掲載日 2008年7月23日

アスモ株式会社 本社アスモ株式会社(以下、アスモ)では、ワイパーやパワーウインドーなどの車載用モーターを開発・設計から製造まで一貫して行っています。設計に3次元CADを使用するようになって約20年。現在では、CADだけでなくCAEにもワークステーションを活用しています。
今回、ワークステーションの一部をIBM BladeCenter®HC10(以下、BladeCenter HC10)に置き換え、設計者用の端末としてワークステーション・コネクション・デバイス CP20を導入しました。これにより、オフィスでワークステーションが発する熱や音が軽減。より快適な設計環境を構築できたことに加え、シンクライアントでの利用によってセキュリティーも向上しました。
お客様ニーズ

アスモ株式会社
開発1部
設計高度化推進室
室長
稲吉 浩氏
ワークステーションの発生する熱が課題。
より一層のセキュリティー向上も命題に
アスモでは、自動車に使われるさまざまなモーター類を開発しています。モーターの設計に、3次元CADを活用する理由について、開発1部 設計高度化推進室 室長 稲吉浩氏は次のように語ります。
「車には、一般的に20から30、高級車では100個以上のモーターが使われています。当社では、ワイパーやウォッシャーなど機構部品を組み合わせたシステム製品、ならびにモーター単体として、パワーウインドー用、エアコン用、エンジン部品用など多種多様なモーターを扱っています。いずれもお客様である自動車メーカーの製品に組み込まれて初めて機能するわけですから、車両への搭載検討などお客様との技術的なコミュニケーションを取る上で3次元CADは欠かせません。例えば、ワイパーモーターやウォッシャータンクを込み入った車両空間にいかに収めるかを検討するには、もはや2次元CADでは機能不足です。また、社内での物づくりの工程でも、設計品質の向上や生産準備段階での効率化という点で3Dデータは大きな役割を果たしています」
3元CADにはさまざまなソフトウェアがありますが、ここ数年、特に利用されているのはCATIA V5。設計だけでなく、設計段階での性能を検証する上でも、CATIA V5は非常に有用とのことです。
「最近では、CADデータから樹脂部品を造形できる3次元プリンターを使ってプロトタイプを作ることもありますが、実際にものを作る前に、動作や強度特性などをシミュレーションする上でもCATIAを活用しています」(稲吉氏)アスモではCAD用ワークステーションが、各部署のCADコーナーや設計者の席に置かれていますが、組織換えで設置場所を変更した際に問題となったのが、その熱でした。
「変更前は、空調のバランスが取れていて問題なかったのですが、新しいレイアウトになってワークステーションが集中してしまい、その熱で夏場にエアコンが効かなくなったのです。利用者から、暑くて仕事にならないとのクレームが寄せられましたので、ワークステーションの設置場所を分散したり、空調の設定を変えてもらったり、いろいろ対策を施したのですが、熱源がそこにある以上、限界があると感じました」(稲吉氏)
また情報漏えい対策など、セキュリティーへの気運が社会的にもますます高まっていることもあり、より一層のセキュリティー対策も必要とされていました。
「監視ソフトウェアを常駐させて、外部媒体へのデータの持出しを制限する方法もありますが、インストールやメンテナンスなど運用面での負担が増えてしまいます。それに、CADとしてのパフォーマンスを低下させる要因にもなりかねません。その点、シンクライアントでは、構造的にデータを持ち出せない仕組みになっており、ソフトウェアでの対策は不要です。もちろん、レスポンスを犠牲にすることもありません。セキュリティーという点から、シンクライアントに魅力を感じていました」(開発1部 設計高度化推進室 主任部員 後藤篤志氏)
ソリューション

スケルトンカー
シンクライアントで、熱対策とセキュリティーの両方に対策
そこで検討されたのが、シンクライアントの活用です。セキュリティーの高さについて、シンクライアントにはもともと着目していたアスモでは、オフィスの熱対策上も効果的として、BladeCenter HC10の導入を決めました。
「BladeCenter HC10の場合、端末側となるCP20はハードディスクを持っていませんから、構造的にセキュアです。また、CP20の消費電力はわずか15ワットで熱の発生はほとんど無視できるレベルです。これらを考え合わせると、次のリプレースはシンクライアントだと思いました」
導入する機器の選定においては、価格だけでなく、環境に対する配慮とセキュリティーの高さ、そして使いやすさを評価したと、後藤氏は言います。「もちろん、熱とセキュリティーの問題も重要ですが、実際にワークステーションを使用する設計者にとって大切なのは、使いやすさとレスポンスです。今回BladeCenter HC10を選んだ理由の一つは、従来のワークステーションから置き換えても、使い勝手が何も変わらないということです。比較したシステムによっては起動やログイン手順が複雑になるなど、ユーザーの操作が増えてしまうものもありましたが、BladeCenter HC10なら従来と同じ操作で使うことができますので、特に操作説明の追加も必要ありませんでした」
また導入に際しては、BladeCenter HC10のレスポンスを十分に生かすため、3Dの画像がどの程度帯域を必要とするのかを測定し、準備を行いました。「BladeCenter HC10に置き換えることで処理能力が上がると思っていましたが、ネットワーク上でデータが遅延してはレスポンスが悪くなってしまいます。そこでテストを行い、その結果を踏まえて、ビデオとデータのLANが混在しないよう、論理的に回線を分けることで対応しました」(後藤氏)
置き換えにより、従来ワークステーションが置かれていた場所には端末のCP20を、本体となるBladeCenter HC10はサーバー室に集約することにより、シンクライアントでのシステムが完成しました。
導入効果

アスモ株式会社
開発1部
設計高度化推進室
主任部員
後藤 篤志氏
室温低下と作業スペース拡大で二重の効果。
パフォーマンスの向上で、シミュレーション時間も短縮
今回のリプレースでは、一部がBladeCenter HC10とCP20の組み合わせに変わりました。室温が下がり快適になっただけでなく、これまで大型のワークステーションが置かれていたものが省スペースのCP20に置き換わったことで、作業スペースも広がって設計環境がよくなったと稲吉氏は言います。小型・軽量なCP20は置き換えも簡単というメリットもあったとのことです。
「従来のワークステーションは筐体が大きくて重いので移設や撤去が大変でしたが、片手で持ち運べるCP20は楽に設置でき、作業が短時間で済みました。今後の組織変更やオフィスのレイアウト変更も、より容易になるかと思います」(稲吉氏)
また機器のパフォーマンスが向上したことにより、設計作業効率も向上したと言います。
「以前の機種とベンチマーキングした結果では、50パーセント程度、向上していました」(後藤氏)
特に計算負荷が高いシミュレーションについては、時間が半分くらいになったのではないかと、稲吉氏も言います。
「シミュレーションはとにかく時間がかかります。それが半分になれば、設計者の待ち時間が半減するだけでなく、その分、空いたライセンスを有効に使えるのではないかと期待しています。現在は従来型のワークステーションとBladeCenter HC10の両方が利用されていますが、利用率はBladeCenter HC10のほうが高く、実際に使っている設計者自身が、BladeCenter HC10の高いパフォーマンスを感じて利用しているのだと思います」
また管理面でもメリットは大きかったと、後藤氏は語ります。
「離れた場所にあるワークステーションをメンテナンスするのは大変ですが、ソフトウェアの配布やバックアップがまとめて行えるので、作業効率がよいと感じています」
将来の展望
1対Nの接続で、ソフトウェアのライセンスの有効活用も
現在はBladeCenter HC10とCP20を1対1で接続し、利用しているアスモですが、今後はBladeCenter HC10一台に対し、端末となる複数のCP20を必要なときだけ接続する使い方も検討していきたいとのことです。
「理想は、設計者一人に一台ずつのCADが使えるという環境です。しかし、CADライセンスやワークステーションを設計者の人数分確保しようとすると莫大な設備投資が必要になってしまいます。そこで、CADライセンスの数だけワークステーションを用意し、その何倍かの設計者人数分の端末を配布しておくのです。設計者は、常時CADを使うわけではないので、必要なときだけ端末からCADにアクセスできればいいわけです。そうすれば、あたかも設計者一人一台のCADが割り当てられているかのように機能することができると思うのです。必要最小限のライセンスを、高い稼働率で利用する、シンクライアントではそんな環境が可能です。今後はそうした理想的な環境作りにトライしていきたいと考えています」(稲吉氏)
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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