掲載日 2008年1月21日

データセンター(福岡)中京地区を中心に海運貨物や航空貨物を取り扱う三協株式会社(以下、三協)は、災害や故障だけでなくエラーや犯罪も事業継続を阻害する要因と考え、それらを防ぐ堅牢なシステムを作り上げました。このシステムにおいて、不必要なコスト上昇を抑える一翼をIBM System i™ファミリーが担っています。
お客様ニーズ

三協株式会社
情報システム室 室長
原田 孝明 氏
信用を維持するために事業維持は必須
輸入者と輸出者の間で行われる貨物の流通には、銀行、船会社、保険会社、税関、領事館、倉庫業者、梱包業者、検査機関など、さまざまな機関や企業が関係します。また、これらの機関や企業の間では類似した内容の書類が受け渡されますが、その書式は機関や企業ごとにそれぞれ異なっています。自動車部品、鋼材、情報機器などの海運貨物を取り扱う三協が初めて導入したコンピューターシステムは、このような機関や企業ごとに異なる書類作成の手間を削減するためのものでした。
海運貨物の取扱いに関する情報を電子化した三協は、さらにそのデータを顧客のために生かす方法を考え、船積業務のリードタイムも短縮しました。これによって、三協の取引先企業は、船積までの倉庫保管にかかる費用を削減できました。また、三協は、船積に関する情報を提供するWebシステムも構築しました。取引先企業の海外拠点は、このWebシステムを利用することで、送られてくる荷物の内容をいち早く把握し工程管理が容易になりました。
このような情報の電子化と提供によって、三協は、多くの企業の信用を勝ち取りました。しかし、この信用を維持するために、よりシビアにBCP(事業継続計画)に取り組む必要もありました。
三協の情報システム室で室長を務める原田孝明氏は、真剣にBCPに取り組まなければならない理由を次のような例を挙げて話されます。「取引先の一つである自動車部品メーカーは、三協を経由して世界各地に部品を輸出しています。このため、何らかの原因で三協での業務がストップすると、その企業の部品輸出が停止してしまいます。これは、三協だけでなく、この企業にとっても大きなダメージになります」
原田氏と同じく情報システム室に所属される川口修氏は、海外拠点への影響を次のように説明されます。「Webシステムによる情報の提供が滞ると、それを参照している海外拠点での輸入業務も停止してしまう可能性があります。このため、現在はシステムを止められない状態になっています」
ソリューション

システム図の拡大
災害、故障、エラー、犯罪の視点からBCPを検討
三協は、事業継続を損なう要因を、災害、故障、エラー、犯罪の観点から検討しています。災害では、火災や停電などの特定地域でのものに加えて、広域災害である地震による影響も検討しています。そして、コスト、交通の便による距離感、技術者の多さ、保守部品の入手しやすさ、管理のよさとともに、地震に対する地盤の固さやこれまでの地震発生の頻度も考慮して、福岡市にあるデータセンターにサーバーマシンを設置することを決定しました。
また、故障による影響を考え、ハードウェアや回線を二重化しシステムの冗長性を十分なものにしています。「事業継続性を確保するためには、冗長性を完璧なものにしておかなければなりません。サーバーマシンだけを冗長化しても、ネットワークに障害が発生すれば結局システムは止まってしまいます」(原田氏)
さらに、三協は、福岡市のデータセンターに設置したSystem i5™を本番機とし、本社にあるSystem i5をバックアップ機としました。このような運用を採用した理由を、原田氏は次のように説明されます。「実際にトラブルが発生しデータセンターに駆けつけてそれを解消するときに、不足しているものや確認しなければならない項目があり、データセンターとの間のコミュニケーションに難しい部分が出ると考えました。これに対して本社のサーバーをバックアップ機とすることで、本番機に何らかのトラブルが発生しても、バックアップ機が目の前にあり、すべてが手元にそろっているため、いち早い復旧が可能になります」
さらに、原田氏は次のように説明を続けます。「データセンターのような堅牢な場所をバックアップ機環境にすることは、非常にもったいないとも思いました。本番機環境は、きちんとしっかりとしていて、地震、火災、津波、停電などに強い所にし、回線やハードウェア障害に備えるのが当然のことだと思います」
三協は、エラーや犯罪も事業継続を損なう要因ととらえています。「エラーや犯罪についても真剣に考えなければなりません。操作ミスなどの人的エラーをなくすには、きちんとしたマニュアルを用意する必要があります。また、情報漏えいやコンピューターウイルスなどの犯罪に対してもさまざまな対策を施すことで、『真にリスクに備えた』ことになると思います」(原田氏)
災害、故障、エラー、犯罪といったさまざまな要因に対してそれぞれ対策を講じていくことには、多額の投資が伴うように思えます。三協は、ハードウェア購入以外のシステム構築作業のほとんどを社内の要員で行うなど、常日頃から不要な出費を抑え投資効果を高めるように努力し続けています。「世間一般で言われているとおりに行うのではなく、なぜほかのやり方ができないのかを考えるようにしています。どのようなメリットが得られるか、問題を解決する方法はほかにないかを常に考えています。このように考えることで、使用する機器の構成や方法もいろいろと変わっていきます」(原田氏)
また、このように問題点や改善点を常に考え続けることもBCPの一環であると、原田氏は話されます。「自分たちでやろうという考え方も一つのBCPです。BCPに対する考え方は、みんなで話し合っていかなければならないし、その姿勢が大切だと思います」
導入効果

三協株式会社
情報システム室
川口 修 氏
System i でサーバー統合、
遠隔地のWindowsサーバーを効率よく管理
三協でのこのような活動の一翼をIBM System iファミリーが担っています。それまで使用していたMicrosoft®Windows系やLinux®系のOSは、System i上で統合され一元管理されています。また、福岡市のデータセンターでは、System i上のブレード・サーバーを採用することで保守にかかる費用や手間が削減されています。
川口氏は、ブレード・サーバーの有用性について次のように話されます。「実際に障害が起きたときには、1Uではケーブル抜けなどの懸念から難しい現場の保守担当者による交換作業も、ブレードのみの交換であるため依頼できます。また、ブレード・サーバーでは、起動時のコンソール出力を遠隔地であるこちらからも確認できます。このため、起動時のBIOSエラーを手元で確認しながら、現場の保守担当者との電話連絡だけで対処できます。さらに、データセンターでは、利用料金がラック単位で加算されます。ブレード・サーバーを採用することで、熱対策などを考慮しながら一つのラックにシステムをコンパクトに収め利用料金を低く抑えています。このようなことから、遠隔地にサーバーを設置するときのブレード・サーバーの有用性は非常に大きいと思います」さらに川口氏は続けます。「サーバーそのものの冗長性を最小限に抑えられたのは、System i が持つ信頼性の高さのおかげです」三協ではAS/400®から長年にわたって同システムを使用していますが、「システムトラブルはほとんどなく、だからこそ、一歩先を行く、より堅牢性の高い環境が構築できた」とも話されています。
将来の展望
事業規模を拡大するためのBCP
このように事業継続性を確保するために行動している三協は、さらに脆弱(ぜいじゃく)性の検査、不正アクセスの防止、認証の強化、ネットワーク遅延への対応にも注力しています。そして、これまでと同様に、それらも取引先企業に提供していこうと考えています。「三協が持つ環境を、取引先である荷主が個別に構築することは困難です。このため、こちらの環境を荷主に貸し出し、顧客の取引に協力していこうと考えています。より安全な環境にすることで、三協の環境を利用することを顧客に提案できます」(原田氏)
三協は、情報の電子化と提案によって現在の立場を得ました。そして、新たな提案によって、より大きな立場を得ようとしています。つまり、三協にとってのBCPは、現在の事業を維持するだけでなく今後の事業規模の拡大にもつながる大切なものなのです。
お客様情報
三協株式会社は、名古屋港を中心として輸出入貨物の流通業務を、コンピューターシステムを生かしてタイムリーかつスピーディーに行っています。また、船積や陸揚に関する情報をインターネット経由で荷主にフィードバックするなど、物流のシームレス化を目指すコンサルタントとしてあらゆるニーズに応えています。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM,IBMロゴ, AS/400,System i,System i5はInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
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