掲載日 2005年4月1日

東北電力株式会社
本店ビル「地域社会との共栄」「新しい企業価値の創造」を経営理念に、東北6県と新潟県に安定した電力供給を行っている東北電力株式会社(以下、東北電力)。
これまで、東北電力では2つの電算センターを保有し、この2センターの役割を同等に位置付けて、両センターに設置したメインフレームで営業や配電資材などに関する基幹システムをそれぞれ個別に運用してきました。
しかし、情報システム運営のさらなる効率化を図るため、2つの電算センター内のメインフレーム、およびその関連設備の統合を計画。さらにこれと並行して、管理危機・災害対策の観点から、最新のIT技術を活用した先進のバックアップ・システムの構築に取り組み、平成17年1月より運用を開始しました。
このセンター統合と災害対策システム構築において、中心となる基幹系システムが稼働しているプラットフォームがIBM zSeries®です。
お客様ニーズ

東北電力株式会社
情報通信部
(情報プラットフォーム)
課長 亀井 秀敏氏
IBMのセミナーで出会った、センター統合と災害対策を同時に解決するシステム
「昭和53年の宮城県沖地震以来、バックアップ・システムの必要性を強く意識してきましたが、その後、平成2年と平成8年に免震構造を備えた2つの電算センターが完成。主要システムが分散して稼働する体制が整いました」。災害対策への取り組みの契機について、東北電力情報通信部課長の亀井秀敏氏はこのように語ります。
しかし当時の災害対策は技術上の制約もあり、重要データのバックアップを定期的に遠隔地にトラックで搬送し保管する方式にとどまっていました。
やがて、社会経済の情勢や電力自由化といった環境の変化に伴って、情報コストの効率化が課題となり、電算センターの統合化案が浮上。しかし、センター統合はリスク管理の観点からは危険度が増すことでもあるため、災害対策にも同時に取り組むべき、との流れが生まれてきました。
「ちょうどその頃、IBMの災害対策セミナーに参加し、GDPS®(Geographically Dispersed Parallel Sysplex:広域分散並列シスプレックス)やXRC(Extended Remote Copy:拡張遠隔コピー)を活用した遠隔地間の高速バックアップの話を聞き、“これなら、センター統合にともなう安全・確実なデータ移行と、高度な災害対策が同時に実現できるのではないか”と感じました」と亀井課長。
そしてアイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス株式会社(IBCS)によるコンサルティングの段階からの検討を重ねた結果、「センター統合」と「本格的な災害対策システムの構築」を同時に行うプロジェクトが平成15年からスタートしました。
ソリューション

システムの概要
電力業界では初となるGDPS/XRCでの災害対策システムを本稼働
センター統合に伴い、2つの電算センターは、基幹システムの本番機が稼働する「電算センター」と、そのバックアップを担う「バックアップ・センター」に再編。バックアップ・センターには新たにIBM zSeries 800が導入されました。
その上で、電算センターとバックアップ・センター間は、東北電力のダーク・ファイバーとDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重化装置)による専用の高速ネットワークで接続し、電力業界では初めてとなるGDPS/XRCによる本格的な災害対策システムを構築しました。
XRCは、本番機側とバックアップ機側をブロードバンド・ネットワークで結び、両センターのエンタープライズ・ストレージ・サーバー間でほぼリアルタイムのデータ更新(ミラーリング)を行うソリューションです。
また、GDPSは、XRCのようなディスク・ミラーリングを、数百ボリュームといった大規模な環境で実施する際の運用を支援します。さらにGDPSは、万一の被災時のシステム再開手順を自動化する機能があります。
これにより、本番機側とバックアップ機側の両方で常に整合性の取れた最新データが保持され、被災時でもデータ・ロス時間を数秒以内に最小化して、システムを短時間内に再稼働することが可能となります。
導入効果

東北電力株式会社
情報通信部
(情報プラットフォーム)
副長 酒井 充氏
情報コストの効率化要求にも的確に応える災害対策システム
今回、バックアップ・センターのメインフレームにIBM zSeries 800を採用した理由について、東北電力情報通信部副長の酒井充氏は次のように語ります。
「z800に注目したのは、万一の災害時などに必要な処理能力を動的に追加できるCBU(Capacity Backup)という新機能を備えているから。CBUによって、ハードウェアのランニング・コストを抑えられる点が魅力ですね」
さらにミラーリング方式にXRCを採用したことについては、「営業系の基幹システムは、トランザクションでいえば毎日100万件を超えるかなり大きなシステムです。そこで、そのパフォーマンスへの影響を極力抑えたいとの意図から、非同期型のXRCを採用しました」(酒井副長)
XRCはバックアップ専用機の場合には、ソフトウェア・ライセンスとしてはz/OS®.eだけで稼働可能なため、ソフトウェアのランニング・コストも安価で済む、というメリットを備えています。このように、東北電力の災害対策システムは、情報コストの効率化の要請にも的確に応えるシステムとなっています。
将来の展望

東北インフォメーション
・システムズ株式会社
プラットフォーム・
ソリューション事業部
プラットフォーム
技術グループ
ゼネラルマネージャー
大友 和史氏
東北電力の全面協力とIBMのサポートで構築は順調、サービスイン後も安定稼働
今回、センター統合と災害対策システム構築の実作業を担当したのは、東北電力企業グループの一員である、東北インフォメーション・システムズ株式会社です。システム構築のリーダーでプロジェクト管理を担当したゼネラルマネージャーの大友和史氏は次のように語ります。
「今回のプロジェクトは、サービスインまでに約2年を要しましたが、その間リハーサルも含めて200回ものシステム切り替えを行い、一度も大きなトラブルはなく終了しました。この規模のプロジェクトでは珍しいことだと思います。
その第一の要因は、お客様である東北電力さんがプロジェクト管理に全面協力してくださった点にありますが、同時に、IBMにも非常によく協力していただき、技術的にも高度な支援をしていただいた結果だと考えています」
平成17年1月にサービスインした今回の災害対策システムは、本稼働後約3カ月を経過した時点で、システム全体やGDPS/XRCなどのトラブルもまったくなく、きわめて安定した稼働を続けています。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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