山形県は秀麗な山々に囲まれ、最上川流域の田園が広がる美しい自然に恵まれた地域として発展してきました。現在の人口は約120万人。全国の生産量の65パーセントを占めるサクランボ栽培を始め、多彩な産業が展開されています。
山形県庁は「情報システムフレームワーク」構想に基づき、日本でも初めて、SOA*1/ESB*2製品を核として自治体共通基盤の構築に取り組んできました。「住民の利便性向上」「簡素で効率的な行政運営の実現」「地域IT産業の振興」を基本目標とする、山形県電子県庁の推進計画が具現化のフェーズを迎えています。
*1 Service Oriented Architecture(サービス指向アーキテクチャー)
*2 Enterprise Service Bus
山形県は、平成13年度に基幹高速通信ネットワーク整備を進め、幹線系1Gb、県機関100Mbの高速回線を敷設し、Virtual Local Area Network(VLAN)により業務系ネットワークを一元化しました。これを機に、県情報システムの全体最適化を目指す取り組みが始まります。平成14年度に県庁内に一元的なイントラネットが整備され、翌15年度には従来のホストシステムからの脱却を視野に入れた共通基盤の基本設計に着手しました。平成16年度に入り、共通基盤の詳細設計を進めるため、それまで個別に構築・運用されてきた全86システムの棚卸を実施しました。その結果、システム開発ルール未整備、マスターデータの重複管理、セキュリティー対策の不統一、システム構築・運営管理体制などの課題が明らかにされました。
「Webサービスの連携や、全体の共通基盤の上に個別業務システムの粗結合をはかることなど、現在のSOAに通じる方向性は、3年ほど前から生まれていました」平成13年から山形県情報システムの全体最適化構想に取り組んできた、山形県総務部改革推進室情報企画課主査 佐藤 寿紀氏は、検討経緯を説明してくれました。
平成16年度からは、県内全市町村との共同利用を前提に、県民や県内企業を対象とする電子申請のWebサービスの設計が始まりました。開発に当たってはIBM WebSphere® Integration DeveloperがWebサービスをコーディングなしでスムーズにつなぎ合わせるツールとして活用されました。また、実行エンジンとしては IBM WebSphere Process Serverおよび IBM WebSphere Application Server が導入され、個別業務アプリケーションの共通基盤としてESBが構築されます。約2年におよぶ詳細設計・開発期間を経て、平成19年3月1日、24時間365日の電子申請システム「やまがたe申請」が始まりました。
「時間や場所の制約なしに申請届出や施設予約の手続きが行えるため、県民の利便性向上に役立ちます。また、県と全市町村の共同構築・運用により、経費の圧縮やセキュリティー確保の面からもメリットが生まれます」山形県総務部改革推進室情報企画課電子県庁企画主査 細梅 日出樹氏は、いよいよ具現化され始めた情報システムフレームワークへの期待を語ります。
電子申請と連携する形で、試行的に県職員の採用試験受験申込システムとの連携をテストしています。電子申請も含め、これらのシステムは、情報システムフレームワーク構想に基づく山形県のSOA展開の実証実験ともなるプロジェクトです。ESB構築のためにIBM製品を選定した理由について、細梅氏は「現実的なESB構築ツールは現時点ではIBM製品しかないと思っています。将来的に世界の情報システム開発において、SOAの考え方が主流になっていくでしょう。SOAのトップランナーであるIBMを選択し、WebSphereを導入したことは、ノウハウの吸収という意味で大いに役立ったと思います」と、語ってくれました。