掲載日 2007年11月6日

株式会社
JPビジネスサービス社屋株式会社JPビジネスサービス(以下、JPビジネスサービス)は、J-POWER のIT部門を任されているグループ企業の一社です。親会社であるJ-POWER(電源開発株式会社)は、全国約70拠点に発電所を持ち、電力10社に販売する電力卸事業者です。このため、JPビジネスサービスの事業は人々の生活や経済活動には欠かせない社会インフラである「電力供給」をITシステムで支えるという大変重要な役割を担っています。
中でも、電力を安定供給するための核となる重要な電力系統監視制御システムのプロジェクトで、障害追跡管理および変更管理を行うためにIBM Rational® ClearQuest®の導入を実現しました。このツールを導入したことで、試験フェーズにおける変更管理が容易となり、開発製品の品質の維持・向上を実現しました。
お客様ニーズ

株式会社
JPビジネスサービス
電力技術部
電力流通システム
グループリーダー
田中 哲哉 氏
紙ベースでの障害追跡管理や変更管理の
限界を感じ変更管理ツールの導入を検討
システム開発では、障害追跡管理や変更管理の徹底は重要な要素ですが、JPビジネスサービスの電力システム開発部門ではこれらの管理をMicrosoft®Excelに入力し、紙に出力して管理するという方法(承認プロセスで認印が必要であったため)を取っていました。このような紙ベースでの管理を行っている場合、自社内や外注先、協業メーカーの中で障害管理シートや変更管理シートのやりとりの中で、記載された障害への対応状況のタイムリーな把握が難しくなりました。
そこで障害追跡管理や変更管理ができるツール導入の検討を2004年ごろからスタートさせました。当時の状況を振り返り、JPビジネスサービス 電力技術部 電力流通システムグループリーダー 田中 哲哉氏は次のように話します。
「紙ベースでの障害追跡管理や変更管理では、ひどいときにはシート自体を紛失してしまうこともあり、開発するシステムが中規模、大規模の場合、紙ベースでの管理の限界を感じていました。ちょうどそのころ、オブジェクト指向開発の導入検討のワークグループのメンバーとしてRational Unified Process®(RUP®)導入のメンタリングに立ち会ったのですが、その中でRationalにはさまざまなツール群があり、Rational ClearQuestが障害管理や変更管理ツールとして有効なことが分かったのです」
ソリューション

システム図
現場のニーズに合致していたRational ClearQuestをパイロットプロジェクトで導入
Rational ClearQuestの機能が障害管理や変更管理に対する現場のニーズに合致していることが分かり、田中氏は本格導入へ向けて早速パイロットプロジェクトを立ち上げました。
「機能的にはニーズに合致していたので、導入に当たっての懸念はありませんでした。ただ、留意しておきたいと考えたのは、経営層と現場との両方の理解を得ることです。そこで、企画部門主催による経営層向けの説明会を開催し、さらにプロジェクトマネージャークラスに向けてRational ClearQuest適用事例の紹介を行いました。これにより関係各所の理解を比較的スムーズに得ることができたと考えています」(田中氏)
2005年にはパイロットプロジェクトが開始されました。Rational ClearQuestを導入したこのプロジェクトでは、障害管理シートや変更管理シートを電子化することで、変更管理プロセスの可視化につながり、変更管理が容易となり、現場のニーズに応えることができることを実感しました。
「パイロットプロジェクトでの最終評価を受けて、本番プロジェクトへ導入することを決めました。導入の決め手としては現場のニーズに合致していたことが一番ですが、Rational ClearQuestは単体で導入でき、単体で動作するツールということも決め手の一つでした。弊社電力システム開発部門ではソースコードのバージョン管理はCVSを導入しており、それが定着していたため変えたくはなかったのですが、Rational ClearQuestは単体で導入でき、機能的にも重複がなかったため、CVSとの共存が可能だったのです」(田中氏)
導入効果
プロジェクトの状態をリアルタイムに把握、
ライフサイクル管理が確実になり変更も簡単に
パイロットプロジェクトへのRational ClearQuest導入が成功した後、2006年には二つの開発プロジェクトでの本番運用に着手しています。そのうちの一つは、電力の安定供給を制御する電力系統監視制御システムという大規模プロジェクトでの運用です。
「紙ベースでもRational ClearQuestを使った場合でも、初期段階の入力の手間は変わりません。しかし、Rational ClearQuestを導入することにより、プロジェクトが今どんな状態にあるのかがリアルタイムに分かることでライフサイクルの管理が確実になり、障害追跡管理も確実にできるという大きなメリットが期待できました。省力化のための導入ということではなく、このようなメリットのために導入したわけです。なお、Rational ClearQuestは主に試験フェーズで使っていますが、このツールを入れたことにより、重要ではあるが地味な作業である試験作業において、担当者自身がRational ClearQuestのクエリ機能を利用して障害処理状況をリアルタイムで把握できるようになったことで試験作業が活性化されるという、事前には予想し得なかったメリットが生まれたこともうれしいですね」(田中氏)
さらに大きな視点から見ると、Rational ClearQuestを運用することにより、JPビジネスサービスが取得したISO9001:2000のトレーサビリティーの確保の確実性を増すことができました。
将来の展望
リモートで使える環境を整備して
協業メーカーや外注先も統合して運用
現在、Rational ClearQuestを本番運用しているプロジェクトはまだ進行中ですが、イントラネットの環境で運用しているため、今後はリモートで使える環境を整備して協業メーカー様や協力会社様とも統合して使えるようにしていくことを田中氏は考えています。
「Rational ClearQuestには、所定の形式で電子メール送信すると障害管理シートや変更管理シートへ流し込める機能が有ります。それを使いこなすことで、さらにRational ClearQuestのメリットを受けることができると思います。また、その後アップしたバージョン7.0に実装された承認機能をワークフローに組み入れることも考えています。障害管理シートや変更管理シートのトレーサビリティーの確保と併せて、IT全般統制の強化や日本版SOX法への対応にも役立つのではないでしょうか」
将来的には、プロジェクトの工程管理やコスト管理、リソース管理のために、Rational Portfolio Managerの導入も検討しているという田中氏。同社のプロジェクトの品質はさらに向上していくことでしょう。
お客様情報
J-POWER(電源開発株式会社)の完全民営化にともない、電発産業株式会社、株式会社開発計算センター、J-POWERシェアードサービスセンターを統合して2004年4月に設立。J-POWERグループにおけるIT関連・周辺業務を担当する企業として、情報システムに関する全般的なサポートを担っています。
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用語の説明
- CVS
CVSとは、Concurrent Versions System (並行バージョンシステム) の略。テキストファイルの変更を記録し管理するバージョン管理システムのことで、主にソフトウェアの開発にともなうソースコードを始めとしたテキストファイルの共有(保存、取り出し)に使われる。
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