掲載日 2006年11月1日
富士ゼロックス情報システム株式会社(以下、富士ゼロックス情報システム)は富士ゼロックス株式会社(以下、富士ゼロックス)のIT企業として、富士ゼロックスはもとより、関連各社情報システムの運用・保守といったITのシェアードサービス、コピア(複写機)や複合機内部の組み込み系ソフトウェアの研究・開発に取り組み、さらに外部の企業に向けて、これまで培ってきた技術力やノウハウを基盤とするITソリューション事業を展開しています。
こうした事業をより円滑に進めていくために、富士ゼロックス情報システムでは、証憑、帳票などのドキュメントの電子化を図ることになりました。手始めに調達業務部門において外部委託発注システムを導入。見積依頼から納品・検収、請求書照合までの業務プロセスを電子化することにより、業務効率の向上とガバナンス向上をめざしています。電子化により業務プロセスが透明化し、監査環境を整えることで、内部統制や金融商品取引法(通称、日本版SOX法)などで要求されている内部統制に対応できる業務環境づくりも容易になり、すでに、その成果も表れています。
外部委託発注システムを導入するにあたり、富士ゼロックス情報システムが発注データを統合管理するソフトウェアとして採用したのがIBMのContent Managerです。
お客様ニーズ

富士ゼロックス情報
システム株式会社
事業推進本部調達部
部長
村中 学氏
調達部門の業務プロセスを電子化、内部統制への波及効果にも期待
これまで、同社調達部では、見積書、注文書、納品書、受領書などの受け渡しはすべて紙ベースで行われていました。依頼者から紙で送られてきた帳票類を調達部で打ち直し、それをまた紙として受け渡していたため、依頼者側も調達側もオペレーションをしなければならず、二重の手間がかかっていました。手間がかかるだけでなく、入力ミスが発生しないとも限りません。
「調達業務のIT化促進が緊急の課題としてありました。IT化により業務の効率化を図るとともに、今、企業の内部統制が騒がれていますが、これにも対応していかなければならない。こうしたことが業務のIT化、すなわち外部委託発注システム導入の背景にありました」と話すのは同社事業推進本部調達部部長 村中 学氏。
同氏は「会社全体で内部統制に対する本格的な活動はこれからですが、関連書籍によると、財務諸表に関する業務はすべて電子的に管理することが有効というように書かれています。その意味では今回の外部委託発注システム導入は、内部統制を行う上でもメリットはあると考えました。担当者の業務行為に対して、責任者の承認がプロセスとして入るので、内部的にけん制をかけることができますし、またこのシステムを使うことにより、社員に対し我々が内部統制について一から教えなくても、自然に身に付けてもらえるのではないか」と外部委託発注システムの内部統制への波及効果にも期待を寄せています。
ソリューション

システム図
Content Managerで帳票データを一元管理、見積依頼書や注文書はシステムが自動作成
外部委託発注システムは大きく、外部委託発注を行う部分と、それに伴って発生する帳票をハンドリングする部分とから成っています。Content ManagerはDB2®、Tivoli®やWebSphere®ソフトウェアなどIBMの主力ソフトウェア製品を同梱したエンタープライズ・コンテンツ管理用の製品。今回は、システムの中枢として証憑・帳票データを一元管理するために使われています。
その工程について、同社ソリューションサービス事業部ERPSL部 グループリーダー 大須賀 隆氏は次のように話しています。
「見積依頼、発注、納品・検収、請求の業務をこのシステムでカバーしています。開発部門や調達部門がWebブラウザー上で見積依頼や注文などのオペレーションを行うと、システムの中で見積依頼書や注文書を自動作成してくれます。そして、こうした電子化された帳票類を格納・管理するのがContent Managerの役割になります」
Content Managerを採用した理由について大須賀氏は「Content Managerで管理できるコンテンツには論理的な制限がなく、文書ファイルやイメージファイルなどを無制限に格納でき、その際、属性情報も合わせて格納できます。これが採用の大きな要因になりました。これは他社製品にはない特長であり、価格も他社より安価でした。
さらに、マイグレーションが可能な点が挙げられます。通常、ハードディスクにデータをアーカイブしておきますが、古い情報を光メディアやテープメディアなどに移行しておいても、ユーザーはそれを意識することなくアクセスできます。まだ、この機能は活用していませんが、将来にわたってデータが増えても安心ですし、その有効活用といった点でもContent Managerは期待に応えてくれると思います」と話しています。
富士ゼロックス情報システムではSAP R/3によるERPソリューションのビジネスも展開していますが、Content ManagerはSAP R/3との親和性が高いことにも注目し、これも採用の決め手になったことを同氏は付け加えています。
導入効果

富士ゼロックス情報
システム株式会社
事業推進本部営業部
川崎 梨絵氏
業務時間が大幅に短縮、データのクリーン化で業務品質が向上
富士ゼロックス情報システムが外部委託発注システムの導入に踏み切ったのは、2005年9月。その3カ月後にはサービスインしていますので、かなりタイトなスケジュールのもとでの作業でした。
導入効果について、同社事業推進本部営業部 川崎梨絵氏は「業務時間が大幅に短縮できました。これまでの1/4から1/5ぐらいは短くなっています。ペーパーですと、ミスがあった場合、調達部の方からの修正指示に対し、手作業で処理をしなければならなかったのですが、全部システムの方で処理してくれますので、こうしたことも時間の短縮につながっていると思います。また遠距離にいる人からも、簡単にアクセスできますし、必要なデータの検索もとてもスムーズになりました。導入当初は、ちょっと面倒かなとも思いましたが、そんなことよりも、得られたメリットの方が大きいですね」と話しています。
調達部門の立場から村中氏は「データを2度入力することがなくなりましたので、注文書を作成する時間は、今はほとんどゼロと言ってよいでしょう。作成工数も調達部門を見てみると、導入後3カ月で1/10くらいにまで落ちていると思います。また、データはクリーンでなければいけないというのが基本コンセプトにありますので、依頼する側も、きちんと依頼しなければという意識になり、業務の品質は確実に向上しています」と業務効率以上のプラスアルファを強調しています。
業務品質の向上はプロセスの透明化がもたらした成果でもあり、このシステムによれば、前の工程が終わらなければ、次の工程へは進めないので、依頼者側は順序立てて、業務を進めていかざるをえません。口頭だけで注文依頼が来て、月末の処理の段階で請求書の宛先が不明になるということもなくなったといいます。
内部統制に関しても「これまで、いろいろ勉強する機会はありましたが、概念的なものばかりで、そういう意味では自分たちで具体例を作ったという自負はあります。内部統制の動きが電子化を加速させたとも言えますが・・・」と同氏は話しています。
将来の展望

富士ゼロックス情報
システム株式会社
ソリューションサービ
ス事業部ERPSL部
グループリーダー
大須賀 隆氏
部門から全社へ、さらに外部企業へシステムを展開
外部委託発注システム、すなわち証憑・帳票の電子化を今後同社では全社へ展開させる意向があり、さらに外部企業へのソリューションとしても展開していく予定です。
「全社的に展開していくのが今後のテーマで、2007年3月頃からになる予定です」(村中氏)
そのためには「システムをさらにブラッシュアップする必要があるし、マイグレーションの機能をどう使っていくかについても検証していかなければなりません。また外部への展開に関しましては、現在はSAP R/3との連携だけですが、他の基幹系システムとどう連携させていくかが課題になります」(大須賀氏)
日本IBMに対しても同氏は「引き続きサポートをお願いしたいのはもちろんですが、内部でContent Managerを扱える技術者を、もっと増やしていきたいと考えています。そのためには、DB2をはじめとしてトータルにトレーニングを受ける必要があり、それをまとめて受けられる仕組みをIBMには作ってもらいたい」と期待を寄せています。
部門から全社へ、さらに外部の企業へ。富士ゼロックス情報システムにとって、外部委託発注システムの導入は、IT化以上のエポックメイキングとして位置づけてよいでしょう。
お客様情報
富士ゼロックス株式会社の全額出資のもと、1984年に設立。同社のIT企業として、同社および関連企業のシステム構築・運営を行う他、そこで培った技術とノウハウを活かし、外部企業に対してもコンサルティングからシステム構築・運営まで、トータル・ソリューションを提供しています。

用語の説明
- 内部統制と日本版SOX法
COSO(the Committee of Sponsoring Organization of the Treadway Commission:米国のトレッドウェイ委員会組織委員会)の フレームワークによると、「内部統制」は、次の三つの目的を達成するためのプロセスであると定義されています。
(1)業務活動:業務の効率化・効果的な遂行
(2)財務報告:株主が信頼しうる適切な財務諸表の提供
(3)法令順守:各種法令や関連する社内規定の順守
日本版SOX法では三つの目的のうち財務諸表に係わる内部統制を中心に対応が求められています。
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