
掲載日 2006年3月28日
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少子化の影響もあって、大学間のサービス競争は年々激しくなっています。古くから培ってきた大学の個性(校風)を変わらず維持していくためにも、質の高い教育サービスを提供し続けることが急務になってきました。神戸市内、六甲の山懐にある甲南大学は、早くから学内業務のシステム化に取り組んできましたが、より良い学生向け教育サービスと教務部門の効率化を実現するために2002年秋頃から教務システムの見直しに取り組み、2004年4月にはWebベースの新しい教務システムを稼働しました。このシステムによって、年2回のWeb経由の履修登録を実現し、学生への情報提供を充実させるとともに、教務部門のスタッフの業務負担を軽減。カリキュラム変更によるシステムのメンテナンスコストを抑制し、業務フローの合理化を進めるなど、より質の高い学生指導を実施できる環境を整えました。 |






メンテナンスコストの抑制と
学生サービスの充実を目指す
甲南大学は、1970年代から汎用機による業務用システムを構築するなど、日本の私立大学の中では最も早くから学内の情報システム化に取り組んできました。クライアントサーバー型の教務システムであるKosmosが最初に稼働したのも1993年ときわめて先進的でした。とはいえ、Webベースのシステムが世の中の主流になるのにともなって、稼働後10年近く経過したKosmosにもさまざまな課題が浮上してきました。教務部次長の佐々木良太郎氏は、旧システムの差し迫った課題は三つあったと説明します。
「一つはメンテナンスコストの増大です。いま大学はどんどん競争的な環境になっていますから、新カリキュラムなど新しい教育プランの採用が必要不可欠です。ところが、旧システムでは、教育プランが少しでも変わると、新しくプログラムからのシステム開発が必要でコストがかさんでいました。もう一つの課題は学生サービスの立ち遅れです。例えば従来の履修登録は年1回でしたが、試験や成績発表は年2回あるなど運用は実質的に2学期制になっていました。おかげで学生からは、後期にも履修登録をしたいという要求が出されていましたが、人的資源の問題もあって、旧システムの体制では後期履修登録は実現しにくかったのです。三つ目は、システムのインターフェースのわかりにくさです。汎用機のインターフェースを一部移植したこともあって、数字コードの入力など取りつきにくい操作が多く、新しい担当者の育成が難しくなっていました」
こうした当面の課題を解決し、さらにカリキュラム変更や法改正への柔軟な対応、成績分析ツールの提供など教育サービスのレベル向上に向けて、佐々木氏が教務システムの本格的な見直しに取り組んだのは2002年秋頃からでした。 |

IBMプラットフォームへの信頼感をベースに
発想を転換してIBMミドルウェア対応のパッケージソフト導入
従来、大学のシステム担当者の間では「教務システムにパッケージなし」という考え方がいわば常識でした。
「カリキュラム運用や学生指導など教育サービス現場で具現化していく教務の仕事は、標準化できないと言われていました。大学独自の教務こそが競争力の源泉であり、それをパッケージに合わせるなどは本末転倒だという考え方が根強かったのです」(佐々木氏)
佐々木氏の中にもあったそんな常識をくつがえす最初のきっかけになったのは、2001年11月に開催された「IBM e-ビジネスセミナー―in 大阪」でした。このセミナーでは、学内の法人系システム(人事、経理、管財、施設管理など)にGAKUENというパッケージソフトを導入した東洋大学の事例が紹介されましたが、佐々木氏の印象に強く残ったのは、パッケージソフトによる業務の改善という「逆転の発想」でした。
「業務分析の結果として業務を変えるのではなく、まずシステムを入れて、それに合わせて業務を変える。そうでないと、業務改善はなかなかできないという考え方を聞いて、これは面白いと。教育職員の免許法の改正など教育制度に関する法改正や答申が度重なる趨勢もありましたし、パッケージソフトも、一度検討してみても良いのではと思い直しました」(佐々木氏)
同じ時期には、他大学でも、共同でパッケージソフトを開発しようという動きが具体化しました。私大連では、2002年1月に「大学事務受託会社設立等に関する説明会」を開催。この説明会に参加した佐々木氏も、従来の常識の変化を肌で感じました。
もっとも、私大連の構想には学務系システム(入試、教務、就職、学費、奨学金、交友会など)は入っていませんでした。そこで甲南大学教務部では、日本IBMのパートナーでGAKUENを開発したシステムベンダーである日本システム技術に依頼し、まず最初に簡易な適合性検証を行いました。教務部の業務フローがGAKUENの学務系システムの機能で表現できるかどうかを、1週間ほどの時間をかけてじっくり検証したのです。
この検証の結果、パッケージのコアな部分には手を付けなくても、ある程度の追加開発をして機能を拡張すれば、教務部の業務にも何とか使えるという結論が出ました。GAKUENのインターフェースも期待通りわかりやすく、全国の大学・短大でトップシェアを占めていることもあって、今後のバージョンアップを通じてパッケージソフト自体が進化する期待も持てました。また、日本IBMのミドルウェアWebSphere® が、GAKUENのプラットフォームになっていることへの信頼感も大きかったと、佐々木氏は言います。
「WebSphereはビジネスの現場で広く使われていて、プラットフォームとしての信頼性が非常に高い。セキュリティーやOSのメンテナンスについても、日本IBMが担保してくれるので、安心できます。またプラットフォームがWebSphereなので、親和性を考えるとデータベースもDB2® が良いだろうと判断しました。旧システムで使っていたオラクルよりも、保守費用が安かったのも魅力でした」(佐々木氏)
日本システム技術GAKUEN事業部の三澤恒俊氏も、WebSphereの優位性によってGAKUENの導入に弾みがついているという認識をお持ちです。
「システム関連の市場では、WebSphereの信頼性とパフォーマンスへの評価が圧倒的に高い。WebSphereを使うなら、親和性を考えるとデータベースはDB2という選択肢になります。GAKUENの開発環境も、WebSphereとDB2が標準となっています。日本IBMさんと当社との協業体制も、お客様の好印象を生んでいるようです」
こうして甲南大学では、GAKUENシリーズの基幹システムであるレボリューション(REVOLUTION)と統合型Webサービスシステムのユニバーサルパスポート(UNIVERSAL PASSPORT)の導入を決定。約1年半かけて履修登録の機能拡張などの追加開発を行い、2004年4月に新しい教務システムを稼働しました。

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4000件の履修登録エラーがほぼなくなり、残業も激減
教務事務の効率化によって生み出された時間を
個々の学生のきめ細やかな指導にあてることが可能に。
新システムのために最も大きく変わったのは履修登録の業務フローです。履修登録の際、以前は学生が紙のマークシートに履修希望を書き込み、それを教務部に提出するという形でした。教務部では、そのマークシートをコンピューターで読み込んでチェックしていましたが、例年、延べ数千件のエラーが出ていました。登録時間が重複していたり、必要な科目が登録されていなかったりというエラーが避けられなかったため、学生にマークシートを再提出させるなど煩雑な追加業務が発生していたのです。
「エラーの修正にはまるまる2日ほどかかり、その間、職員は顔を上げるヒマもないほどの忙しさでした。新システムでは、Web経由でインタラクティブに登録ができます。エラーがあれば、その都度アラートが出ますから、それを確認しながら登録を修正していけば良い。どういう場合にアラートを出すかも、設定で細かく決められますから登録の精度も上がり、システム導入直後の登録においては、エラーがゼロでした。いまは学生の登録後にエラーが出たとしても取るに足りないものだけになりました」(佐々木氏)
語学や一部の専門科目などでは、学生の希望を聞きながら、抽選によって多数の少人数クラスを編成する「抽選登録」が不可欠です。これも例年は、期限切れの後で駆け込みで希望を出す学生の対応に追われていましたが、Web経由の登録になってからは、そうした駆け込み登録もほとんどなくなりました。
こうして職員の負担ばかりではなく、学生の手間も大きく軽減されました。自治会のアンケートによると、学生の8割が新システムによって履修登録が「便利になった」と回答しています。2004年9月には、初の後期履修登録も実現しました。当初のねらい通り、パッケージソフトの採用によって教務部職員の業務フローも合理的、効率的になったと、佐々木氏は日々実感しています。
レボリューションという基幹システムの中で、甲南大学が使っているサブシステムは「教務」と「校友会」です。インターフェースのわかりやすさは期待通りでしたし、「教務」というサブシステムでは、年度ごとに設定を変えることによって、変化するカリキュラムに柔軟に対応できます。
「システム導入後の約2年間、カリキュラムなど教育プランの変化で、新しい開発が発生したケースはまだありません。ソフトウェアの設定機能で、変化を吸収できており、パッケージ導入によるデメリットは感じません。教務システムのメンテナンスコストの抑制という目標も、達成されつつあります」(佐々木氏)
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付加価値の高い学生サービスを目指し
統合ポータル構築も視野に入れる
佐々木氏はいま、近い将来の課題として、学生向けの情報サービスを、親しみやすく一覧性の高いインターフェースで一元的に提供する統合ポータルの構築を考えています。現状では、就職活動用の企業情報、授業の休講情報などの教育支援サービスは、履修登録を行うユニバーサルパスポートとは別のWebシステムを使って提供されています。これらを統合し、一元的に情報を提供するために、GAKUEN REVOLUTION2006に期待しています。
「ポータルに関しては、ここ2年ほど議論を繰り返し課題を洗い出してあります。後は望ましい機能とインターフェースを持ったシステムに引っ越すだけです。現バージョンのユニバーサルパスポートにもポータルの機能はありますが、少しインターフェースの部分に難がありました。学生はすでのWeb系のシステムをあれこれ使い慣れていますから、インターフェースが行き届いていないと、最初から使ってくれない恐れがあります。GAKUEN REVOLUTIONの新バージョンはそこが充実すると聞いているので、いまジリジリしながら新バージョンを待っているところですよ(笑)」(佐々木氏)
1960年代からの長いシステム化の経緯もあって、甲南大学では現在、経理や人事などの法人系も、入試や教務などの学務系も、各担当部署がそれぞれ別予算で専用のシステムを開発し、それぞれの部署が運用管理しています。こうした分散型のシステムやネットワークは、コスト負担の面だけを考えても、今後はある程度の統合が必要だろうと佐々木氏は言います。
「少なくとも、学生向けの学務系のサービスは全体を一本化して運用する必要があるでしょう。その辺を今後、レボリューションを使って統合していきたいと思っています」(佐々木氏)
業務の効率化によって生まれた時間的な余裕は、学生サービスの充実に振り向けることができます。教務部では今後、レボリューションによって提供されるデータ分析ツールを使って、学生の成績、履修時間の傾向などを細かく分析し、年間履修時間数の調整などカリキュラムの改善や、学生への価値の高い情報提供などにも活用していく予定です。その一方、成績表は学生一人ひとりに手渡しするという学園の伝統も堅持しています。
「成績を手渡しする際には、成績への疑問やカリキュラムへの意見など学生の気持ちも自然な形で伝わってきます。こうした学生とのコミュニケーションはやはり重要ですね」(佐々木氏)
質の高いシステム化による業務改善が、学生とのきめ細かいコミュニケーションに結びつく。こうした好循環が、大学の競争力を高めることにつながるのは間違いありません。 |

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お客様名: |
学校法人 甲南学園 |
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所在地: |
兵庫県神戸市東灘区岡本8-9-1 |
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URL: |
http://www.konan-u.ac.jp/ |
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概要: |
学園概要:1919年創立。「各人の天賦の特性を伸張させ、独創力を発揮できる人間をつくる」「世界に通用する紳士たれ」という建学の理念を現代に生かし、質の高い教育を実践。2004年4月にはキャリアセンターや法科大学院を開設し、2005年4月にはビジネスイノベーション研究所を設置するなど、創立90周年、100周年に向け、学園独自の教育プログラムを積極的に展開しています。
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