掲載日 2005年11月21日

高級チョコレートを中心に製造・販売を行う洋菓子メーカー、株式会社メリーチョコレートカムパニー(以下、メリーチョコレート)は、ITを積極的に導入、活用している企業としてよく知られています。1982年の第一次店舗情報システムでは、発注、売上報告を店舗から送信可能とし、これを皮切りに1996年の第三次店舗情報システムでは、液晶画面搭載のハンディターミナルと、PHSを利用した店舗と本部間でのデータ送受信を実現しました。
第四次店舗情報システムでは、全国160の直営店舗と本社間で、オンデマンドに情報共有し、より正確な売上データを把握、さらにその分析結果を販売現場にフィードバックする機能の開発に成功しました。店舗側にはペンターミナルを設置、通信手段として第三世代携帯電話FOMAを利用し、本社ホストアプリケーションへのデータ送信を実行します。本社システム側では受信したデータを分析し、その結果を店舗側へ送信する仕組みによって、双方向送受信システムを実現しています。既存資産であるIBM eServer® iSeries®のシステム上で稼働する、基幹システム・アプリケーションに対する変更は加えず、WebSphere® Host Access Transformation Services(以下、HATS)の導入により、既存資産のWeb化を実施。店舗販売スタッフにデータを公開しました。
お客様ニーズ

株式会社メリーチョ
コレートカムパニー
総務部システム担当
マネージャー
津田 稔氏
販売店舗と本社の情報共有
第四次販売システムを構築 した目的
新システムで重要視されたのは、店舗と本社の密接な情報共有です。「弊社ではバレンタインデーやクリスマスなどの季節商品が多いため、適切な販売計画を立てないと売上に大きな影響をもたらします。そのため、店舗での売上状況を正確に把握し、効率的な生産管理ができるような情報共有が最重要目標となっていました」と話すのは、同社総務部システム担当マネージャー、津田 稔氏です。
「弊社が主に出店している百貨店は、非常にスペースが狭い店舗が大半となっています。そこで、大きなキーボードではなく、液晶画面へのタッチパネルを利用する小さなペンターミナルを中心に、新システムを構築していきました」(津田氏)
ソリューション

株式会社メリーチョ
コレートカムパニー
総務部システム担当
高山 理恵氏(右)
企画室企画宣伝
山田 麻衣子氏(左)
既存システムの有効活用と新システムの融合
短期間、低コストで新システムを構築
「Mary's Advanced Shop Communication Terminal」を略しMASCOTと名付けられた新システム(第四次店舗情報システム)での最大の目標は、短期間低コストでのシステム構築です。この目標を達成するために、HATSが導入されました。「既存資産に手を加えず新システムの構築が可能なツールを採用する。この目的を満たすツールを探しているときに出会ったのがHATSです。HATSは、Web化画面の構築にあたり既存システム側でのカスタマイズが可能です。弊社のシステム担当者が通常慣れ親しんでいるRPG言語での開発を行うことで、新言語習得までの教育も必要なく、開発期間も短期で済むと予測しました」(津田氏)
また、既存のiSeries用アプリケーションが稼働するため、将来的に同システムの拡張を行う必要があった場合に、自社で開発可能なことも弊社にとっては大変魅力的でした。
「HATSの開発期間は約2カ月ですが、Webブラウザー画面への変換作業だけなら約1週間という短期間で終了しました」と話すのは開発を担当した高山 理恵氏(総務部システム担当)です。「店舗には年齢の高い販売スタッフもいるため、コンピューター画面では操作がわかりにくいと考えました。そこで、大きなボタンのメニュー表示形式で画面を作成、ワンボタンでのタッチ操作ができるようにしました。また、どの画面でも同じような操作ができるよう、デザインの統一感を心がけました」(高山氏)
HATSは、あらかじめサーバー上に設定しておいた変換ルールを参照、iSeriesのアプリケーション画面(グリーン・スクリーン画面)を瞬時にWebブラウザー上のGUI画面へと変換することができます。そのため、ペンターミナルのWebブラウザー画面から、iSeriesのアプリケーションへと容易にアクセスすることができるのです。
導入効果

株式会社メリーチョ
コレートカムパニー
総務部システム
担当
伊藤 利行氏
正確なPOSデータで売上を予測
日報送信による改善提案も活発に
MASCOTは、約10カ月の開発期間を経て、2005年夏に全国展開しました。
発注、売上報告、出退勤、経費支払い、棚卸し、在庫情報照会が各店舗から行なうことができるほか、百貨店指定のPOSレジとは別に、自社独自で構築したMAPS(Mary's Point of Sales System)と呼ぶPOSにも対応しています。
また、新たに発注支援機能を組み込んでいるのも大きな特長です。「売上履歴から直近2週間のデータを分析。今後の売上予測を立てて、発注の基礎データを作ることができます」と話すのは、総務部システム担当の伊藤 利行氏です。MASCOTではMAPSの売上集計誤差がほぼゼロとなったことで、的確な売上予測をすることが可能となりました。
さらに、日報もMASCOTに組み込みました。「かつて日報は紙に書いて郵送していたため、本社での確認および返信の作業に2週間以上かかっていました。しかし、MASCOTではペンターミナルから本社へ日報を送信できるため、本社での確認と返信作業が翌日となったのです。この迅速な対応が日々売上げを本社に送ってくださる販売スタッフの励みにもなっているようです」(伊藤氏)
「『販売スタッフは手書き入力機能を使ってくれるのか?』と少し懸念していました。しかし、店舗内で気づいた問題点や改善点、お客様からのご意見などの日報が続々と日々送信されてきており、本社での販売戦略にも貢献しています」と話すのは、店舗経験もある企画室企画宣伝の山田 麻衣子氏です。日報のやりとりが迅速になったことで、店舗からの提案が活発化。店舗状況の収集分析による新商品や新販促品、システム改善などが生まれる下地にもなっています。
将来の展望

メリーチョコレートカム
パニー本社のサー
バールーム
双方向のコミュニケーションを増やし
有益な情報をさらに引き出せるかが課題
MASCOTは店舗展開から日が浅いため、必要な機能は徐々に追加提供している段階です。「店舗に埋もれている『宝の山』と言える、さまざまなデータをうまく収集、分析していくことできれば、さらなる販売拡大につながるでしょう」(津田氏)
また、MASCOTにはLotus Notes®による掲示板機能も入っています。今後はこの掲示板を使ったリアルタイムの双方向コミュニケーションをとれるようにしていく、というのも近い将来の導入計画です。「双方向コミュニケーション以外にも、『必要な情報はすべて掲示板でチェックできる』という形にすることも考えています」(津田氏)
各地に点在する各店舗の売上データと、販売スタッフの現場の声を企業として活用し分析、その結果を各店舗と本社で共有することで、互いの意見を反映し販売促進に繋げる。メリーチョコレートは、まさにITの有効活用を実現している先駆者と言えるのではないでしょうか。
お客様情報
1950年、東京・渋谷区にて高級チョコレートとキャンデーの製造販売業者として創業。1958年には日本で初めてバレンタインセールを行なった老舗メーカーです。
近年は、フランス・パリで開催されている由緒あるチョコレートの展示会「サロン・ド・ショコラ」に出展。2002年にはヨーロッパ以外のメーカーとしては初の準グランプリを受賞し、さらに2005年には特別栄誉賞を授与されました。

用語の説明
- POS
店舗で商品を販売するごとにその商品の販売情報を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステム。在庫・受発注管理ができるようになるほか、他のデータと連携した分析・活用が容易になる。「Point Of Sales」略で「販売時点管理」と訳される。
製品・技術情報
ハードウェア
ソフトウェア
1すべてのシステムをHATSで開発したものではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、 eServer 、iSeries、WebSphereおよびLotus NotesはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
