 |
株式会社肥後銀行
データ・グリッド等の先進技術により仮想的に統合したシステムを構築。 情報の戦略的活用とITの最適化により、オンデマンド・ビジネスを実現

掲載日 2005年11月30日
熊本県トップクラスの地方銀行である株式会社肥後銀行(以下、肥後銀行)は、安定して高い自己資本比率の維持を続けるなど、その堅実な経営方針と財務内容で、金融界や産業界から高い評価を受けています。
しかしながら金融機関を取り巻く環境は厳しさを増す一方であり、異業種からの参入も含め、競争激化は必至の状況です。また、2005年4月からはペイオフが本格的に実施され、消費者の金融機関を見る目はいっそう厳しさが増し、そのニーズはますます高度化・多様化しています。こうした状況の中で、地方銀行が生き残るには、中小企業金融の円滑化や、地域の利用者の利便性向上、地域密着型の金融機関としての役割のさらなる強化が必要です。
肥後銀行は、企業理念であるお客様第一主義をより徹底することで、地元産業の発展をお手伝いするとともに、お客様とのコミュニケーションを深め、ニーズにきめ細かく対応した金融サービスの提供し、競合する金融機関との差別化を図ろうとしています。 |






融資トータルシステムを構築
肥後銀行では、2003年4月に「新世紀第2次中期経営計画」をスタートさせました。この計画は、同行の企業理念である「お客様第一主義」の実践に向けて、お客様をよりよく理解し、お客様の立場で、お客様のニーズに対応した金融サービスを提供するとともに、営業力の強化と効率化の徹底を目指しています。
この目標を達成するための重要施策として「人材練成」「IT(情報技術)化」「業務効率化」の三つを掲げるとともに、それらを具現化するインフラとして「融資トータルシステム」の構築に取り組みました。
「各サブシステムにデータが散在している従来のシステムでは、十分な共有が行えず、目的の情報がなかなか見つからなかったり、業務の効率化が妨げられていました。このままでは多様化・高度化するお客様のニーズに対応し、お客様に対する信用リスク管理の充実や、与信管理・融資推進の高度化を図ることは難しいという判断から、融資トータルシステムを構築することになりました」と、肥後銀行 融資第二部 融資企画グループ調査役補瀬川 裕司氏は語ります。
もちろん、各サブシステム間でファイル転送や夜間のバッチ処理を行うなど、システム全体でデータの整合性を保つ努力は続けていましたが、こうした方法ではリアルタイムで更新できませんし、データ量やデータベース数が増え続けていく中で、完全に連携させるのはますます困難になっていました。またシステムを運用する側からは、データ連係のための作業が大きな負担になっているという声も上がっていました。
|

審査的営業活動のプラットフォームとして
新システムのコンセプトづくりに当たっては、単なるシステム構築プロジェクトではなく、前述したように「人材練成」「IT化」「業務効率化」が三位一体となって、組織のレベルアップや、営業力のパワーアップを図ることを目的としていることが重視されました。
お客様の情報を蓄積し、迅速かつ正確に分析・加工する基盤を整えようということです。また、融資に関する複雑で込み入った業務を可能な限り自動化して、事務負担を軽減するだけでなく、データを有機的に結び付けて価値ある営業情報として生成し、融資担当者の営業活動と能力向上を支援することも期待されました。融資トータルシステムを、審査的営業活動のプラットフォームとして機能させるということです。
データグリッドなどの新技術を積極的に採用
2003年1月にはシステムの基本的な構想・方針が決まり、システム部門のメンバーもプロジェクトに参画して、プロジェクトが本格的にスタート。まずはベンダーの選定が行われました。各ベンダーの提案内容について、コンセプトへの理解と対応、価格面、付加機能、画面設計などの観点から比較検討し、最終的に日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の提案を採用することになりました。その理由を、瀬川氏は次のように説明します。
「決め手になったのは、わたしたちのコンセプトを十分に理解していただけたということです。既存の複数のデータベースの運用を続けつつ、データの散在という問題を解決する手段として、データグリッドという技術をご提示いただいたことも高い評価につながりました。業務上の課題を解決する具体的な提案であったことが大きかったですね」
異機種混合のデータベースを仮想的に統合
融資トータルシステムの最大の特色は「仮想的に一元化されたデータベース」であり、それを実現したのが、データグリッド技術を業界に先駆けて採用したIBM® WebSphere® Information Integratorです。この融資トータルシステムは、IBM ® pSeries®上でIBM DB2® Universal Database、IBM WebSphere Information Integrator が稼働しています。
異機種混合のデータベースを仮想的に統合することにより、現状のシステム資産を生かしつつ、ユーザーはデータの所在を意識することなく、あたかも一つのデータベースのように扱うことが可能となりました。
一般に金融機関はシステムの信頼性に重きを置くことから、いわゆる「枯れた技術」を採用することが多いといわれる中で、同行が最先端のテクノロジーを採用した理由を、瀬川氏は次のように語ります。
「従来も、課題解決につながるテクノロジーであれば、新しいテクノロジーであっても積極的に取り入れてきていましたから、今回のプロジェクトにおいても、新技術だからといって導入を躊躇することはありませんでした。むしろ先ほども述べたように、各サブシステムのデータベースを連携させるのにずいぶん苦労していましたから、異機種混合のデータベースを仮想的に統合管理できるということで、データグリッド技術の採用には前向きの意見が多かったですね」
システムの機能拡張や新システムの追加にも柔軟に対応
日本IBMとしても、もちろん「データグリッドありき」でのご提案だったわけではありません。複数のデータベースを連携させて処理を行う融資システムでは、似て非なるデータが散在していたり、あるいはデータの鮮度がそれぞれ異なる場合は業務遂行の上で大きな障害になります。これらの問題を、コストを掛けずに解決する手段としてデータグリッド技術に注目したのです。
しかもデータグリッド技術は、今まで抱えていた課題を解決する上に、拡張性に優れたITインフラが整うという点でも大きな効果が期待されました。今後のシステム開発におけるスピードアップや工数削減だけではなく、お客様のニーズの変化や高度化に合わせて、新しいサービスや商品を提供する際にも、システムの機能拡張や新システムの追加にも柔軟に対応できるということです。

融資業務の事務効率が大幅に向上
開発がスタートして約2年、2005年6月には新システムが完成し、6月13日から運用をスタートさせました。 現在は、融資トータルシステムにデータを蓄積していく段階であり、システム全体の導入効果が見えてくるのはこれから先のことですが、既に幾つかの業務で効果が出てきています。例えば、自己査定業務であれば、従来は3週間ほどかかっていたものが、2週間くらいで処理できるようになりましたし、融資稟議業務であれば、登録されている財務分析などの情報を即座にPC画面上で確認できるようになりました。また、大規模なペーパーレス化が実現し、年間150万枚の紙の削減が見込まれています。


同行ならではの独自色のあるサービスを
融資トータルシステムは、単なる業務の効率化・利便化だけを目的としたものではありません。その意味では、今後、このシステムを使いこなし、お客様に付加価値の高いサービスをご提案できるかがポイントとなります。その鍵を握るのが「人材練成」との連携でしょう。
「先ほども述べたように、担当者が審査的営業活動を身に付けて、皆で情報を共有できるようにデータを収集・蓄積していくことが大切です。そこで営業店の融資業務指導および業務向上を目的として業務指導グループを発足させ、営業店を臨店し融資トータルシステムの利用方法だけでなく、情報収集やリレーションシップマネジメントについての指導も始めました。
また、システム的にもマニュアルやガイダンスを充実させ、『人材練成』を支援する仕組みを整えています。例えば信用格付の処理を行っている際にヘルプを呼び出すと、業務全体のフローとともに、現在の作業の位置付けや、次に行うべき作業を画面上で確認できます。また、関連する業務の内容を知りたいときには業務マニュアルを呼び出すことも可能です。そこには営業成績の高い店舗や担当者のノウハウや方法論が蓄積されていますから、人材練成にもつながるでしょう。
今後はさらに、勘定系の副元帳を管理するデータベースとの連携を図るなど、データグリッドを基盤にしたITインフラならではの拡張性に大きな期待が寄せられています。 |


「融資業務においては、審査基準の微妙な部分に、銀行独自の文化というかスタイルが色濃く出てきます。そうした当行ならではのノウハウを共有化し、独自色のある情報の収集や蓄積、活用を行うことで、今まで以上にお客様とのリレーションを高めることができるのではないでしょうか。
また、データグリッド技術を採用したことで、システムの柔軟性・拡張性が担保されているという話が先ほどありましたが、その点でも、人材練成と連携させることで当行の独自色を出した商品・サービスを提供していけるのではないかと期待しています」(瀬川氏) |

 |
お客様名: |
株式会社肥後銀行 |
 |
所在地: |
〒860-8615熊本県熊本市練兵町1番地 |
 |
URL: |
http://www.higobank.co.jp/ |
 |
概要: |
創立:1925年7月25日
総資産:3兆4,531億円
預金:3兆986億円
貸出金:2兆59億円
資本金:181億円
自己資本比率:11.67%(国内基準)
従業員数:2,099人
拠点数:130(本支店114、出張所12、代理店3、海外駐在員事務所1)
(2005年3月31日現在) |

 |
データグリッド |
|
グリッド・コンピューティングの分散したIT資源を仮想化するという考えに基づき、分散したデータを論理的に一つの資源として統合すること。

|
参考資料:
|
|
 |
|
|
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、DB2、eServer、pSeries、およびInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
|
|
|