株式会社フジ(以下、フジ)は愛媛県松山市に本部がある、食料品・衣料品・日用品等の小売販売を行うチェーンストア業の会社です。瀬戸内を中心にした四国・中国の主要都市に出店し、その周りに衛星店を配す店舗展開戦略により各エリアでのシェア拡大を図っています。総合流通業の市場全体が飽和状態にある中、どのように事業を拡大していくかという課題に直面しながら着実に店舗数を伸ばし、2008年4月末現在で90店を数えます。こうした状況にあって、商品情報や顧客情報などのデータ量は拡大の一途をたどるとともに、その質も大きく変わってきました。これまで使ってきた汎用機を見直す必要にも迫られ、2005年5月に汎用機からIBM System i™(以下、System i)に基幹系・情報系のシステムを移行するというマイグレーション・プロジェクトを立ち上げ、2007年3月よりSystem iでシステムが稼働しています。
プロジェクトの立ち上げは2005年5月。これまで他社の汎用機で稼働していた業務をすべてSystem i へ移行させるのがプロジェクトの内容です。単品管理業務、財務会計、管理会計、人事・給与とマイグレーションの範囲は多岐にわたっています。
エムツーシステムズ第1営業部 企画開発グループ マネージャー楠本 均氏は、System i を採用した理由として、その優位性をいくつか挙げています。
「メインフレームとオープン系のシステムについて検討したわけですが、われわれが想定するコストパフォーマンスを期待するとなると、従来のメインフレームでは限界があるということで、まずオープン系のシステムで検討することになりました。System i は何といってもパフォーマンスの優位性が大きかった。さらに、仮想化技術、運用管理、セキュリティー管理、メインフレーム資産移行管理、アプリケーション資産の将来にわたっての継承に優位性があり、複数機種を比較検討した結果、最終的にSystem i に決定しました」
さらに、System i 導入他社を見学して得た事前情報、日経コンピューター誌2004年の顧客満足度調査オフィスサーバー・カテゴリーでIBM System iが7年連続で1位に選ばれたという客観的な情報も判断材料にしたとのことです。エムツーシステムズ第1営業部 企画開発グループ チーフ村尾 純一氏は、「CPUやメモリーの効率活用が図れる仮想化は素晴らしい。セキュリティーについても、他のUNIX®系やMicrosoft® Windows®系と違い、System iはデータのアクセス権などの細かな設定がアドオン・ソフトなしの標準ででき、また、今後OSをバージョンアップする際に通常はプログラムを書き換えなければなりませんが、旧来の仕組みがそのまま使える親和性もありがたい」とSystem i の魅力を補足してくれました。
村尾氏はSystem i のスキルをスタッフにどう習得させるかも、今回のマイグレーションのポイントだったと次のように話しています。
「今まで汎用機を使っていた人間がSystem i を使うことになるというのが一つのポイントでした。それぞれの業務担当者に、自分が管理するプログラムのどれを移行させるのかという洗い直しを行わせるところからスタートし、テストする過程でSystem i を身に付けさせる。自分の担当のプログラムを自分で移すという意識を植え付けさせました。一部を先行させ、そこで出てきた問題や課題を次に反映させるというふうにして段階的に移行を進めていったのはその意味ではよかったと思っています」
移行したプログラム数は全体で約6,000本。COBOLなどの手続き型の言語と、それをコントロールするJCLとの2種類の言語があり、プログラム言語の変更はJBCCが担当。単体テスト移行はエムツーシステムズが行いました。
「本番システムを稼働させながら移行テストを行うのに苦労しました。どのポイントでデータを抜き出して結果を見ればよいのかという見極めが非常に難しかった」と話すのは楠本氏。また、JBCC西日本事業部 第二営業本部西部SI部 PMG 丸山貴志氏は「いったん変換した後、現状のシステムに業務上必要な変更が発生したため、その差分を後追いで反映していくという作業は苦労でした。 エムツーシステムズさんとJBCCのプロジェクトチームにとって、日常運用を実施しながらの大規模なプロジェクトを期日までにやり遂げられたことは、何よりの成果と考えます」と話しています。
単品管理関係業務のシステム移行から着手し、その後、財務会計、管理会計、人事・給与と進み、2007年3月に移行は完了しました。工期に関して、「これだけのボリュームを専任3人と運用要員で実施したことをみれば、比較的短期だったのではないか」と楠本氏は振り返ります。
System i が順調に稼働し、マイグレーションの目標であるパフォーマンスの向上も実現することができた今、永井氏は今後について次のように話しています。
「処理スピードのアップで時間的な余裕が生まれました。これまでは処理の間に他の仕事を同時並行で進めていたわけですが、逆にそのような時間はなくなったわけで、業務の方法そのものを変えていかなければなりません。地道にやらなければいけないと思うのですが、こうした業務改善を進めていきながら、せっかく手に入れた新しいシステムのメリットをさらに引き出すような取り組みをしていきたい。コスト削減もフジではかなりできたと思いますが、これからはわれわれ自体のコストも考えていかなければなりません。また、2年後にはSystem i のリリースアップの予定があり、これを機に新たな利益を生むための提案、お客様に役立ってもらえる提案をしていきたいし、こちらにパワーを注いでいきたいと、考えています」
流通小売市場が飽和状態にある中、さらなるコストパフォーマンスが求められるのと同時に、エムツーシステムズ自身の経営戦略としての外販拡張など、今後取り組むべき課題は、これまでとは次元を異にしているようです。それに対してSystem i はどのように応えていくかも重要なポイントとなることでしょう。
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