、ソニー生命保険)です。
2000年、同社は契約者向けのWebシステムをサービスイン。このシステムは、従来から導入していたオープンメインフレームのIBM eServer zSeries(以下、 zSeries)上でミドルウェアのWebSphere Application Server for z/OS(以下、WAS for z/OS)を稼働させています。これは「既存業務ロジック(COBOL)を活用して、Webで24時間、いつでもお客様にサービスを提供するために、信頼できるプラットフォームを選択したい」というのが大きな理由でした。
またこの2製品により「ビジネス規模拡大への対応」、「信頼性」、「災害対策」、「コスト」などの点でもメリットが挙げられています。
この事例では、ソニー生命保険のシステム運用を統括する河村芳樹氏(業務プロセス改革本部 情報システム2部 統括部長)に、その実際を伺いました。
目次
お客様ニーズ

業務プロセス改革本部
情報システム2部
統括部長
河村芳樹氏
メインフレーム上の既存アプリケーションを活用して、Webによるお客様へのサービス提供を行いたい
ソニー生命保険では、2000年に、Webを利用して、お客様が契約内容を照会できるシステムを構築しました。システム構成は、メインフレーム上にWAS for z/OSを採用。その理由を、河村氏は以下のように述べています。
「既存プログラム資産の再利用と基盤の信頼性を重視しました。信頼性では、分散系でメインフレームの信頼性を実現させるには、二重化による多額の投資が必要で、運用人件費の観点からも、使い慣れたメインフレームで運用を行いたかったのです」
またメインフレームへの集中を重視する視点として「データの一元管理と活用」について述べています。
「生命保険会社は、お客様のデータを保持する期間が長いのが特徴です。例えば30歳で加入したお客様が、70歳までの契約をするとなると、データの保持期間は40年間。その間にも契約データを基に追加や変更を伴うことがあるため、プラットフォームや開発言語を変えるのは大きなリスクが伴います。つまりデータの一元管理と、COBOLによる既存資産の有効活用が必要になるのです」
ソリューション
既存資産の活用、並列シスプレックス、災害対策も考慮されたシステム
現在のシステム構成は「自社開発しているものはzSeriesで動かし、パッケージでプラットフォームが限定されているもののみ、zSeries以外で動かす」という方針で、データセンターにzSeries 900を2台(3プロセッサーと1プロセッサーモデル)導入。災害対策のためにオフサイトセンター(バックアップセンター)を設け、zSeries 800(1プロセッサーモデル)を1台設置しています。
- WAS for z/OSを本番区画(フロント)に導入して、オープンな環境を構築。お客様や営業・代理店は、Webブラウザーを介して、本番区画(バック)にあるCOBOLで開発した既存アプリケーションを利用できる。
- データセンターのzSeriesについて、WAS for z/OSが障害停止しているケースを想定し、本番区画(フロント)を並列シスプレックスで構築。
- 通常業務で使用しているzSeries 900(3CPU)が停止した際には、シスプレックス構成のもう1台のzSeries 900(1CPU)で業務を継続して稼働させることができます。1CPUでは処理能力が不足する場合はCUoD機能により、4CPUまで活動化させることができます(システムを停止させることなくCPU処理能力を増強可能)。
またデータセンターのzSeries 900が2台とも停止した際でも、オフサイトセンターのzSeries 800(1CPU)を稼働させ、業務を再開することが可能です(同じく4CPUまで活動化可能)。※CUoD(キャパシティー・アップグレード・オン・デマンド)
といった特徴が挙げられます。WAS for z/OSの並列シスプレックスとほぼ同等の環境は、IA/UNIXサーバーでもWAS ND(WebSphere Application Server Network Deployment)を利用して実現できますが、「当社で試算してみたところ、既にzSeriesを保有している場合は、WAS for z/OSの構成のほうが、コスト面で有利な結果が得られました」と話しています。
導入効果
既存資産活用、信頼性、コスト、サービスやビジネス拡大など、zSeries、WAS for z/OSならではのメリット
導入に関して、「日本IBMのクオリティーを追求する姿勢や、サポートに対する責任感を評価しています。zSeriesとWAS for z/OSという先進的な取り組みは、当社のシステム部員たちも、やりがいを持って取り組んでいました」と河村氏は語っています。
メリットについては「COBOLのビジネスロジックを使い続けられるのが大きな利点です」と話しています。同氏が述べているメリットをまとめると次のようになります。
- 既存資産活用
パッケージから自社構築への切り替えや、2000年の契約者向け契約内容照会(Webシステム)、2001年の営業社員や代理店向け契約内容照会(Webシステム)、同年の印影(印鑑)イメージを携帯画面に表示するシステムなどといった、多様なサービスは既存の業務ロジック(COBOL)を活用。プレゼンテーション層(Webや3270画面など)のみ新規開発で構築する。結果として、安価かつ短期でのシステムサービスインを実現 - 信頼性
2000年度からのzSeries上でのWAS for z/OSによるサービス開始以来、4年が経過しているが、高い稼働率を実現 - ビジネス規模の拡大に対応
1995年~1996年当時と比較して、個人保険契約は3倍以上、お客様からのサービス申し込みは10倍以上といった規模の拡大に、システムのアプリケーションや設計変更なしに、ハードウェアの変更やCPU追加で対応できる。迅速な対応はもちろん、リスクを伴わない安心感が運用担当にはありがたい - コスト
保険収入(他業種の売上高に相当)に含まれるシステム経費率は、2003年度でおよそ0.6%。生命保険業界平均を大きく下回っており、システム経費率を下げるためにzSeriesの導入が貢献している
将来の展望
コストや生産性向上を踏まえた今後の展望
- ソフトウェアの従量課金制
「ソフトウェアの従量課金には必ず取り組んでいきます。コスト面から考えると採用しない理由はありませんから」と語る河村氏。実際に2005年4月からサービスイン予定です。
「そのほかにもさまざまなサービスがありますので、zSeriesの採用をお考えの方は、移行費用と併せて、こうしたメリットも考慮して、検討することをおすすめします」
「試算ではハードウェア能力をすべて使用する場合でも、ハードウェア能力の70%を使用する場合でも、TCO削減効果が期待できます」 - zAAP(zSeries Application Assist Processor)
「今後はWeb化へシフトしていくと考えています。社内向け営業アプリケーションを拡充させていくことが当面の課題となりますが、Javaを利用したさまざまなサービスのWebアプリケーションが増えれば、zAAPが活用できます」
お客様情報
お客様名:
ソニー生命保険株式会社
所在地:
〒107-8585東京都港区南青山1-1-1新青山ビル東館3階
URL:
『愛と信頼に基づく相互扶助の精神こそ、生命保険の本質である』というライフプランナー憲章に従い、お客様一人一人にオーダーメイドで、質の高い総合的な金融サービスを提供しています。ライフプランナー(営業社員)やパートナー(募集代理店)が、年齢や家族構成、家計収支、お子さまの進学プランなどから最適な生命保険をつくり上げます。また対外的な評価としては、ビジネス誌『週間ダイヤモンド』の生損保顧客満足度ランキング生保版において、第一位(2004年7月10日号)を獲得し、今後も顧客サービスの充実・徹底を目指していきます。
用語の説明
- 並列シスプレックス
シスプレックスの拡張としての結合技術により、データ共有や負荷の動的均衡を高速で図りながら、複数のプロセッサーやサーバー上のz/OSまたはOS/390を単一イメージで稼働させることが可能 - CUoD(キャパシティー・アップグレード・オン・デマンド)
システム構築時に予備のプロセッサーをあらかじめ搭載しておくことで、アクセスが急増しシステムの処理能力を上回りそうな場合や、万が一CPUに障害が発生した場合に、予備プロセッサーを追加で起動させる機能 - zAAP(zSeries Application Assist Processor)
JAVAコード専用の新しいプロセッサー。z/OSが稼働するzSeries上で経済的なJAVAアプリケーションの実行環境を提供。zAAPのキャパシティーに対して、IBMソフトウェア料金は発生しないため、WASやDB2のJAVAコードをzAAPで稼働させることにより、通常のプロセッサーだけで稼働させる場合と比較してコスト低減が可能
製品・技術情報
ハードウェア
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 ソニー生命保険株式会社(1.8MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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