掲載日 2006年9月25日
Java™とLinux®のオープンなテクノロジーに特化したソリューション開発で高い評価を受けているテンアートニ。1997年の設立時から、逆から読むと「intranet」となる、事業内容をイメージさせる凝った仕掛けの社名が話題を呼びました。
その社名が、この11月には、サイオステクノロジー株式会社と変更されます。
事業領域を次々に広げているテンアートニが、次のターゲットとしているのは、ソフトウェア品質向上支援の領域。2005年からは、ソフトウェアの「単体テスト効率化ソリューション」の提供を開始しています。ソフトウェアのテストはプログラム単体の段階だけではなく、複数のプログラムを連携させた段階での結合テストが重要です。テンアートニは、さらにテスト全体の効率を向上させるための第一段階としてリグレッションテスト(regression test:回帰テスト)ツールである「IBM Rational® Functional Tester (RFT)」を自社ソフトウェア開発用に採用しました。
お客様ニーズ

執行役員 プロダクト&
SI ビジネスユニット
ユニット統括補佐
(JAVA 関連事業担当)
兼Web ソリューション部長
山崎 靖之氏
テスト工程のムダを排除し、ソフトウェアの品質を上げるために
オンライン取引や基幹業務システムのWeb化、シミュレーションなど、ミッションクリティカルで複雑な業務をWeb上で実現したいというニーズは、どんどん高まっています。この数年、テンアートニに委託されるソリューションの傾向は大きく
変化してきました。複雑な基幹系のシステムは、サービスインまでの期間も短縮が求められるとともに要求の変更も度重なることが当然で、求められる機能の条件も厳しさを増してきます。このため、以前よりも重要性が大きくなってきたの
が「テスト」という領域です。
短期開発によるテスト時間の不足や、要求の実装もれ、要求の変更による不備などの問題を解消するために、テンアートニでは試行を重ねてきました。「これまでは、自社で機能テストツールを開発して、回帰テストを行っていました」と語るのは、テンアートニ執行役員の山崎靖之氏。「しかし、当社のコアコンピタンスは、あくまでSIやパッケージソフトの開発ですから、テストツールは商用のものに切り替えようと検討を進めてきたのです」
ソフトウェアは、少しでもどこかの部分に修正を加えると、正常に動作していた機能が働かなくなることがあります。回帰テストとは、このような現象を防ぐために、不具合の再現を含め、機能を網羅したテストケースを設定して、すべて実施し直すことです。
「テストツールを自社開発する前は、全テストを手動で行っており、非常に工数がかかっていました」と山崎氏。「2,000のテストケースがあるソフトウェアで、テスト中に予期せぬ不具合や要求変更が5回も発生したことがありましたが、この時は、1回のテストに10人がかりで、5回のテストをすべて手動で行い、合計250時間という工数がかかりました。つまり、設計などの上流工程や実装フェーズにおける頑張りで余裕をもたせた工数をテスト工程で使い切ってしまったのです」(図1参照)
図1:工数の予実績表
テンアートニがサンプリングしたプロジェクトから計測した傾向値(UT はUnit Test:単体テスト、IT は結合テスト、ST はシステムテスト)
「プログラムを組めば、お客様からの要求変更は必ずありますし、不具合の修正も起こります。ですから、テストという工程は必ず発生します。回帰テストは、同じような単調な作業の繰り返しで、開発者にとって非常に厳しいステップです」と語るのは、Webソリューション部コンサルタントの石原賢二氏。
「怖いのは、開発者が経験や勘に頼ってしまい、修正した個所の影響範囲をエンジニアが勝手に決めてしまうことです。『影響ないと思っていた』とか『予測していなかった』という属人的な判断は事故が起きたときの言い訳にすぎません。ですから、自動化を進めようというニーズはもともと社内にあり、自社開発もしてみたのですが、さらに効率化を進めるために、昨年から、回帰テストを自動的に行える商用のツールを比較検討してきました」(石原氏)
ソリューション

Web ソリューション部
エンジニアリング
グループ
コンサルタント
石原 賢二氏
経験と勘に依存しがちなテスト工程を自動化で標準化
テンアートニでは、回帰テストの省力化と品質向上の両面を解決できるソリューションとして、数社の回帰テスト自動化ツールを比較検討した結果、「Rational Functional Tester (RFT)」を採用することを2005年末に決めました。
「テンアートニは、オープンソースを使ったソリューション開発ベンダーですから、『RFT』が、Java ベースのテストスクリプトをサポートしている点を評価しました。また、管理ツール『Rational Test Manager』と同一画面で利用できることも
評価ポイントでした」と石原氏。
テスト現場の中心であるWebソリューション部の角本幸生氏は、「現場では、どうしても開発環境を変えたくないという意識が高くなります。理路整然としたツールを導入することで、勘に任せがちだった手動テスト時代の意識を標準化しなければならないと思っていました」と語っています。
導入効果

Web ソリューション部
エンジニアリング
グループ
角本 幸生氏
テスト工程を自動化するようになって約8 カ月。「効果はプロジェクトによってかなり異なりますが、おおむね期待通りです」と山崎氏。特に効果が表れた例として、画面数が90と比較的小規模の営業支援システム開発を挙げています。
「Webブラウザーから販売実績データを照会するシステムのデータベースのパフォーマンスチューニングという案件でしたから、新規のシステム開発ではありません。しかし、このような場合、チューニング前後の機能を保証しなければならない上、予算はあまりかけられず、早期にリリースしなければならないという制約があります」
「機能テストを自動化できると、同じテストのプログラムを何度でも再利用できますから、テストの実施工数は大幅に削減できました。操作ミスによる手戻りや検査もれを回避できるという効果も大きかったですね。テスト実施時の動作検証は
飛躍的に楽になりました」と山崎氏は語ります。このケースでの工数サマリー(図2)は、1日に消化するテストケースの数は、手動の18倍にも達していました。「これは、あくまでとても上手くいったケースですから(笑)。でも30~40%はテスト工数を削減できると思います」と角本氏。
図2:工数サマリー

将来の展望
テンアートニは、IBMにとっては、お客様であるとともに、「ソリューションデベロッパー」のビジネスパートナーでもあります。今回の導入で表れた効果を受け、RFTを中核にしたRational製品の導入やアセスメントから、トレーニング、テスト実施、コンサルティングなどを総合的に提供する「Rationalソフトウェアサービス」事業を立ち上げ、「ますます本気でテストビジネスを拡大していきたい」と山崎氏は意気込みを語っています。
お客様情報
サイオステクノロジーは1997年から、Java とLinux をコアテクノロジーとしたシステムインテグレーターとして、供給者の論理でない、お客様が真に求めるソリューションの開発を推進しています。2006年11月6日に社名変更。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴおよびRationalはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。
JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴはSun Microsystems, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。
Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
