札幌市SOAによるサービスの再利用促進によって、マルチベンダー環境での開発・保守を効率化 掲載日 2006年6月21日
マルチベンダー環境で開発を進めるために、 最適な共通基盤としてSOAを採用 総合行政情報システムがカバーする業務は多岐にわたるうえ、従来のシステムの運用・保守を担当するベンダーも複数社存在しています。そのすべてを1社独占に切り替えることは不可能でした。総合行政情報システム全体は、マルチベンダー環境で構築していくことを前提として、1年に及ぶ概要設計の検討が進められました。その中で、札幌市が重視したことは、開発・運用・保守のコストをできるだけ低く抑えること、長期的な運用と改善に向けた将来性が確保されていること、より豊かな市民生活の実現に寄与するものであることの3点でした。異なるベンダーであっても、同じようにこの3点を実現できるようにするため、システムの共通基盤づくりでは、徹底的に機能やサービスの分析が行われました。この検討を経て、Simple Object Access Protocol(SOAP)やWeb Services Description Language(WSDL)といったWebサービス技術の採用が決まりました。「最初からSOAの採用を意識していたのではありませんが、マルチベンダー環境で効果を生み出す共通基盤の検討を進めたら、結果的にSOA的なシステム基盤が最適だったということです」と可児氏は語ります。 この検討作業には、札幌市市民まちづくり局情報化推進部IT推進課の職員に加えて、日本IBM(以下、IBM)のSEをはじめとするスタッフが参加しました。「要求定義書や関連部門向けプレゼンテーション資料の作成、開発ドキュメントの整備など、業務別のアプリケーション開発を担当するベンダーに対して標準的な書式を示して指示できるようになったのは、IBMからレベルの高いアウトプットがあったからです」札幌市市民まちづくり局情報化推進部IT推進課情報システム開発担当係長 長尾隆広氏は、設計段階でのIBMの役割を高く評価しています。概要設計が終わった段階で、総合行政情報システムの共通基盤となるWebサービスインターフェースは、職員認証基盤、職員ポータル、職員情報管理、電子決裁基盤の4つの機能を共通サービスとして提供することになりました。たとえば、電子決裁システムの設計に当たっては、文書管理や人事給与などの関連する業務システムとのシームレスな整合性を実現するために、SOAの考え方が効果的に採用されています。
共通基盤の構築が、システム開発標準化の推進と全職員の意識改革を後押し 平成16年からは、文書管理、人事給与、財務会計、契約管理などの各業務システムの開発が、共通基盤構築と並行して始まりました。平成17年度には、総合行政情報システムの完成を前に、市民まちづくり局情報化推進部内に、基盤整備、基幹業務システム、情報セキュリティ、イントラネット運用管理、ネットワーク管理などの担当を設け、部門全体を挙げた取り組みの体制も整いました。IBMが開発を担当したSOAに基づいたWebサービスインターフェースの部分は、平成17年末に完成しました。「業務の仕組みには、縦割りの部分もあるため、今回、Webサービスのように異なる業務の共通基盤を構築する上では、部門間の言葉を共通化していくような標準化の努力が必要でした。IBMの協力を得ることができてよかったのは、画面設計や開発の手続きを進める際の標準となるガイドラインをまとめられたことです。現在、同時並行で進んでいる業務システムの開発で、このガイドラインが役に立っています」と語るのは、札幌市市民まちづくり局情報化推進部IT推進課情報システム開発担当係長 酒田英樹氏です。 平成18年には新しい業務システムのサービス開始に備えて、職員向けの操作研修も始まりました。まず、利用部門の課長職全員を集めて新システムの利用を促進するための動機付けを行い、4月から8月にかけて約6,000名の職員を対象とする大規模な研修が実施されています。「総合行政情報システムの利用が始まることで、職員たちは自分の仕事が変化し、質的なレベルアップが実現されることに期待しています。操作マニュアルも、画面を多く取り入れたわかりやすいものを準備したので、研修を受講した職員からはわかりやすいと好評です」(酒田氏)
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