掲載日 2008年2月4日

三鷹市立図書館本館三鷹市立図書館では、平成19年(2007年)11月27日から図書館システムCLIS/400が稼動しています。このシステム更新に合わせてリライトカードを導入し、移動図書館機能を充実させるなど、利用者サービスが大幅に向上しました。
お客様ニーズ
プロポーザル形式で図書館システムを選定
「以前のシステムは平成11年(1999年)に導入したもので、システムの入れ替えと再構築が必要でした。選定に際しては、プロポーザル方式を取りました。応募した会社にプレゼンテーションをしてもらい、検討委員会で検討し、CLIS/400の導入を決定しました」と三鷹市立図書館 図書館システム担当課長 大島克己氏は導入の経緯を語ります。
ソリューション

三鷹市立図書館
図書館システム
担当課長
大島克己氏
今回のシステムの特長は、大きく分けて4点あります。
1. 基本の図書館システム運用と将来を見据えた仕様
「まずは基本のシステムを、定義した要件どおりにきちんと安定的に稼動することです。例えばインターネットからの在庫の予約ができること。今までは貸し出し中の本にしか予約ができませんでした。さらに携帯電話Webからの検索・予約などができることも必要でした」
また、今までは職員の方が、利用者情報をすべて登録していたそうです。
「パスワードも職員が入力していたんです。パスワードまで入れるのはおかしいと思いました」と大島氏。また、利用者各個人のメールアドレスも入力していましたが、必ずしも正確に入力できるとは限りませんし、「お客さんが書いたメールアドレスも正確とは言えない場合もある」と大島氏は指摘します。
新システムになって、本人の認証など、職員がすべき作業は職員が、メールアドレスやパスワードなどの利用者の個人情報は、自らがインターネット経由や携帯電話Webから入力してもらう方式に変更しました。これにより、利用者の個人情報を保護し、職員の入力ミスも軽減できるようになりました。
併せて、長期延滞者には貸し出しできなくするため新たな仕組みも導入したそうです。
2. ICタグとの連携
次の特長は、「ICタグとの連携が図れること」です。「次世代の仕組みがもう見えています。三鷹市立図書館では、平成20年度からのICタグ導入の計画を進めています。ですからICタグとの連携は絶対条件でした」と大島氏は語ります。
3. リライトカードの導入
3番目の特長と位置づけているのが、リライトカードの導入です。
リライトカードとは、リライトカード・リーダー・ライターを使って、字やバーコードを書いたり消したり、また読み取ったりできるカードです。三鷹市立図書館で導入したカードは、理論上500回以上書き換え可能です。
図書館でのリライトカードの導入は、東京都内では初めての事例で、全国的にも珍しい先進的な取り組みです。新聞3紙にも取り上げられました。
利用者は、手元のカードでいま借りている本と、返却日が確認できて大変便利です。
「今までのカードに比べ単価が高めですので、導入にあたっては慎重に検討しました。結果としてお客さんには非常に好評で、導入してよかったと思いました」と大島氏は語ります。
「実はお客さんからの問い合わせの中で一番多かったのが、『何の本を、いつまでに返せばよいのですか?』というものでした。それがカードを見れば分かるようになったのは、大きな進歩ですね」
リライトカードは、次世代のICタグとの連携も視野に入れて、導入したと言います。「ICタグ導入後は、貸し出しをお客さんにすべて自分でやってもらうようになります。このカードを使えば本人認証ができると同時に、借りた本と返却日がカードに印字できて、その場で確認できます。ですから、ICタグとの連携への仕組みを作りやすいと判断して、導入したのです」と大島氏は導入の経緯を語ります。
4. 移動図書館を刷新
三鷹市立図書館には、移動図書館「ひまわり号」があります。多くの市町村同様、三鷹市でも、車に本を積載して市内13カ所を回り、本の貸し出しや予約本の取り寄せなどの業務を行っています。
遠くの図書館まで出向くのが困難な、高齢者や乳幼児を抱えた子育て中の母親などを中心に、移動図書館の利用者数は伸びていましたが、市としては廃止するという案もあったそうです。
その移動図書館が、それほど多くない費用で、非常に便利に生まれ変わったと言います。
導入効果

借りている本
と返却日が印字され
たリライトカード
移動図書館は「動く窓口」に
今まで、移動図書館では、貸し出しや返却の業務は、専用のスタンドアロンの端末を使って行っていました。予約や検索はその場ではできなかったため、利用者から質問があると、「図書館に戻ってから調べてご連絡申し上げます」と対応するしかなかったそうです。
今回、システムの入れ替えに合わせて、移動体通信を使用した移動図書館用のオンライン端末を導入しました。電源周りでは車のバッテリーからの電力供給が安定せず、苦労があったとのことですが、通信は快適だそうです。
「本館のシステムが本当に速いので、それに比べれば若干の息継ぎがあるのを感じます(笑)。ですが、業務には全く支障がありません。移動体通信で接続したことで、本館の窓口と同じ業務ができるようになりました。リライトカードの発行、印字はもちろん、市内の図書館と同じように検索や予約もできます。まさに『動く窓口』です」と、大島氏はその成果を語ります。
リライトカードを追加発注
新システムの数ある特長の中で、一番手ごたえを感じたのはリライトカードでした。
「三鷹市立図書館の実利用者数は、約2万6千人です。システム稼動日の11月27日から翌年3月31日までが今年度ですから、今年度は残り4カ月程度です。まさか4カ月で2万6千人は来ないだろう、と試算し、リライトカードを2万枚刷りました。実はまだ1カ月と少し(インタビュー時)しか経ってないのですが、2万枚使い切りそうなんですよ。それで5千枚の増刷をしているところです。各館から足りない、と電話が掛かってきて驚いています」と、大島氏は反響の大きさを語ります。
また、2世代以上前の古いカードをリライトカードへ交換する利用者も見られ、「リライトカードの導入が利用者の掘り起こしにつながっている可能性もある」とのことです。なお、プライバシーに配慮し、このリライト図書カードには名前を書く欄がありません。家族内での識別などに必要な場合のみ、小さく記号などが書けるようになっています。
大島氏は「公的機関として予算の使い方には気を使います。多くの人に喜んでもらえて、カードがなくなるくらい人気のある現状を見ると、単価は少し高くなっても採用したのは正解だったと思います」と手ごたえを語ります。
システム化で作業量を軽減し、対人のサポートを強化
在庫の予約ができるようになり、1日100件程度だった予約数が300から400件へと大幅に増えたそうです。
「予約本の確保に、今まで以上に時間がかかるようになりました。また貸し出しの際も、リライトカードに印字する分、数秒時間がかかるようになっています。しかしシステムのスピードが格段に上がっていますし、減った業務もあります。例えば今まで、返却期限を印刷したしおりを作り、貸し出すときに本に挟んでいましたが、しおりは本館だけで、1日1,000枚以上が必要でした。こういった業務がなくなっています。端末の立ち上げとシャットダウンも自動化しました。トータルの業務量はむしろ減っているのではないでしょうか」と大島氏。
そして大島氏は、「できるだけ職員の作業を軽減して、システムで対応できるところは自動化し、人間でなければできない業務に人間的な投資をしていきたい。蔵書の充実はもちろんですが、『どんな本を借りたらいいか』、『こういうことを調べたい』といったレファレンス業務は、コンピューターではできない仕事です。また、高齢者や子どもの検索入力のお手伝いなども重要な業務と位置づけ、職員が交代でサポートしています。人間が人間に対応しなければできない業務に、たっぷりと時間をかけて、それ以外はシステムで対応していけば、手厚いサービスができるようになると思います」と、サービスの向上について熱意を込めて語ってくれました。
レファレンス業務の一貫として、三鷹市に関する新聞記事見出しのデータベースも新たに構築しました。市長室や広報課などからも、「便利になった」と喜びの声が届いているそうです。取材時の1月には、全国高等学校サッカー選手権大会における都立三鷹高校の活躍記事などが最新記事として登録されていました。
将来の展望

ICタグの導入計画を進行中
三鷹市立図書館では、システムが本番稼動してすぐに、次のシステム拡張である、ICタグ導入の計画を進めています。
大島氏は、「貸し出し、返却の自動化は当然のこと。さらには確保された予約本も利用者の方が、示された予約本配架棚から自分で持ってくるようなシステムを目指したい。そうすればお客さんもITのよさを実感できるようになると思います」と将来の展望を語ります。
移動図書館に関しては、障がいのある方などへの本の宅配も視野に入れています。「次世代の移動図書館は、障がいがあったりして図書館や移動図書館に、直接お越しになるのが難しい方へのサービス、つまり福祉図書館のような形態へ変わっていく可能性が非常に高いと思っています。現在の移動図書館のシステムは、もうそれができるインフラを備えています。移動体通信機能を備えたパソコンを一台持って行けば、ベッドの横ででもご要望に応じて入力、検索し、その場で予約ができます。そして『では次回お持ちします』ということが可能になるのです」(大島氏)
図書館の利用者である市民を「お客さん」と呼ぶ大島氏。「お客さん」へのサービス向上を第一に考えた、今後のシステム発展にも目が離せません。
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
