掲載日 2008年6月3日
株式会社フジ(以下、フジ)は愛媛県松山市に本部がある、食料品・衣料品・日用品等の小売販売を行うチェーンストア業の会社です。瀬戸内を中心にした四国・中国の主要都市に出店し、その周りに衛星店を配す店舗展開戦略により各エリアでのシェア拡大を図っています。総合流通業の市場全体が飽和状態にある中、どのように事業を拡大していくかという課題に直面しながら着実に店舗数を伸ばし、2008年4月末現在で90店を数えます。こうした状況にあって、商品情報や顧客情報などのデータ量は拡大の一途をたどるとともに、その質も大きく変わってきました。これまで使ってきた汎用機を見直す必要にも迫られ、2005年5月に汎用機からIBM System i™(以下、System i)に基幹系・情報系のシステムを移行するというマイグレーション・プロジェクトを立ち上げ、2007年3月よりSystem iでシステムが稼働しています。
お客様ニーズ

株式会社エムツ
ーシステムズ
常務取締役
永井 敬三氏
増え続けるデータ量に、コストパフォーマンスに限界があった汎用機
このマイグレーション・プロジェクトを推進してきたのはフジグループおよびF&Aアクアグループの情報システム会社である株式会社エムツーシステムズ(以下、エムツーシステムズ)と日本IBMのビジネス・パートナーである日本ビジネスコンピューター株式会社(以下、JBCC)。エムツーシステムズはフジおよびアスティの情報システム部門が独立した会社で、フジのシステム管理・運営を中心に他社のシステム開発・サポートも手掛けています。
汎用機からの移行という大規模なマイグレーションがなぜ必要だったのか。エムツーシステムズ常務取締役 永井敬三氏はその理由を二つ挙げています。
「一つは、フジが小売業ということもあって、毎年店舗が増え続けています。最近は市場全体が飽和状態になっているとはいえ、店舗数は拡大し続け、それに伴ってデータ量が圧倒的に増えてきました。しかも、単なるボリュームアップでなく、細分化されてのボリュームアップです。例えば、今はデータ化されていますが、仕入伝票だけでも、同じ仕入であっても枚数が増え、仕入の中身も細かくなっています。こうしたデータの増え方に従来のように汎用機で対応しようとすれば、かなりグレードを上げていかなければなりません。コストパフォーマンスを考えたときに、果たしてそれでよいのかどうか。相当コストがかかることは避けられません。こうした細かいデータを効率よく扱っていくための仕組みを新たに考えるべき時期にきたのです。とにかく、汎用機で四苦八苦していましたから」
もう一つの理由として永井氏が挙げていたのはオープン環境への同社スタッフの対応です。フジおよびアスティの情報システム運営・管理を汎用機で行ってきた同社ですが、システムのオープン化が進む中、そのスキルをスタッフ自身が身に付ける必要があると同氏は話しています。フジグループの一員であるとはいえ独立した組織体である以上、他社のシステム開発も取り込む必要があり、そのためにオープン化のスキルは必須であり、今回のマイグレーションによるSystem i の導入は、そのきっかけとしても重要と同氏は位置づけています。
ソリューション

システム図の拡大
パフォーマンス、運用管理などに
圧倒的な優位性を示したSystem i
プロジェクトの立ち上げは2005年5月。これまで他社の汎用機で稼働していた業務をすべてSystem i へ移行させるのがプロジェクトの内容です。単品管理業務、財務会計、管理会計、人事・給与とマイグレーションの範囲は多岐にわたっています。
エムツーシステムズ第1営業部 企画開発グループ マネージャー楠本 均氏は、System i を採用した理由として、その優位性をいくつか挙げています。
「メインフレームとオープン系のシステムについて検討したわけですが、われわれが想定するコストパフォーマンスを期待するとなると、従来のメインフレームでは限界があるということで、まずオープン系のシステムで検討することになりました。System i は何といってもパフォーマンスの優位性が大きかった。さらに、仮想化技術、運用管理、セキュリティー管理、メインフレーム資産移行管理、アプリケーション資産の将来にわたっての継承に優位性があり、複数機種を比較検討した結果、最終的にSystem i に決定しました」
さらに、System i 導入他社を見学して得た事前情報、日経コンピューター誌2004年の顧客満足度調査オフィスサーバー・カテゴリーでIBM System iが7年連続で1位に選ばれたという客観的な情報も判断材料にしたとのことです。エムツーシステムズ第1営業部 企画開発グループ チーフ村尾 純一氏は、「CPUやメモリーの効率活用が図れる仮想化は素晴らしい。セキュリティーについても、他のUNIX®系やMicrosoft® Windows®系と違い、System iはデータのアクセス権などの細かな設定がアドオン・ソフトなしの標準ででき、また、今後OSをバージョンアップする際に通常はプログラムを書き換えなければなりませんが、旧来の仕組みがそのまま使える親和性もありがたい」とSystem i の魅力を補足してくれました。
村尾氏はSystem i のスキルをスタッフにどう習得させるかも、今回のマイグレーションのポイントだったと次のように話しています。
「今まで汎用機を使っていた人間がSystem i を使うことになるというのが一つのポイントでした。それぞれの業務担当者に、自分が管理するプログラムのどれを移行させるのかという洗い直しを行わせるところからスタートし、テストする過程でSystem i を身に付けさせる。自分の担当のプログラムを自分で移すという意識を植え付けさせました。一部を先行させ、そこで出てきた問題や課題を次に反映させるというふうにして段階的に移行を進めていったのはその意味ではよかったと思っています」
移行したプログラム数は全体で約6,000本。COBOLなどの手続き型の言語と、それをコントロールするJCLとの2種類の言語があり、プログラム言語の変更はJBCCが担当。単体テスト移行はエムツーシステムズが行いました。
「本番システムを稼働させながら移行テストを行うのに苦労しました。どのポイントでデータを抜き出して結果を見ればよいのかという見極めが非常に難しかった」と話すのは楠本氏。また、JBCC西日本事業部 第二営業本部西部SI部 PMG 丸山貴志氏は「いったん変換した後、現状のシステムに業務上必要な変更が発生したため、その差分を後追いで反映していくという作業は苦労でした。 エムツーシステムズさんとJBCCのプロジェクトチームにとって、日常運用を実施しながらの大規模なプロジェクトを期日までにやり遂げられたことは、何よりの成果と考えます」と話しています。
単品管理関係業務のシステム移行から着手し、その後、財務会計、管理会計、人事・給与と進み、2007年3月に移行は完了しました。工期に関して、「これだけのボリュームを専任3人と運用要員で実施したことをみれば、比較的短期だったのではないか」と楠本氏は振り返ります。
導入効果

株式会社エムツ
ーシステムズ
第1営業部
企画開発グループ
マネージャー
楠本 均氏
他社汎用機との性能向上比較で抜きん出た性能向上率を示すSystem i
「マイグレーションで期待する一番のメリットはパフォーマンス、すなわち処理スピードのアップ」と強調するのは永井氏。その期待に応える目ざましいパフォーマンスをSystem i は実現しています。
それまで使っていた他社汎用機との性能向上比較でみると、
- 単品管理のタグ新規処理(約5,000件のデータを約20万件のマスターに更新)では60分から120分かかっていたのが15分に(性能向上率約4倍~約8倍)、伝票発行(約1万件のデータを更新)では30分が1分30秒に(性能向上率約20倍)それぞれ短縮。
- 財務会計のWebマスター更新処理(約2万件から約20万件ある14マスターの各種参照)では25分が1分30秒に(性能向上率約16倍)、仕入データ取込&法人別集計処理(仕入データ約5,000件を取り込み、担当者マスターを25,000件作成)では43分が70秒に(性能向上率約61倍)それぞれ短縮。
- 管理会計の売上高取込処理(約10万件×7日間の売上データの取り込み)では60分が1分30秒に(性能向上率約40倍)、伝票プルーフリスト作成処理(78万件のデータから帳票を作成)では165分が9分30秒に(性能向上率約17倍)それぞれ短縮。
- 人事・給与の出退勤締め処理(約40万件のデータをエラーチェック)では124分が4分に(性能向上率約31倍)、給与データ作成処理(約40万件のデータを集計)では57分が6分に(性能向上率約9.5倍)それぞれ短縮しています。
「本当に処理しているのか」(永井氏)という問い合わせがあったほど、当初オペレーターはこの処理スピードの速さに驚いたとのことです。
こうしたパフォーマンスの向上は、10人いたオペレーション外注要員が3人に減るなど運営コスト削減にも好影響をもたらしています。
また、永井氏は汎用機との単純なコスト比較は難しいとしながらも、「われわれはフジからアウトソーシングを受けているわけですが、その費用を結果的には削減できたことはマイグレーションの大きな効果です。さらに、汎用機では動いていなかった会計、人事などのパッケージ・ソフトをマイグレーションのタイミングで導入できたのもよかった」と話しています。
将来の展望

株式会社エムツ
ーシステムズ
第1営業部
企画開発グループ
チーフ
村尾 純一氏
さらなるコストパフォーマンスの追及と
新たな利益を生み出す提案を
System i が順調に稼働し、マイグレーションの目標であるパフォーマンスの向上も実現することができた今、永井氏は今後について次のように話しています。
「処理スピードのアップで時間的な余裕が生まれました。これまでは処理の間に他の仕事を同時並行で進めていたわけですが、逆にそのような時間はなくなったわけで、業務の方法そのものを変えていかなければなりません。地道にやらなければいけないと思うのですが、こうした業務改善を進めていきながら、せっかく手に入れた新しいシステムのメリットをさらに引き出すような取り組みをしていきたい。コスト削減もフジではかなりできたと思いますが、これからはわれわれ自体のコストも考えていかなければなりません。また、2年後にはSystem i のリリースアップの予定があり、これを機に新たな利益を生むための提案、お客様に役立ってもらえる提案をしていきたいし、こちらにパワーを注いでいきたいと、考えています」
流通小売市場が飽和状態にある中、さらなるコストパフォーマンスが求められるのと同時に、エムツーシステムズ自身の経営戦略としての外販拡張など、今後取り組むべき課題は、これまでとは次元を異にしているようです。それに対してSystem i はどのように応えていくかも重要なポイントとなることでしょう。
お客様情報
株式会社フジは昭和42年9月設立のチェーンストアとして、食料品、衣料品、日用品等を小売販売。愛媛県を中心に90店舗を数え、昭和50年代半ばより「総合生活提案企業」を目指して事業の多角化を進めてきました。SC事業、健康事業、レジャー事業、文化事業、食事業、安全・安心事業、情報事業それぞれの経営資産を有効活用しながら、中四国に根ざした「豊かさ創造カンパニーズ」づくりを目指しています。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM,IBMロゴ, System iは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtmlをご覧ください。
