掲載日 2005年9月22日
カメラ、オフィスイメージング機器、プリンターなどでおなじみの、世界有数の光学・電子機器メーカー、キヤノン株式会社(以下、キヤノン)。その製品は、全世界で50社以上の関連販売会社によって扱われています。世界各地の販売会社はインターネットの普及に伴い、一般ユーザー向けにWebサイトを介した顧客サポートの提供を始めました。それぞれ独自に運用されていたため、サービスレベルに差が生じると共に運用効率もよくありませんでした。そこでキヤノンは、製品情報やドライバーを提供する全世界共通のWebによる製品情報提供システム「WSSS(Web Self Service System)」の構築を開始。その際、ピーク時のアクセス数が予測できない、世界中に24時間365日ノンストップの安定稼働が必須、といった課題解決のため、またIBMのサポートを期待して「アカマイ・サービス」を採用しました。
お客様ニーズ

キヤノン株式会社
情報通信システム本部
情報システムセンター
ITコンサルティング部
副部長
原 亮司氏
世界中のユーザーからの、地域によって異なる予測不可能なアクセスに対して、投資の冒険はできない
キヤノンがWSSS構築のプロジェクトをスタートさせたのは2001年4月。WSSSは、コンテンツ作成から、格納、各国の販売会社によるレビュー、そして製品発売のタイミングに合わせたWebサイトへのコンテンツ公開までの一連の流れを管理実行するためのWebシステムです。2002年4月にシステムの開発・実装に着手し、まず、キヤノンUSAとカナダで運用を開始。その後、オーストラリア、シンガポール、中国、南米の販売会社へと順次広げていきました。
ここで問題になったのが、Webサイト構築のためのハードウェアやネットワークに対する投資の問題です。
「製品発売直後にアクセスが集中し負荷が増えることは想定できますが、どの程度のトラフィックになるのかを予測するのは困難です。また、最大の負荷を想定してハードウェアやネットワークを整備すれば、通常の利用率が低くなり、初期投資も運用コストも無駄が発生します。さらに、ドライバーのダウンロードは、パフォーマンスが悪くなったり止まったりしては絶対に困る、という要求が各国からありました」(情報通信システム本部 情報システムセンター ITコンサルティング部 副部長 原亮司氏)
そこでキヤノンが選択したのが、日本IBMが提案するアカマイ・サービスでした。「マニュアル・ダウンロード」「ドライバー/アプリダウンロード」の2つのカテゴリーに属するコンテンツのダウンロードをアカマイによって開始しました。
ソリューション

キヤノン株式会社
グローバルCRM推進
センター グローバ
ルCRM企画推進部
専任主幹
坂手一美氏
アカマイ・サービスの採用で、ユーザーに快適な高速安定配信を実現
アカマイ・サービスは、Webサイトの負荷を軽減し、配信を高速化するためのアカマイ社のサービスです。世界約70カ国のISPなどに設置された約14000台のアカマイ社のサーバーにお客様のWebサイトをキャッシュし、エンドユーザーがアクセスしてきた際に最適なキャッシュサーバーから配信することで、アクセスが集中しても高速で安定したレスポンスを提供できます。IBMとアカマイ社はGlobalに提携し、技術コンサルタント、運用サポート、24時間365日対応のヘルプデスクがIBMから提供されています。
キヤノンの場合、セッションの7割を占めるプリンタードライバーのダウンロードは、WSSSと、最適なドライバーを選択するソフトウェアと、アカマイの3つの組み合わせで行われます。本来ならば、東京にあるキヤノンのWSSSサーバーに集中することになる世界中の販売会社のホームページからのアクセスは、アカマイ・サービスを利用することで、世界中に配置されたアカマイのサーバーにリダイレクトされ、エンドユーザーへのダウンロードはアクセス元に近いアカマイサーバーから行われます。これによって、東京にあるキヤノンのサーバーへのトラフィックが大幅に軽減されるだけでなく、アクセス集中時には配信量に応じて複数のアカマイサーバーが割り当てられるため、エンドユーザーは常に高速にダウンロードすることができます。
アカマイサーバーは設定されたコンテンツの有効期限が過ぎてサーバーのコンテンツが変わった時に、WSSSから最新のファイルをダウンロードしてキャッシュし直します。そのため、例えばプリンタードライバーがアップデートされたとしても、エンドユーザーは常に最新版のドライバーをダウンロードすることができます。
アカマイを利用したダウンロードのサービスを米国において開始した際、広い地域からのアクセスが急増したため、キャッシュするためのWSSSサイトへのアクセスが増加しました。このときには、「Tiered Distribution」というアカマイの技術が活かされました。これは、インターネットの接続性が高い大規模なデータセンターに設置されたアカマイの「親のサーバー」が、各地にある「子のサーバー」の配信を中継することで、世界の広範囲からのアクセスに対応する技術です。自社サーバーへのアクセスをさらに削減すると共に、広範囲への配信を高速化します。これによって、米国向けサービス開始時に一時40%前後まで増加したWSSSからのコンテンツ配送率は、10%を切るようになりました。
日本とヨーロッパの販社では独自コンテンツの運用を続けていましたが、WSSSとの統合化の効果が大きいと販社が判断し、日本では2004年7月に、欧州では2005年8月にWSSSの運用が開始されました。
導入効果
インフラ投資と運用コストを削減。サポートセンターへのコール率も低下
製品情報やダウンロードサイトは、今や24時間365日、ストップすることが許されない安定稼働が求められています。アカマイ・サービスを利用することで、当初必要と予測された多大な新規インフラ投資を最小限に抑え、かつ世界のお客様に常に良好なアクセスと、均一なサービスレベルを提供することができました。
キヤノンにとって、このように無駄な投資をしなくて済んだことが最も大きな導入効果だそうですが、先行して導入した北米では、コンテンツ配信の充実に伴うサポートセンターへの電話件数の著しい減少が、コスト削減に大きく貢献していると言うことです。
将来の展望

キヤノン株式会社
グローバルCRM推進
センター グローバ
ルCRM企画推進部
部長
野口博司氏
ダウンロードコンテンツ以外にも適用へ
「私たちは、アカマイ・サービスとIBMによるサポート体制を高く評価しています。インフラ投資や運用コストが抑えられる効果はもちろんですが、WSSS開発部隊と連携したIBMのサポートにより、既存システムをほとんど変更することなく、極めて短期間のうちにアカマイ・サービスの実運用が開始できたことにもたいへん満足しています。」(グローバルCRM推進センター グローバルCRM企画推進部 部長 野口博司氏)
Webサイトがビジネス成功の重要な要素となっている現在、サイトにアクセスするお客様に安定したレスポンスを提供できるアカマイ・サービスに、キヤノンは大きな期待を寄せており、今後は他のWebサイトへの適用も検討しているそうです。
お客様情報
企業概要:1937年 設立。カメラ、オフィスイメージング機器、プリンターなどを中心に製造販売する、世界有数の光学・電子機器メーカー。独創的な技術と製造技術で、革新的な製品・サービスを市場に送り出しています。
![]()
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBMおよびIBMロゴはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
