掲載日 2005年4月26日

290余年に渡って積み上げてきた「信用」と「実績」。
国内最大の食品流通企業、国分株式会社が誇るこの力を生かし、営業力のさらなる強化を実現するためにITができるプランの一つが、“スムーズな情報活用を促す環境”=“ポータル”の導入でした。
例えば、各所に分散管理されている膨大な量の顧客情報を、全国から検索・閲覧可能にする。
例えば、ログインするだけで担当するお客様の「その日の数字」がすぐに閲覧できるようにする。
——同社では、上述の変化によって、いったいどれだけの効果が得られるか子細に検討した上でポータルの導入を決定。
システム構築から、運用・保守にいたるまでのコストパフォーマンスと信頼性の観点から選ばれたのが、IBM WebSphere® PortalをLinux®を搭載したIBM eServer BladeCenter™上で稼働させるという組み合わせでした。
お客様ニーズ

国分株式会社
情報システム部
副部長
阿部 興人 氏
トップであり続けるための、BPR推進
「流通の再編が加速」
お得意先である小売業も同業者も大型再編が進行しており、規模の拡大と系列化、機能競争が激しさを増しているのが食品流通業界であると、国分株式会社 情報システム部の阿部 興人氏はいいます。
「お得意先では、消費者ニーズへの対応と新たな需要創造に向けた魅力ある売場作りとローコスト化に向けた熾烈な競争が繰り広げられています。その中で、弊社の品揃えは60万アイテム。全国のお得意先に対して、ローコストで流通させる商売を行っています。
お客さまにとっては『国分から売場や物流などの提案が得られる』、『品揃えが豊富で、ニーズに対応した商品がある』というメリットを感じていただけるよう努力を続けることが重要なのです。」(阿部氏)
こうした状況の中、国分株式会社では業界トップのシェアと体力を維持すべく、全社的なBPRを推進。
その一環として営業のさらなる効率化を実現するべく、社内に蓄積された膨大な情報資産を有効活用するためのツール=“ポータル”の導入を決定。
慎重に協議を重ねた結果、「ポートレットが豊富で、既存システムからの移行がスムーズである」IBM WebSphere PortalをLinuxを搭載したIBM eServer BladeCenter上で稼働させるという選択をされました。
目標は、「多忙を極める営業担当員が、2クリック以内で、迷うことなく必要な情報にたどり着ける」ポータルの構築でした。
ソリューション

国分株式会社
情報システム部
課長
沼倉 正 氏
「情報を効果的に表示する方法」を慎重に検討
国分株式会社でポータルの導入が決定されるまでには、実に2年近い月日が費やされたと、同社 情報システム部 沼倉 正氏はいいます。
「以前からLotus® Notes® / Lotus Domino®を中核としたデータベース『KOMPASS』を活用していたこともあり、『ポータル導入でどれだけの効果をあげられるのか?』という疑問が存在していました」
さらに、営業推進部 加納 和夫氏が「システムで商いが決まるわけではありませんから」と続けます。
「商いに重要なのは、各営業担当者が積み重ねてきた信用や日頃の誠意です。対して、システムは営業活動を支援するためのツールに過ぎません。『便利そうだ』というだけでは導入できませんよね」
「『KOMPASS』内には20以上の営業支援コンテンツやデータベースがあり、欲しい情報にたどり着くまでのステップが多すぎたことは確かです。
しかし、そうした状況を改善するとしても、どんな情報を、どんな形でプッシュしてあげれば効果が現われるのかということを子細に検討する時間が必要だったのです」(沼倉氏)
また、Linuxの導入も同社にとっては大きなチャレンジであったと、沼倉、加納 両氏が口をそろえます。
「メーカーの商品であれば、当然サポート体制も整っていますよね。しかしオープンソースであるLinuxの場合、サポートが追いつかずに我々の負担が増してしまうのではないかという不安がありました」(加納氏)
「しかし実際にはトラブルもなく、IBMさんにもしっかりとサポートしていただけて、安心しています(笑)」(沼倉氏)
導入効果

国分株式会社 営業
推進部
係長 加納 和夫 氏
営業員の“資産”を共有する、「お得意様カルテ」
「設計に携わった身として手前みそで申し訳ないんですが、実際に使ってみて『これほど便利なのか』とも思いましたね(笑)。
営業担当者が一日にこなす“事”の量というのはものすごいのですよ。ですから、お客様の数字ですとか、会社からの新規情報などをキャッチするのは、朝のほんのひとときしかないんです。
そのため、今までは探し当てることさえできなかった情報もあったのですが、今はポータルを起動すればすぐに、自分が担当しているお客様の数字や会社がプッシュしている情報が目に入ってくるようになりました。便利ですよ」(加納氏)
「ユーザーIDとパスワードによる認証で、パーソナライズされた情報がパッと表示されることが、大きなポイントですよね」(阿部氏)
そして、新たに構築されたコンテンツの中で特筆すべきものに、「お得意様カルテ」というコンテンツがあるといいます。
「ポータルの機能を利用して、各所に分散していたお客様情報を全国から検索・閲覧できるようにしたものが『お得意様カルテ』です。
お客様の数字やパーソナリティーの情報、過去の経緯など、さまざまに分散されていた情報を、キーワード検索で集められるようになっています。今までは各人の頭の中にしかなかった経験や知識が、オープンになった形ですね」(沼倉氏)
「例えば北海道で担当者がメモに残していたような情報も、これからはデータベースで共有することができます。この機能によって例えば、北海道の営業が書いたメモと沖縄の営業が書いたメモを容易に一致させることができるため、より手あついサービスの提供へとつながると考えています」(加納氏)
将来の展望

国分株式会社
情報システム部
北野 洋平 氏
さらに使いやすくカスタマイズして、全国展開を
同社では2005年4月22日からこのポータルを全国の事業所の販売員約800人が利用し、年内には販売員以外の社員へも展開していく予定です。
「2004年9月から、ポータルを順次導入してきたわけですが、エンドユーザーに対する教育というのは一切行っていません。
ポータル内にあるコンテンツは今まで使用していたものばかりですから、抵抗なく使用してもらうことができています。これは非常に大きかったですね」(沼倉氏)
「ただ『KOMPASS』を操作していた習慣があるために、導入して最初の1週間ぐらいは問い合わせが来ますね。それが、導入して1カ月もすると『なかなかいいね』という好反応が聞こえてくるようになります(笑)」(加納氏)
また、インフラ面においても、懸念はないと同社 情報システム部 北野 洋平氏はいいます。
「コストを抑えるということを前提として、今回のシステムでは弊社で初めてBladeCenterとLinuxを採用しているのですが、今のところハードやOSによるトラブルは発生していません。
また、Linuxの利点として、連続運転の安定性やウイルスによる危険性の少なさということも実感しています」

国分株式会社
情報システム部
小林 智恵 氏
インターフェースを担当した同 情報システム部 小林 智恵氏は、「カスタマイズが容易であった」といいます。
「見せたい情報を、より多く見せるために、デフォルトで設定されていたタブなどを削除して領域を確保したりしたのですが、それほど深い知識がなくてもカスタマイズできるのが良かったですね」
「今後は、Webメールも導入して、すべての情報コミュニケーションがポータルで行えるようになる予定です」(加納氏)
「当初、ポータルのことをメニューの集大成だと勘違いしていたのですが、実際には我々情報システム部とエンドユーザーとの窓口として非常に重要なツールであることを実感しています。
今後は、さらにエンドユーザーの声を取り入れて、改良を重ねていきたいと思います」(沼倉氏)
お客様情報
1712年(正徳2年)の創業以来、290余年の歴史の中で、常に「信用」を第一とし、発展を続けてきた国内最大の食品流通企業。
卸売業のリーディングカンパニーとして、SCC(サプライチェーン・コンソリデート)というコンセプトを掲げ、中間流通機能の高度化と、わが国の「食」の最適流通に挑んでいます。

用語の説明
- BPR
Business Process Reengineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の略。業務の内容やプロセス、そして組織構造を分析し、再構築を行うことで最適化させることに重点をおいた考え方。多くの場合、高度な情報システムが採用される。 - ポートレット
ポータルと、ほかのアプリケーションとの連携を可能にする、小さなアプリケーション。WebSphere Portalでは、SAPやSiebelなどの代表的なアプリケーションに対応したポートレットも提供している。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、BladeCenter、 eServer 、Lotus、Lotus Notes、Lotus DominoおよびWebSphereはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
LinuxはLinus Torvaldsの米国およびその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
