掲載日 2009年9月16日
シャープ株式会社(以下、シャープ)は、「世界No.1の液晶ディスプレイで真のユビキタス社会を実現する」「創エネ・省エネ機器を核とした環境・健康事業で世界に貢献する」をビジョンに、液晶テレビ「AQUOS」や、太陽光発電システム「サンビスタ」、プラズマクラスターイオン発生機などをグローバルに生産・販売しています。
同社では SAP ERPによる経営の「見える化」を進めており、それをさらに進めたものとしてエグゼクティブ・コックピットを開発しました。経営層に向けて、日々の販売・在庫の実績データがグラフィカルに一目で把握できるエグゼクティブ・コックピットは、シャープの情報子会社であるエスアイソリューションズ株式会社(以下、SIS)が中心となり、IBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社(以下、IBCS)支援のもとに開発されたソリューションです。このソリューションのために導入されたのは、SAP NetWeaver Business Warehouse(以下、SAP NetWeaver BW)と、SAP NetWeaver Business Warehouse Accelerator(以下、SAP NetWeaver BW Accelerator)であり、SAP NetWeaver BW Acceleratorを稼働するために選ばれたのは、IBM BladeCenter®でした。
お客様ニーズ

株式会社シャープ
高橋 一芳氏
ビジュアル化された経営情報の見える化ツールを開発
シャープは世界60の生産・販売拠点にSAP ERPを導入しています。以前より、この統一基盤を生かして在庫および販売実績データを日本にデイリーで集め、Microsoft® Excel®で加工して、経営スタッフにメール配信する仕組みを運用していました。しかしそのアウトプットは、A3用紙に数字が羅列されている表組形式で、数枚にわたるため、問題点を発見するためには相応の時間がかかり、忙しい経営者が毎日チェックできるものではありませんでした。
「経営者が毎朝10分間でグローバルの販売・在庫状況や経営課題を把握できるような『見える化』の仕組みを、当社の大型液晶ディスプレイを使って、経営層にふさわしい形でビジュアル化できないかと考えました。そうすることにより、経営層と現場のコミュニケーションも密になり、より経営のスピードを向上させることに貢献したいと考えたのです」と、シャープ ITシステム推進センター 第二IT推進部 部長 高橋一芳氏は話します。
フロントエンドのビジュアル化については、アニメーション表示機能に優れたアドビシステムズ社のデスクトップアプリケーション実行環境Adobe® AIR®によって開発することが決まりました。
「苦労したのはエグゼクティブ・コックピットのユーザー・インターフェース(以下、UI)ですね。ITシステムの担当者としては、こういったデザインの分野は経験がないところですから。そこでどう表現していこうかと検討し、『欧米諸国にはまねができないような日本独自のインパクトあるUIを創造していこう』という考えがコンセプトとなりました」(高橋氏)。エグゼクティブ・コックピット本番当初、バックエンドのDWH(データ・ウェアハウス)として、SAP NetWeaver BWの旧リリース版であるSAP Business Information Warehouse(以下、SAP BW)が稼働していました。SAP BWで経営層にストレス無く情報提供を行うためサマリーキューブを作成していましたが、その処理に時間がかかっており、朝の7時に最新のデータを提供するという要件を満たすことが難しいという課題がありました。また、経営層の問合せにスタッフが答えられるよう、より詳細のデータをスタッフ層にSAP BWで提供していましたが、そのレスポンスが遅いためユーザーの活用度が上がらないという課題も持っていました。
ソリューション

システム図
SAP BWのアップグレードとSAP NetWeaver BW Acceleratorを導入
シャープではすでにSAP ERPとSAP BW3.5を導入していたため、これらの課題を解決するために、SAP BW3.5をSAP NetWeaver BW7.0(当時の製品名は、SAP NetWeaver BI※)にアップグレードして対応することが決定しました。またレスポンスの高速化を目指し、BIクエリのパフォーマンスを飛躍的に向上させる解析エンジンSAP NetWeaver BW Accelerator(当時の製品名は、SAP NetWeaver BI Accelerator)を導入することも決まりました。
「すでにSAP製品を使っていたことから、親和性と拡張性を評価しました。また、SAP BW3.5をアップグレードすることで、システムの改変を最小限で抑えることができると考えたのです」(高橋氏)。
2008年に入るとSAP NetWeaver BW Acceleratorを稼働させるためのサーバー選定作業に入りましたが、選ばれたのはIBM BladeCenter®です。
「ベンチマークを行って他社製品と比較検討してみたのですが、IBM BladeCenterは価格面を含めた総合的な優位性を評価して採用を決めました。また、SISとIBCSの両社がサポートしているため、何か問題が発生したときでも連携を取りやすいと考えたのです」(高橋氏)。
2008年4月にIBM BladeCenterが選定された後、2008年7月〜9月にかけてSAP NetWeaver BW7.0へのアップグレードとSAP NetWeaver BW Acceleratorの導入が完了し、2008年12月25日にサービスインを果たしました。
なお、SAP NetWeaver BWと SAP NetWeaver BW Acceleratorの導入を支援し運用を担っているのは、SISと IBCSです。
「弊社からみて、まったくトラブルがなかったのが素晴らしいですね。もちろん、細かなトラブルはあったということですが、運用側ですぐに対処していたので弊社に影響を及ぼすようなトラブルは発生しませんでした」(高橋氏)。
※SAP NetWeaver Business Intelligence(SAP NetWeaver BI)は、2009年1月より SAP NetWeaver Business Warehouse (SAP NetWeaver BW)に名称変更となりました。
導入効果

エスアイソリューシ
ョンズ株式会社
久野 信和氏
必要な経営データを高速で検索できるように
エグゼクティブ・コックピットのユーザーは、現在、経営幹部が約130人、スタッフが約100人で、グローバルの生産・販売・在庫のデイリー・データをチェックしています。
「社長室や役員室に設置された65インチから46インチの液晶ディスプレイに、エグゼクティブ・コックピットの画面が常に表示されるようになっています。生産・販売・在庫の実績データは毎朝7時に更新されるので、経営陣は毎朝出社してすぐに最新のデータをチェックすることができます。すぐに見たいデータは『お気に入り』に登録しておくことができますし、スライドショーのように各データを順々に表示していく『オートビュー』機能も搭載しています。またデータは、棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど直感的なグラフィカル表示されるようになっています。とにかく、徹底的に見やすく、簡単に操作ができることを考えて設計しました。これにより、経営層自らがシステムを操作し、短時間でグローバルの状況を把握できるようになりました」(高橋氏)。
SAP NetWeaver BW7.0とSAP NetWeaver BW Acceleratorの導入により、経営層向け情報のサマリーキューブを作成する必要がなくなりました。明細データを使って、サマリーキューブと同じレスポンスを確保できるようになったからです。そのことにより、毎朝7時に最新のデータを提供するという要件を満たすことができるようになりました。また、詳細データを提供する仕組みも、レスポンスの向上が図られ、ユーザーが、より多くのデータをストレス無く活用できるようになりました。
「データベース検索時間が高速化されたことで、画面のレスポンスが最大30倍、平均10倍程度は速くなりました。データを処理して画面が出てくるまでの体感スピードでみても、平均3倍は速くなっています。クエリの処理速度だけでみると、約1000倍も高速化されています」と、エスアイソリューションズ ソリューションサービス事業部 ERP推進部 グループリーダー 久野信和氏は話します。
また、SAP NetWeaver BWにより明細データを保存できることで、時系列データや製品別データなど、分析方法の多様性を実現できました。これにより、シャープの経営の「見える化」をさらに前進させることができました。
将来の展望
中間マネジメント層の「見える化」にも着手
経営層はこれまで、実績データを月次ベースで見ることが主でした。それがエグゼクティブ・コックピットで毎日データをチェックするようになり、良い意味で現場にも緊張感が出てきています。また、このことにより経営層が現場にデータの内容を問い合わせるといったコミュニケーションが増えてきているといった変化も生じています。
このようにエグゼクティブ・コックピットで進化したデータ活用ですが、まだまだ課題もあると高橋氏は話します。
「シャープのデータ活用レベルは、まだ調査や報告などのレベルにとどまっていると考えています。今後はデータ活用法をさらに進化させ、分析力を武器として競争優位を確立しないといけません。そのために収集のレイヤーを充実させていきたいと考えています。また、経営層の『見える化』がエグゼクティブ・コックピットで進化しましたので、中間マネジメント層の『見える化』にも着手しています。そのために、データ検索ツールSAP BusinessObjects.ソリューションによるマネジメント・コックピットを開発しています。すでに一部では運用を開始していますが、2010年までにはこのマネジメント・コックピットも全社展開していきたいと考えています」
お客様情報
1912年創業。1915年に現在の社名の由来となった金属繰り出し鉛筆「エバー・レディー・シャープペンシル」を発明。発売後は一世を風靡する。1953年には国産第1号テレビを発売し総合家電メーカーへ。1973年に液晶を初めて実用化した後は液晶事業を拡大し、2001年には液晶カラーテレビ「AQUOS」を発売。創業以来、常に「オンリーワンの経営」「オンリーワンの技術」を追求してきた同社では、2012年の創業100周年に向け、さらなる未来への挑戦を目指しています。
ビジネス・パートナー
シャープと日本IBMが共同出資して2001年3月に設立。シャープの情報システム部門で培われたERP、SCMなどの業務ナレッジと、日本IBMの先進技術力、マーケティング力が融合し、高度なITソリューションを実現。一般企業ユーザーの業務革新(BPR)を支援するコンサルティング集団として高い評価を得ています。
製品・技術情報
ハードウェア
ソフトウェア
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBM ロゴ、ibm.com、BladeCenter、System Storage、およびSystem pは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。
Adobe, AIRは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
MicrosoftおよびExcelはMicrosoft Corporationの米国およびその他の国における商標です。
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現時点での IBM の商標リストについては、
http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtmlをご覧ください。
