掲載日 2005年9月28日

バルブ製品株式会社キッツ(以下、キッツ)は、世界各地に生産拠点・販売拠点を展開し、高品質のバルブを販売しています。そのビジネスを支えるために、約30年前からIBMメインフレームを活用し基幹システムを導入しており、その結果、IBMのメインフレームには、キッツの膨大な基幹データが蓄積されています。同社では、基幹系システムのスキルを持つ人材の安定確保、運用コスト削減を実現すると同時に、情報システム部の人材を新技術を利用したオープン系システムの開発にシフトするために、IBMのzSeries Sharedホスティング・サービスとIBM eServer pSeries®のサーバーを組み合わせ、運用部分をアウトソーシングへ切り替えることにしました。
お客様ニーズ

株式会社キッツ
IT統括センター
情報システム部
部長
松澤文明氏
オープン系システムへ移行したいが、
一気にすべてを移行するには、
リスクが大きすぎる。
オープン系システムが主流になってきている現在、キッツでも、情報システムをメインフレームからオープン系へと移行していく方針を掲げています。しかし、一気にオープン系システムに移行することは難しいと判断し、基幹システムはメインフレーム上で安定稼働を行うことを目標とし、新規に開発するアプリケーションをオープンシステムで運用する方針にしました。
「運用コスト削減面や、お客様などに対してより柔軟なサービスを提供するにはオープン系システムの方がメインフレームより適していると考えています。しかし、当社のメインフレームには、受注から出荷まで、そして会計や給与など、多数のアプリケーションとノウハウが蓄積されています。一気に移行するにはリスクが大きすぎるうえに、人的スキルの問題もあります。そこで、新規アプリケーションへ移行するものを、オープン系で開発し、メインフレームと組み合わせて利用することに決定しました」(IT統括センター 情報システム部 部長 松澤文明氏)
高度なスキルが必要なメインフレームの人材を
安定的に確保することの難しさ
キッツではシステム運用を担当する人材面でも課題を抱えていました。従来は、IBMメインフレームによる基幹システムを長坂工場(山梨県北杜市長坂)で運用していましたが、メインフレームの高度なスキルを持ったエンジニアを確保するには立地条件が悪く、スキルのある人材を確保することが困難でした。
「システムのトラブル時のサービスも、甲府から派遣してもらう形になっていましたので、どうしても対応に時間がかかっていました。情報システム部のスタッフがメインフレームの運用にかかりきりの状態になり、新技術への対応も思うように進まないというのが実情でした」(松澤氏)
そこで、キッツでは、日本IBMのzSeries Sharedホスティング・サービスを活用してメインフレームのアウトソーシングを行い、社内の人的リソースをオープン系システムへの対応に振り向けることにしました。
ソリューション
新システム開発に軸足を移すために、
zSeries Sharedホスティング・サービスを採用
メインフレームからオープン系への段階的な移行を進めていく過程で、メインフレームのリソース要求も変化していくことが予想されます。このようなリソース要求の変化に容易に対応するために、zSeries Sharedホスティング・サービスを採用しました。
zSeries Sharedホスティング・サービスは、IBM zSSHセンターに設置してある共用のIBM eServer zSeries®を分割し、お客様ごとに専用のプロセッサー・リソース、および、導入・構築、運用、監視、技術支援などの各種運用サービスを提供します。もちろん、既存の環境からzSSHセンターの共用サーバーへの移行作業も、関連サービスとして提供いたします。
2002年2月、キッツ長坂工場から首都圏のzSSHセンターへの移行プロジェクトがスタートしました。
「このプロジェクトには、IBMのプロジェクトマネージャーに参加してもらい、手際良く移行準備を進めることができました。リハーサルを1回行った後、2002年末から2003年始にかけての移行作業もスムーズで、移行後の本番でも問題はほとんどなく、順調でした」(松澤氏)
導入効果

株式会社キッツ
IT統括センター
情報システム部
情報企画グループ
グループ長
小澤敏氏
約10%の運用管理コスト削減。
24時間安定稼働、
迅速で柔軟な運用体制を実現。
キッツでは、zSeries Sharedホスティング・サービスへの移行と同時に、基幹システム運用基準を見直し、手順を整備しました。テープオペレーションから完全ディスクオペレーションへ変更したこともあって、運用のさらなる安定化とコスト削減を実現しました。
「IBMさんは、社内で運用していたときと同様に、迅速かつ柔軟な対応をしてくれるので助かりました。実際、移行後にディスク増強をお願いしたことがありますが、速やかに対応してもらえました。運用コスト削減についても、目標値である11%削減をほぼクリアできました」(松澤氏)
また、キッツでは、基幹システムのアウトソース化と同時に、帳票の電子化などを行っています。これも、基幹システムにおけるコスト削減につながりました。
「自社運用のときには、マシンルームなどの設置や空調管理にも気を配る必要があり、維持費もかかっていましたが、アウトソーシングならこのような間接経費もなくなります。また、ちょっとしたことですが、電源工事などの工事も意外に手間がかかっていたのですが、そんな心配をする必要もなくなりました。こうした間接的な運用負荷軽減効果も見逃せません」(IT統括センター 情報システム部 情報企画グループ長 小澤敏氏)
キッツの情報システム部では、約30年間のメインフレーム運用で培ってきた技術的なノウハウの蓄積が失われるのではないか、という不安もありました。しかし、経営を後押しするために、「社内の人材は、より新しいアプリケーション開発を担当すべきだ」という判断が優先されたのです。
「技術的なスキルがなくなるという不安は、確かにあります。ですが、IBMの担当者と仕事を進めるにつれ、そうした不安は徐々に解消されてきました。きちんとしたドキュメントも提出してくれるので、安心して任せられます」(小澤氏)
将来の展望
顧客満足度向上のために、
基幹システムとオープン系システムを適材適所で使う。
「キッツの情報システム部は、メインフレームのアウトソース化により、この限られた人的リソースを新たな開発に振り向けられるようになり、各種のWebアプリケーションの開発企画に専念できるようになりました。
「現在開発企画しているシステムは、バルブ検査成績書のWeb電子帳票システムです。検査結果を工場で電子帳票に入力し、それを各営業拠点のスタッフが出力して客先に提出できるシステムで、2005年11月にカットオーバーする予定です。米国では、ファイル転送により客先でダイレクトに出力してもらうことも考えています。また、営業スタッフ向けの見積りシステムを2006年初夏に立ち上げる予定です」(松澤氏)
これらのWebアプリケーションは、zSeriesサーバーをバックエンドのデータベースとし、pSeriesサーバーのWebSphere® Application Serverと組み合わせて稼働するように構築されています。pSeriesサーバーも、zSeries Sharedホスティング・サービスと同じセンター内で運用しています。
「データベースは一元管理した方が良いので、これまで通りzSeriesで管理しています。今までのノウハウがこのデータベースの中に残っているので、堅牢なシステム上に残しているのです。そして、新たに開発するアプリケーションは、zSeries上のデータベースと連動させる形で、低コストのオープン系技術を使いました。その結果、zSeries Sharedホスティング・サービスとpSeriesサーバーを組み合わせて利用することにしました。堅牢なシステム部分を保持するためにzSeries Sharedホスティング・サービスを、そして、アプリケーション部分は低コストでパフォーマンスの良いpSeriesサーバーを使っているのです。つまり、適材適所ということなのです」(小澤氏)

キッツでは今後も、顧客対応の部分を中心にオープン系の新しいアプリケーションを開発していく予定です。
「2005年に策定された中期経営計画の基本方針でも『顧客満足度向上』を重視していますから、情報システム部としてもその方針に沿った形で、適材適所を考慮し、システム構築を進めていきます」(松澤氏)
日本IBMは、今後も、キッツ様のITニーズに応じたシステムの実現をお手伝いしていきます。
お客様情報
企業概要:1951年 設立。住宅向けからビル向け、各種プラント向けまで、バルブを中心とした流体制御機器を幅広く手掛ける世界有数のバルブメーカー。「KITZ」ブランドは、世界各国で高品質・高信頼なバルブとして高く評価されています。

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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、WebSphere、 eServer 、pSeriesおよびzSeriesはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
