掲載日 2004年11月8日
Charles Schwab社(チャールズ・シュワブ社)は、米国サンフランシスコに本社を持つ大手オンライン証券会社です。同社はオンラインと実店舗との連携(クリック&モルタル)により、従来のオンライン企業よりも多角的なサービスを提供することに成功し、オンライン・トレーディングのリーダーとして成長を続けています。
同社では、資産家であるお客様に対してポートフォリオ・マネージメントサービスを提供。その資産運用パターンをシミュレーションするために、およそ4分という時間を必要としていました。
そこで、同社はグリッド・コンピューティング技術に着目。グリッド化を推進しているIBMと共同研究を行い、その結果としてシミュレーションにかかる時間を約15秒まで短縮することに成功し、同サービスの質とお客様満足度の向上を実現しました。
目次
お客様ニーズ
ITリソースを有効活用し、サービス力を強化
大手証券会社のチャールズ・シュワブ社は、オンライン・トレーディングのサイトや資産運用のマネージメントなどをはじめとする各種サービスを提供しています。
同社では、株取引における業務、顧客管理アプリケーション、ポートフォリオ分析(資産運用の相談サービス)など、それぞれの業務にあわせ、ITリソースを個別に確保していました。
同社は、業務効率の改善とITリソースの有効活用を拡大するため、現状のシステムにおける問題点を洗い出すことにしました。
現状のシステムの問題点
- 業務ごとにサーバーが乱立しているアプリケーションごとにサーバーを用意しているため、管理が複雑になってしまう。
- サーバーを十分に利用できていないピーク時のワークロードを考えたサーバー構成にしているため、通常業務では多くの余剰ITリソースをかかえてしまう。
- 重要なビジネスアプリケーションのレスポンスを向上したい現状ではポートフォリオ分析のシミュレーションに4分ほどの時間がかかってしまう。
そこで同社はIBMと協力し、グリッド化を促進することで総合的な業務改善を計画。まずは資産運用パターンのシミュレーションを行うポートフォリオ分析のソフトウェアをグリッド環境で利用できるようにし、投資家であるお客様へのサービス改善に乗り出しました。
グリッド環境の構築で得られるメリット
グリッド環境を導入すれば、既存のITリソースを活用しながら処理能力の向上が可能になるため、業務効率の向上とIT運用コストの削減を同時に図ることが出来ます。
- より高度かつ頻繁な分析業務の実施
コンピューターを連携させることでシミュレーション時間を短縮させ、高度な資産運用分析を何度でも行うことが可能になりました。 - 新規ソリューション開発時間の短縮
小規模なシステムから徐々に拡張することが可能なため、新規のソリューションを素早く投入することができます。 - IT運用コストの削減
複数の専用サーバーを使用した場合に比べ、管理・運用にかかるコストを総合的に削減できます。 - 自社内のプロセッサー・リソースとストレージ・リソースを最大限に活用
余剰ITリソースを活用することによりリソース使用率を高め、システムの無駄を削減します。
ソリューション
財産管理アプリケーションをグリッド化
同社の先端技術グループは、IBMとの協業により既存のアプリケーションをグリッド環境で動作させるべく取り組みを開始。OSにRedHat Linux、ハードウェアにIBM eServer xSeries 345を、そしてミドルウェアにWebSphereを採用し、グリッド環境の構築に取り組みました。
それまで個別の業務のために構成されていた各システムを、グリッド化によりひとつのネットワークに連携。通常のオンライン証券業務用に確保していたITリソースをポートフォリオ分析に解放し、ネットワーク内の余剰ITリソースをシミュレーションの処理に転用できるように再構築しました。
今までは、各業務で使用するサーバーは個別管理する必要がありましたが、各業務をグリッド化されたネットワーク内で行うことにより管理を一括化。さらに、シミュレーションの算出処理をグリッド化されたネットワーク内の余剰ITリソースで並列処理を行うことにより、処理の高速化とITリソースの効率的な活用を促進することに成功しました。
導入効果

グリッド環境の
導入による効果
図の拡大
数分から数十秒へ短縮
具体的には、グリッド環境に移行する以前の環境では、資産運用のシミュレーション結果を出すのに約4分以上の時間を必要としていましたが、グリッド環境への移行後には、この金融アプリケーションの処理時間を約15秒に短縮することに成功しました。
この結果、シミュレーションの結果を素早く得ることが出来るようになったため、お客様に対しての電話口での投資相談において、より広範囲かつ効果的な提案をタイムリーに提供できるサービスを実現。さらに、お客様からの問い合わせに対する応答時間も短縮できるため、同社ではお客様満足度を向上することができました。
また、グリッド構築の効果は、CPUやストレージ、メモリーなどのITリソースの稼働率を向上させることにも貢献し、IT環境の無駄を軽減することも実現。もちろん主要業務であるオンライン証券業務にも、ピーク時に安定した高いQOS(Quality of Service)を確保することを実現しています。そのため同社では、今後もさまざまなソフトウェアや業務にもグリッド環境を活用できるよう、新たな計画を進行中です。
この経験をもとにしたアプリケーション WebSphere Application Serverの拡張
またIBMは、このグリッド化の成功例をもとにe-ビジネス基盤ソフトウェア製品群WebSphere Extended Deployment(WebSphere XD)を開発。企業のシステムの処理性能を自動的に最適化することによって、お客様サービス向上とITコスト削減を実現し、本格的なオンデマンド・インフラを実現するミドルウェアとして活用されています。
将来の展望
より多くの分野にグリッドの適用を
現在、同社では、このグリッド技術を他のビジネス分野にも適用できるか検討しています。
同社の先進技術マネージング・ディレクターのオーレン・レイマン氏は以下のように述べています。
「オープン・スタンダードで構築・デザインされているグリッド・コンピューティングは、私たちのサービスの品質向上に多大なる影響を及ぼし、私たちのビジネスを向上させる上で真に画期的な技術になる可能性を持っていると確信しています」
お客様情報
お客様名:
Charles Schwab社
URL:
1963年に創業。オンライン・トレーディング事業に進出し、以後オンラインの店舗と実際の店舗の連携による優れたサービスにより、オンライン証券業界の最大手として躍進を続けています。
製品・技術情報
ハードウェア
ソフトウェア
ソリューション
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、 IBMロゴ、ibm.com、eServer、xSeries、およびWebSphereは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
LinuxはLinus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれの各社の商標。