掲載日 2008年7月18日

株式会社新出光
油槽所株式会社新出光(以下、新出光)は、九州エリアを中心として全国約500カ所にサービスステーションを持つ石油製品の販売会社です。同社では、IBM System p™(以下、System p)による物流システム「MOVE」とIBM System i™(以下、System i)による基幹システムとを連携して運用しています。
今回、物流システムの再構築に当たり、System iとの間で日々やりとりされるデータ転送およびデータ連携の効率化が課題となりました。そこで、System pとSystem iとのデータを連携するツールとしてIBM InfoSphere™ Federation Serverを導入し、データの二重化をなくしました。2007年10月には新物流システム「MOVE」がサービスインを果たし、データを一元管理できるようになったことで、生産性の向上やコスト管理の厳格化といった導入メリットを獲得できました。
お客様ニーズ

株式会社新出光
経営企画部
情報システム課
担当課長
江藤 晃一氏
データの二重化をなくすための新物流システム
石油製品を販売している新出光では、すべての販売データをSystem pで構築した物流システムのデータベース(Oracle Database)で管理していました。この販売データは基幹システムのSystem iへと夜間にバッチ転送されていました。そのため、毎日FTPでやりとりしながら販売データを双方で持つ必要があり、データの二重化、三重化に加えて、双方にオペレーターが必要になるなどの無駄が指摘されていたのです。このような状況を、新出光 経営企画部 情報システム課 担当課長 江藤 晃一 氏は次のように振り返ります。
「何とか販売データを一元管理できないかといくつかのベンダーに相談をしました。そのとき、InfoSphere Federation Serverでデータベースを仮想統合することでSystem iのDB2® Universal Database側からSystem pの販売データベースを見ることができ、あたかも一つのデータベースとして使うことができるという提案がIBMからあったのです」
ほどなく新出光では、InfoSphere Federation Server の導入を決めましたが、懸念もありました。「スペック上では弊社の要件を備えていましたが、どの程度まで求めているパフォーマンスを実現できるのかについて懸念していました。というのも、金融機関など大企業での導入事例はそれまでも多くありましたが、開示されている情報が少なく、他社でのInfoSphere Federation Server の利用実態を把握しづらかったからです。ただ、IBMとは汎用機の時代から長く付き合いがあり、障害対策などサポートに対しては十分信頼を置いていましたので、何かトラブルが発生してもバックアップしてもらえるだろうと判断しました」(江藤氏)
そこで、物流システムの再構築に入る前段階でInfoSphere Federation Serverの評価環境を作成し、いくつものパターンによる検証を行った上でその懸念を一掃。InfoSphere Federation Server の導入を決定するに至りました。
ソリューション

システム図
フェデレーション型の採用でデータの二重化をなくす
新物流システム「MOVE」のデータ連携処理は、レプリケーション(複製)型かフェデレーション(連携)型かを選択する必要がありました。しかし、レプリケーション型ではデータをコピーする必要が生じることが「データの二重化をなくす」という当初の導入目的から外れるため、フェデレーション型が選択されました。フェデレーション型の採用により、データをコピーすることなくSystem i側からInfoSphere Federation Serverを介してダイレクトにSystem pの販売データを見ることが可能となったのです。
「サービスインは2007年10月です。冬になると灯油需要が増加し繁忙期へと入ってしまうため、秋までに新物流システム『MOVE』が稼働することは必須でした。このようにプロジェクト期間が限られていたのですが、大きなトラブルはなくサービスインできました」(江藤氏)
InfoSphere Federation ServerではCOBOLとSQLだけで開発が可能であり、従来のFTP転送と比べると開発工数が少なくて済み、仕組みがシンプルなため信頼性も高いというメリットがあります。これにより生産性が向上して、限られたプロジェクト期間でも十分間に合うことができたのです。
また、新物流システムの構築に当たっては、System pをリプレースしたほか、IBM BladeCenter® HS21が新たに導入され、そこにはInfoSphere Federation Serverが搭載されました。
導入効果

株式会社新出光
経営企画部
情報システム課
課長
野尻 佳生氏
データの一元管理により営業マンのコスト意識も変革
新物流システム「MOVE」で販売データの一元管理が可能となったことにより、さまざまな導入効果が表れました。その最たるものは、「営業マンのコスト意識が高まったことです」と、新出光 経営企画部 情報システム課 課長 野尻 佳生 氏は話します。
「営業マンが抱えているお客様について、以前の物流システムだといくらの損益が出ているかがざっくりとした形でしか把握できませんでした。しかし、新物流システムで販売データを一元管理できるようになったことで、お客様ごとにリアルタイムで損益をはっきりすることができるようになったのです。原油高により弊社の利益も減ってきています。これまで営業マンは多く売ればいいという考えもありましたが、いくら売っても赤字では困ります。その点で、新物流システム『MOVE』が営業マンのコスト意識を高めるという効果が表れたのです」
新物流システム「MOVE」の導入により、具体的なコスト削減効果も表れています。
「InfoSphere Federation Serverにより販売データの処理スピードが速くなりました。また、以前の物流システムではデータの転送エラーがしばしば発生しており、その際には人手を介して入力し直す必要がありましたが、それも一切なくなりました。これらにより、まず月次決算の早期化という導入効果が表れました。以前の物流システムと比べて3日間も早くなったのです」(江藤氏)
それ以外にも、24時間365日、有人で行っていたシステムの保守を新物流システム「MOVE」では夜間無人化することができました。これはInfoSphere Federation Serverにより保守要員がいる日中の時間帯にデータ処理が終わるようになったからですが、夜間無人化による人的コストの削減にも寄与しました。
将来の展望
物流以外のシステム改革へむけて検討
順調に稼働している新物流システム「MOVE」。当初の導入目的だけでなく、営業マンの意識改革にまで寄与している今、江藤氏は今後の展望を次のように話します。
「石油元売り各社(仕入れ先)、購買先、各運送会社など、さまざまなパートナー企業と一緒になってEDIによる事務作業の合理化を図っている最中ですが、それをさらに進めてお互いの手作業をなくすように順次改善していきたいと考えています。また、物流に関しては今回の新物流システム『MOVE』で達成感がありますので、それ以外のシステム改革を考えており、まずはWebを利用した受発注システムが挙げられます」
現在、サービスステーションや工場のオーナーなど、同社のお客様は年配層が多いためパソコンを使った発注システムには抵抗感があるようですが、携帯電話もほぼ普及している今、Web受発注システムは近い将来に導入される予定です。最後に野尻氏は次のように締めくくってくれました。
「今後は物流以外の仕組みも見直そうと考えていますので、その際にはIBMにまたご協力を仰ぎたいですね。IBMの障害対策やサポート体制には全幅の信頼を置いているので、今後もぜひお願いしていきたいと考えています」
お客様情報
1926年、創業者出光弘により石油製品の取扱いを開始し、1955年には組織を改め新出光石油株式会社を設立しました。現在では全国約500カ所のサービスステーションをはじめ、IDEX(イデックス)グループとして多角的な事業を展開しており、地域に密着した幅広いサービスを通して、地域社会の文化の向上に貢献しています。また、2000年3月にはISO9002認証を取得。「エネルギー」「カーライフ」「ライフスタイル」の三つの分野で、豊かな社会環境を提案していくために、ソリューション営業を展開し、チャレンジし続けています。

製品・技術情報
ハードウェア
ソフトウェア
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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