掲載日 2006年2月1日

株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼所)は鉄鋼を中心に多彩な事業を展開するメーカーです。1970年代から始まった鉄鋼部門のシステム化ですが、その後は1980年代に構築されたシステムをベースにした継ぎ当てによるシステム開発が続いていました。そのころから20年以上が経ち、基幹システムの陳腐化、複雑化が目立つようになっていました。そこで、システムの抜本的な再構築の必要が生じ、2003年度から2007年度の5カ年にわたる再構築計画をスタートさせました。
まず手を付けたのが、鋼材に関する情報を全社共有できる統合データベース「鋼材情報共有化システム」です。このデータベースをDB2 Universal Database™により構築したことにより生産部門と営業部門の情報共有が完成、お客様に対する生産進捗、在庫、品質などに関する情報提供が迅速になりました。さらに、鋼材の品種、サイズ、品質ごとの採算管理ができるため、採算性を重視した生産計画、営業戦略が立案できるようになったのです。
鉄鋼業界において初となる「鋼材情報共有化システム」の構築は2003年冬にスタート、2004年4月には一部のデータペースが立ち上がり2004年7月には本格運用がはじまりました。
また、DB2 Universal Databaseと同時に、社内ユーザー向けの統一認証システムとしてTivoli® Access Manager for e-business、情報共有ツールとしてLotus Notes/Dominoを導入。「鋼材情報共有化システム」の円滑な運用に寄与することができました。
お客様ニーズ

株式会社神戸製鋼所
鉄鋼部門技術総括部
システムグループ課長
中川 浩之氏
基幹システムの刷新にあたって
鋼材情報の共有化が課題に
「統合データベースの『鋼材情報共有化システム』を構築した理由としては、システム全体の陳腐化、複雑化が進んでいたということが一番大きかったですね」と話すのは、株式会社神戸製鋼所鉄鋼部門技術総括部システムグループ課長、中川浩之氏です。「『鋼材情報共有化システム』構築を決定する前に基幹システムの刷新を決めたのですが、基幹システムを刷新するために、まずはデータをひとつに集めた形でデータベースを作る、ということが大きな課題だと考えました」(中川氏)
基幹システム刷新前の2002年当時まで、情報検索システムはホストコンピューターのAPL言語やホストAS、他社製ホストFOCUSなどをベースにそれぞれ別々に開発されていたため、ブラックボックス化が進んできていました。そのため、使い勝手が悪く、保守期限が切れていることもあるなどの弊害も生じてきていました。さらに、基幹系システムは、営業系システムと生産現場の製鉄所系システムに分かれており、データベースも各製鉄所単位(神戸/加古川)と、各品種単位(線材・棒鋼/薄板/厚板)で構成されていたため、部門内での情報共有化は難しくなっていました。「営業と生産現場がひとつの言葉で話し、ひとつのデータを見られるようにするためには、データベースの統合が急務だったのです」(中川氏)
ソリューション

「鋼材情報共有化シ
ステム」の概要
(クリックで拡大)
DB2 Universal DatabaseとIBM eServer pSeriesで統合データベースを構築
「ソフトウェアより先に、ハードウェアの選定で悩みました。IAサーバーにするのか、UNIX®サーバーにするのか、どちらかを考えたのですが、より高いパフォーマンス性を持つUNIXサーバーのIBM
eServer® pSeries®の採用を決めました」(中川氏)。次にデータベースソフトウェアの選定となりますが、ベンチマークテストで pSeriesと組み合わせたときのパフォーマンスが高く、加えて親和性も高いDB2 Universal Databaseが第一候補として浮上してきました。
「ホストコンピューターでDB2を使用しているため、DB2の信頼性の高さを実感しており、社内での親和性も高いと考えてDB2 Universal Databaseを採用しました。他社製品と比べてコスト面で優れていたことも選択理由のひとつでした」(中川氏)
そして、同時に導入を決定したのが、統一認証システムとしてのTivoli Access Manager for e-businessと、情報共有ツールとしてのLotus Notes/Dominoです。
「もともと、アクセス管理とシングルサインオンのツールとしてTivoli Policy Director(Tivoli Access Manager for e-businessの前身)を社外向けのメールシステムとして使っていたという経緯がありました。この実績をふまえて、『鋼材情報共有化システム』でもIDとパスワードがシングルサインオンできるようにTivoli Access Manager for e-businessの導入を決定しました。また、1997年のバージョンR3からワークフローのツールとしてLotus Notes/Dominoを使用していたため、このシステムでの情報共有ツールとしてもLotus Notes/Dominoの導入を決めたのです」(中川氏)
導入効果
前システムと比べ参照データ量は約5倍
検索スピードも約3~5倍にアップ
2003年1~3月にかけての中期計画策定時期に「鋼材情報共有化システム」の導入が決定、それからわずか1年後の2004年4月には一部システムの運用が開始されました。「DB2 Universal Databaseのツールの一部に不具合が出てくるなど、大規模プロジェクトのため、いろいろな問題もありましたが、最終的には現場のIBMとコベルコシステムの熱心なサポートにより、当初の予定どおり2004年7月に無事サービスインを迎えることができました」(中川氏)
構築されたデータベースの容量は1.5TB(テラバイト)といった膨大なものでした。このデータベースでは、予算管理、採算管理、生産情報一元管理、品質情報一元管理などを行なっています。営業部門、生産管理部門、生産現場にいたるさまざまなデータベースが約5年間分の一元管理が実現したのです。「リアルタイムで参照できるデータ量は約5倍、検索スピードも約3~5倍となっており、営業や受注分析、売上分析などの場面で大きな効率化が実現しました。利用者数は1500人のうち、ヘビーユーザー約100人が1人あたり年100時間の業務効率化ができていますから、延べで年間1万時間の業務効率化がはかられたことになります」(中川氏)
また、生産現場と営業とが情報共有化したことで、同一のデータをどちらからでも見ることができるようになりました。そのため、両者が同一の採算を評価することができるようになり、お客様別の受注戦略、生産戦略を迅速に策定することができるようになりました。受注生産計画の綿密性、厳密性が上がり、同時にスピードアップも図られたのです。
さらに、お客様対応への効果も現われました。「工場のデータを営業でも参照できるということは、お客様から営業への品質に関する問い合わせに対して、生産現場に確認する必要がなくなるということです。すなわち、お客様へのレスポンスが迅速化したのです」(中川氏)
また、Tivoli Access Manager for e-businessの導入により、データベースの解析やさまざまなアプリケーションソフトへアクセスするのに、一つのIDとパスワードでアクセスできる「シングルサインオン」を実現しました。「ただシングルサインオンができるようになっただけでなく、アクセスの制御も行なっています。管理職だったらこの画面、営業だったらこの画面、技術者だったらこの画面というように、役職ごと、部門ごとにアクセス権限が変わってくる仕組みを作りました。このような管理の仕組みを弊社では『セキュリティーマトリックス』と呼んでいます。Tivoli Access Manager for e-businessの導入によりセキュリティー強化にもつながったのです」(中川氏)
将来の展望
2カ所の製鉄所システムを
擬似的に一体化することが目標
管理系の統合データベースは完成を果たしました。そこで次に控えているのが業務系のデータベースです。「実際の業務に使う統合データベースを業務に合わせて作成しており、こちらの最終完成は6~9年後とみています。まず直近でいいますと、線材・条鋼と薄板の品質工程設計システムが2006年中に立ち上がるので、そこで新しいデータベースができる予定です」(中川氏)
さらに、加古川と神戸の両製鉄所の一体運営も課題としてあがってきています。「システムを用いた擬似的な一体運営ができないかと模索しているところですが、線材・条鋼の品種では可能だと考えています。2カ所の製鉄所が一体化することで、営業と生産現場がより一層緊密となるシステムが完成するでしょう」(中川氏)
お客様情報
1905年に創業、1911年に株式会社神戸製鋼所として発足。神戸製鋼グループ(子会社194社および関連会社70社)の中核をなす企業です。取り扱う分野は、鉄鋼・溶接をはじめ、アルミ・銅、都市環境・エンジニアリング、建設機械、情報エレクトロニクスなど広範囲にわたっています。さまざまな課題への取り組みを通した多彩な事業活動も展開しており、「人と地球との新しい環境づくりへの貢献」が同社のモットーとなっています。
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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