掲載日 2005年7月5日

アニメーションを製作・販売している東映アニメーション株式会社(以下、東映アニメーション)は、1960年代から現在にいたるまで、数多くのTV用アニメーション映画を手がけてきました。そこからは「ひみつのアッコちゃん」「キャンディ・キャンディ」「Dr.スランプ・アラレちゃん」「ドラゴンボール」「美少女戦士セーラームーン」「ワンピース」など、さまざまなヒット作品が生まれ、膨大なコンテンツを保有する企業へと成長をとげました。そして創立から約半世紀がたった今日、保有コンテンツは8600本を超えて日本では最大、世界でも有数のものとなっています。
しかし、膨大なコンテンツを既存システムで体系的に管理することは困難でした。また、海外売上比率も増加しており、従来の会計システムでは対応が難しくなってきていました。そこで、IBMの統合アプリケーション・サーバーIBM eServer® iSeries®と、SAP社のERPアプリケーションmySAP ERPを導入。業界初となる、マルチユースのコンテンツ収益管理システムを提供できるようになりました。
お客様ニーズ

東映アニメーション
株式会社
情報システム室 室長
吉谷 敏氏
コンテンツの収益状況や活用度を体系的に
管理できるシステムが必要に
東映アニメーションでは、北米を中心とした海外売上比率増大によるグローバル化が進み、国際会計基準にも、迅速かつ柔軟に対応していかなければなりませんでした。また、DVDやインターネット配信といったデジタルメディアが急速に拡大し、それにともなう著作権ビジネスの多様化に対応するためにも、マルチユースのコンテンツ収益管理システム導入が急務となっていました。
「東映アニメーションでは、海外での売り上げ比率を将来的には50%にアップさせたいと考えています。しかし、既存の国産会計システムでは外貨換算や国際会計基準などのグローバル化に対応することができませんでした。そこでまず、会計システムから変えていくことにしました」と話すのは、東映アニメーション情報システム室室長の吉谷氏です。
「次に著作権料管理の必要性を考えました。というのも、著作権ビジネスは『どの権利者に対して著作権料をいくらお支払いするのか?』といった計算が非常に難しいのです。なぜかというと、コンテンツというものは、二次利用、三次利用、さまざまに活用され、その利用方法によって配分金のパーセンテージが違うからです」(吉谷氏)。
そのため、著作権料の計算と管理ができるシステムも必要となったのです。さらにもうひとつのニーズもありました。コンテンツ毎の年間収益管理や生涯収益管理の必要性です。「物販会社であれば、商品別、得意先別の管理で済んでしまうと思います。しかしコンテンツの場合、メディアごとの売上軸とともに、会計年度を超えた時間軸や国別収益の地域軸も合わせたマトリックスによる収益管理が必要となってきます」(吉谷氏)
そこで、これらのニーズすべてを解決できるソリューションとして、マルチユースのコンテンツ収益管理システム導入の検討がはじめられました。
マルチユースのコンテンツ収益管理システム導入に対する東映アニメーションのニーズ
- 会計システムのグローバル化
- 配分金の自動計算
- 会計期間を超えたコンテンツ別収益管理
ソリューション

「ふたりはプリキュ
アMaxHeart」
毎週日曜日
朝8時30分より
ABC・テレビ朝
日系列で放送中
多言語、多通貨に対応したmySAP ERPを選択
マルチユースのコンテンツ収益管理システムを構築するにあたってERPパッケージの導入が検討されました。そこで東映アニメーションが選んだのは、SAP社のmySAP ERPです。
「単一データベースの中でリアルタイムにデータを見たいという要望があったため、それができるERPの導入を考えました。また、グローバル化による『海外売上比率拡大』という目標もあり、外貨換算などが簡単にできる多言語、多通貨、国際標準準拠のERPパッケージが絶対条件でした。そう考えたとき、mySAP ERPがもっとも適合していたのです。さらに、世界における導入実績や将来性、強力な拡張性もSAP社のERPパッケージを選択した決め手となりました」(吉谷氏)
東映アニメーションがmySAP ERPを選択した理由をまとめると以下になります。
- リアルタイムのデータ管理
- 多言語、多通貨への対応
- 世界中での導入実績
- 強力な拡張性

東映アニメーション
株式会社
情報システム室
平川賀子氏
信頼性が高くTCOが低いiSeriesの導入で
システムを一元化
そして、mySAP ERPを稼働させるサーバーとして選ばれたのはiSeriesです。「ビジネス・パートナーさんからはPCサーバーを勧められたのですが、それまで20年近くAS/400を稼働させていたので、その信頼性の高さを評価していました」と話すのは、平川賀子氏(東映アニメーション情報システム室)です。
iSeries導入の決め手について吉谷氏が続けます。「PCサーバーとiSeriesを比較して5年間のTCOを算出して結論をだしました。たしかに導入に関していえば、iSeriesのコストメリットはあまり大きくありませんでした。しかし『稼働してから我々のスキルだけでやっていけるのか』と将来を見据えた見えないコストも考慮してiSeriesを選択したのです」
また、平川氏はiSeriesの堅牢なセキュリティー機能にも魅力を感じたと話します。「基幹系システムなので、一番怖かったのがウイルス。そこで、高度なセキュリティー機能を搭載しているということもiSeries選択の後押しをしてくれました」
東映アニメーションがiSeriesを選択した理由をまとめると以下となります。
- 運用実績による信頼性の高さ
- IT部門で蓄積されたAS/400®のスキルを有効活用
- サーバー以外のコストも含めた総合的なTCOの低さ
- セキュリティー機能の高さ
導入効果

東映アニメーション
システム室
データや会計がリアルタイムに連動したことで
社員の意識変革も
新基幹業務の本稼働は2005年2月のことです。「現在ではiSeriesを開発、本番、テスト環境という三つのパーティションに区切り各業務を並行稼働していますが、まったくパフォーマンスを意識せず、同時に稼働を続けています」(吉谷氏)
本稼働から3カ月あまり。そのため具体的な定量効果まではまだ出てきていません。しかし、以前は一式で起こしていた伝票が、データの入口から明細の会計伝票を起票することによる効果もいくつか出てきています。
「前会計システムに比べると本当に見やすくなりました。ドリルダウンして末端の伝票まで見られるので、目的の伝票をすぐに探し出すことができます」と平川氏は話します。リアルタイム入力によって、作品別、事業別、得意先別、国別にオンデマンドな収支管理を実現することができたのです。また、マニュアル作業だった著作権の収益配分計算も自動化でき、リアルタイムに会計と連動することも可能となりました。それまでは不可能だったメディア別や国別のコンテンツ収支管理や、二次利用、三次利用といったマルチユースでの予実管理が可能となったのです。また、収益配分の自動計算と会計とをオンデマンドに連動できるようになったことで、ワンソース・マルチユースと管理業務の合体が実現したのも大きなメリットです。
さらに、社員の意識変化という導入効果も現われつつあります。「リアルタイムでの入力を要求されるようになり、全社的に『スピード感のある業務』体制へと変化しはじめてきています。著作権料に係わる契約内容を登録したために、契約に対するコンプライアンス意識強化という思わぬ効果もありました」(吉谷氏)
将来の展望
インフラ系の充実とともにデータベース化を進める
また、既存作品の統合データベース化も同社での懸案事項となっています。「現在でも、従来システムによる『マルチメディア・データベース』というデータベース・サーバーが稼働しているのですが、収録作品は不完全なものです。今後、システムを一つのデータベースに統合していくことを検討しています。大量の作品データをデータウェアハウスとして蓄積すれば、海外戦略に活用できるというビジネス価値を創造できると考えています」(平川氏)
今後は膨大なコンテンツデータから、より多くの価値を導き出すことでビジネス・イノベーションを推進する、オンデマンド・ビジネスを実現していきます。
お客様情報
1956年、東洋のディズニーを目指して会社設立。その後数多くの長編アニメーション映画、TV用アニメーション映画を製作しているコンテンツ創造企業です。アニメーション映像は各種メディアに販売しているほか、著作権をもとにした版権事業、関連事業などを営んでいます。また、海外でも同様のビジネスを展開しています。
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用語の説明
- ERP
企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理、経営の効率化を図るための手法・概念で、「企業資源計画」と訳される。これを実現するための統合型(業務横断型)ソフトウェアのことは「ERPパッケージ」と呼ぶ - データウェアハウス
大量に蓄積された業務データの中から、各項目間の関連性を分析するシステムのこと。単純な集計では明らかにならない各要素の関連性を探し出してくれる
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、 eServer 、iSeries、AS/400はInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
