掲載日 2005年4月28日

動力伝動用装置の総合メーカーである株式会社ツバキエマソン(以下、ツバキエマソン)は、株式会社椿本エマソンと株式会社椿本チエイン精機事業部が合併、2002年4月に設立された企業です。一社になったことにより、減速機を中心とした駆動系関連製品のほぼすべてをラインアップできることになりました。
この合併により、それまで別々に製品を生産していたときよりも、総合力を持った企業に生まれ変わったのです。しかし問題点も残っていました。別々の生産管理システムが同居したままだったのです。
そこで同社は生産管理システムの統一を検討。三社の製品を比較検討した結果、iSeries®モデル810の導入へと至りました。そして新生産管理システムは、iSeriesモデル810を用いたERPソリューション「iSeries Site生産管理」で構築することが決定されたのです。
サービスインは2004年1月。年末年始休業明けからの稼働となりました。出荷がややもたつくなど些細なトラブルもありましたが、迅速な対応によりそれも数日間で解消。その後はIBMのサービスを受けながら、現在にいたるまで安定稼働を続けています。
お客様ニーズ

株式会社ツバキエ
マソン
情報システム室
参与 山本雅彦氏
合併を契機とした生産管理システム統一を要望
2002年4月、二つの会社が統合されツバキエマソンとして新たなるスタートを切ることになりました。しかしそこで、「別々のシステムが同居する」という問題が生じたのです。
- 旧椿本エマソンのシステム
IBM eServer® iSeries®(AS/400®) - 旧椿本チエイン精機事業部のシステム
UNISYS 汎用機
「合併に際しては、財務・人事給与システムを旧椿本エマソンのAS/400に統合して先行運用することが決まりました。しかし生産管理システムに関しては、『まずは事業統合させることが優先』という観点から。当面は二つのシステムを共存させて運用させることで落ち着いたのです」(ツバキエマソン 情報システム室 参与 山本雅彦氏)
ほどなく社内も落ち着いてきたため、こんどは逆に生産管理システムを一つに統合しないと非効率だという意見も出てくるようになったと山本氏は話します。「合併前、旧椿本チエイン精機事業部では、老朽化によるシステム入れ替えの検討がされていました。しかし、合併のためにひとまず棚上げにされていたのです。この時の検討結果をベースにシステム統合という観点から再度計画をスタートしました」
こういう経緯を経て、新たな生産管理システムの導入が検討されたのです。
ソリューション

株式会社ツバキエマ
ソン
情報システム室
システム1グループ
担当
副参事 浅見裕之氏
ソースが公開されカスタマイズができる
iSeries Siteに決定
ツバキエマソンの両生産管理システムには特徴的なことがありました。それは、生産形態の変化に対応するため、手組みでカスタマイズされたものが多かったことです。「『生産変化に対応しカスタマイズで柔軟に対応できる製品』であることが、新生産管理システム導入にあたっての重要ポイントであり、絶対必要条件でした。できるだけ我々自身の手でハンドリングできる“見えるシステム”というということが重要だったのです」(山本氏)
新生産管理システムの選定がスタートしたのは2002年夏のことです。「三社の製品を候補として絞り込みました。しかし合併してから稼働状況をみていたAS/400の処理速度が速く、コストパフォーマンスが高いマシンだという事を再認識しました。その点で、iSeries Site選択へのポイントは高くなっていましたね」(ツバキエマソン 情報システム室システム1グループ担当 副参事 浅見裕之氏)
新生産管理システム採用のために、以下のポイントが条件として挙げられました。
- カスタマイズできるようソースコードが公開されていること
- 社内要員でメンテナンス(開発)ができること
- 処理速度が速いこと
- 信頼性が高いこと
- 現在使用しているユーザー機器で運用できること
そして2002年10月。以上のポイントを満たす製品として「iSeries Site生産管理」の採用を決定、そしてiSeries上での新生産管理システムの構築がスタートしたのです。
ほどなく要件定義がスタート、外部設計、内部設計、開発、データ移行、そして2004年1月の本番稼働にいたるまで約15カ月という長期プロジェクトとなりました。「15カ月というと長いと思われるかもしれませんが、内部のすりあわせができたということでは妥当な期間だったと考えています。また、内部調整にも時間をとることができたため、システム変更体制は現場をうまく巻き込む協力体制を作ることができましたね」(山本氏)
「エンドユーザー様からの細かい要望はシステム室ですべて処理していただいたので、開発局面で迷うことはありませんでした」と話すのは、開発を担当した日本IBM関西ソリューション・サービス部アドバイザリープロジェクトマネージャー竹村宜久です。さらに、ビジネスパートナーであるサンテック株式会社システム担当部長北浦秀晃氏が「開発がうまくいったのはお客様の体制のおかげですね」と話します。
また、月例ミーティングにおいて、システム開発をする日本IBM、生産管理に詳しいサンテック、そして導入する側のツバキエマソン システムグループという三社が、だれに遠慮することがない議論をかさねたことも、納得がいくシステムの構築ができた理由の要因ともいえるでしょう。続けて、「三社の役割分担を明確化したこと。それの効果がたいへん大きかったですね」と4人は口をそろえて言いました。
導入効果

「iSeries Site生産
管理」を用いた
システム概要
処理時間の短縮とコストダウンで人員配置に
ゆとりも
原価計算が違う旧椿本エマソンと旧椿本チエイン精機事業部のシステムが一つに統合されたことで「合併シナジー効果が達成できた」と話すのは山本氏です。「管理面からいえば全社情報が一元化されたため、すべて同じ基準でみられるようになりましたね。また、すべてを一つの視点でみることができるので、改善策などを打ち出すことも容易になりました。生産管理システムもコストダウンもすることができ、その浮いた分でシステムまわりを拡充し、周辺システム開発がさらに出来るようになったのです」
統合の効率化は人員配置にも影響を与えました。統合前はシステム要員として6名、メンテナンス要員として3名が必要だったのが、統合後にはシステム要員として4名、メンテナンス要員として2名だけで済むようになったのです。「ハード的には安定したシステムであり、オープンな環境で開発しやすくなりました。そのため、以前より周辺システムの開発を進めることができるようになりました」(浅見氏)

iSeriesに統合され、
広々とした
現在のシ
ステム室
(画面左下が IBM
eServer
iSeries
モデル810)
そして、処理速度についても「iSeries Site生産管理」導入の結果、全般的に向上しています。とくに旧椿本チエイン精機事業部系製品に対しては、扱う数量が倍増したのにもかかわらず、処理時間は数分の1程度まで短縮できたのです。「導入前と比べて製品の品目は増えていますし、受注件数も約20~30%ほどアップしていますが、なんの問題もなくスムーズに処理されています。今だから言えますが、サーバールームの半分を占拠するほどの大きさで稼働していたシステムが、こんなに小さなiSeriesで大丈夫なのかどうか、正直最後まで不安でした(笑)」(浅見氏)
将来の展望
生産管理の次は製品情報(PDM)の統合へ
当初の目的であった生産管理システムの統合は、予定原価システムのリリースで一応の計画レベルに達しました。しかし、新生産管理システム構築の際、最小限まで機能を絞ったことで利便性が低下したままであったため、改善を図っている段階となっています。
「生産管理システムについては、ようやく固まりきったところです。そこで将来にむけて、製品情報(PDM)を統合・再構築しています。これが完成すれば製作指示と製品情報が1つになるので、販売系に情報を流していくというシステムが出来上がるということになります。製造業としてモノ作りのプロセスを開示することで、ユーザーに向けて迅速な対応ができる体制を作っていきたいと考えています」(山本氏)
さらに、「椿本チエイン側の営業オンラインシステムが変わるので、そのシステムへの対応もしなければ」と話す山本氏と浅見氏。ツバキエマソン情報システム室では、まだまだ多忙な日々が続きそうです。
お客様情報
2002年4月、株式会社椿本エマソンと株式会社椿本チエイン精機事業部が一つになり設立された、動力伝動用装置の総合メーカー。ギヤ減速機、遊星車方式変速機、トルク制御装置、電動シリンダ、そして、軸継手、機械式一方向クラッチ、電磁クラッチ&ブレーキなどの開発・製造・販売を行っています。世界の優れた技術による商品開発、最適の調達により、ベストコストプロデューサーを目指す「開発創造企業」です。
用語の説明
- AS/400
IBM eServer iSeriesの前身にあたる、IBMのオフィスコンピューター(オフコン)に付けられていたシリーズ名のこと - PDM
「Product Data Management」の略で「ピーディーエム」と読む。工業製品の開発工程で設計・開発に関わるすべての情報を一元化して管理し、工程の効率化や期間の短縮をはかる情報システムのこと
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、 eServer およびiSeries、AS/400はInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
